第17話 特捜


矢野口

「本当は、直ぐにリョウガ君と組んでドラッグマンの居場所の特定をしたかったのですが、梶山警部はこずえを洗いたいのですね…」


梶山

「それが、近道になる可能性もあるし…それに、こずえから近付いて来た今が彼女の謎を探るチャンスだと思ってます」


「リョウガ君もそう思いますか?」


「あたしは皆と違って素人だけど…でも、こずえは事件に関係してると思ってるから事件の解決に繋がると思います」


「なるほど…では、私と巡査部長はドラッグマンを優先します」


梶山

「分かりました、進展があったら連絡します」



仮の特捜課は一旦解散して各々の捜査が始まる…


矢野口と佐藤はドラッグマンの捜査をするので取調室を後にした…梶山とリョウガは引き続きこずえの捜査だ。



「そろそろ時間かな…」


「はい、こずえにメールします…」



リョウガはこずえに〝警察から今帰るとこ〟とメールしてこずえの返信を待っていると直ぐに返信が来た。


「来ました…… 何か、あたしん家かこずえの家かどっちかで会おうって言ってます」


「じゃあ、こずえには警察に送って貰うからこずえの家に行くで良いかな…」


「分かりました」


「くれぐれも、こずえに関する質問はしない様に…」


「はい…」


警部は盗聴器をまた、バッグに入れてこずえと会うようにリョウガに頼むと自分では送らずに若手の刑事に送らせ、その後を走り目立たない路地に車を止めて盗聴を始めた。



リョウガは到着した事をこずえに知らせるとエレベーターに乗り込んだ。

玄関のドアはカギを開けているとの事だったのでそのまま入りリビングに向かった。


「お疲れ様、何か分かった?」


リョウガはタブレットを取り出しこずえに見せる。


「これだけの発信履歴が分かったの…29件あるけどこれを地図に起こしたのがこれ…」


マップ上に発信元が点で記されている画面を見せる。


「これって…」


「そう、ほとんどが中区から…」


「特に多いのが伊勢佐木と福富町ね」


そう言うとこずえはスマホのマップを開きリョウガの見せた地図上の発信元を拡大する…


こずえ

「ねぇ、発信先の回りで怪しい所探そうよ」


「分かった」


こずえに促されリョウガも発信元の周辺を検索するが、意識はこずえから放さない…こずえが、どの発信元に興味を示すかを伺いながら調べていた。


リョウガ

「これ、近くにクラブがある…確かMパーティーで有名なところ…」


「Mパーティーか…大口の客なら直接受け渡ししてるかも…」


「そうね、警察にここの聞き込みを頼んどくわ」




暫く2人は闇の住人が居そうな怪しい場所の捜索を続けたが、明らかにこずえが今までと違う反応でスマホの画面を見ている…

無表情のその顔は、怒っているようにも笑っているようにも見える能面の様で血のかよった表情では無い。


様子のおかしいこずえにリョウガが話し掛ける…



「ちょっと…どうしたの?」


「あっ、ごめん…何でも無い、最近寝不足だったから…ぼ~としただけ」


リョウガはこずえがドラッグマンに関わる何かに反応したと思ったが、それは言わずに身体を気遣う。


「そうよね…でも、こんな時こそよく食べてよく寝ないと…」


「うん…」


「あたしは、伊勢佐木あたりをだいたい調べたけどこずえはどう?」


「福富町はだいたい終わったから…桜木町を調べてみる」


「じゃあ、あたしは寿町を調べる…」


10分ほどするとこずえが体調が悪いと言い出す。


「ごめん、来て貰って悪いけど今日は疲れてる見たい早く寝ようと思うの…」


「そう…さっきも疲れが出てたしね…あたしも今日は早く寝るわ、何かあったら遠慮しないで電話してね」


「ありがとう」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る