第18話 特捜
こずえのマンションを出るとリョウガは梶山に電話を掛けた…50メートルほど電話で誘導されると梶山の車を見つけ乗り込む。
「聞いてましたか…」
「あぁ、何かに反応していたようだけど…」
「そうです…詳しい話はあたしの家でしませんか?」
梶山は、リョウガの誘いに乗ってマンションまで車を走らせる…
2人は人形に囲まれたリビングで話し出した。
リョウガ
「警部に言われて作った地図で発信元の周辺を2人で調べてたんです…そしたらこずえが急に動かなくなった場所があったんです…」
梶山
「あぁ、聞いてたが福富町のどの発信元で固まったかまでは分からない…」
「はい…でも、警察で怪しい場所を2つピックアップしてたのでどちらかだと思います」
「その2つは?」
「ブルービルと日本語学校」
「なるほど日本語学校か、不法滞在の温床だな…ブルービルは半グレの溜まり場だ」
「あと、何となくですけど体調が悪いって言ってたけど何かこずえがソワソワしてたように感じたんです…」
「…ドラッグマンの居場所に当たりがついてソワソワし出した…その後、仮病でリョウガ君を帰らせる…」
「ドラッグマンを捕まえたいなら協力者は多い方が良いはず…だけどこずえは、あたしが邪魔だった…」
「リョウガ君に…いや、他人に知られたくないって事か…」
「秘かに何かを調べたい…」
「気になるな…今からこずえのマンションを張り込んで見るよ、何か動きが有るかも知れない」
梶山はリョウガの家を後にすると車でこずえのマンションに向かった…
マンションの入り口が見えて目立たない場所に車を止め張り込みを始める。
こずえは部屋でPCを使い日本語学校を調べていた…
学校の設立からオーナーや関連団体、学校への出資者など細かく検索している…こずえは、日本語学校の背景から何かを見付けようとしているようだ。
こずえの部屋の遮光カーテンから漏れる僅かな灯りが消えた、梶山は30分ほど様子を見ていたが、出て来ないのでしばらくは動かないと思い、一旦仮眠を取りに警察本部に戻った。
本部で梶山を見付けると佐藤巡査部長が嬉しそうにやって来た…
佐藤
「お疲れ様です。何か進展はありましたか?」
「多少はね、そっちは嬉しそうだが何か収穫が?」
「えっ? 特に無いですけど…嬉しそうなのは今まで1人で矢野口警部と接していたので仲間と言うか、勿論大先輩なんですがそれが嬉しくて」
「そうか、でも矢野口さんは言われてる程の変人では無い見たいじゃないか」
「う~ん…そう何ですが、あの人わざと自分の事を名前で呼ばないで巡査部長巡査部長ってお前は俺より格下だぞって感じで言われるので嫌い何です」
「…縦社会の警察で上司の悪口は止めといた方が良いと思うよ」
そう言うと佐藤の後ろを指差した、反射的に佐藤が振り返ると後ろから矢野口がこちらに向かって来るところだ。
矢野口
「梶山さんお疲れ様です」
「もしかしたら、こずえが動くかも知れません」
「そうですか…張り込むつもりですか」
「はい…」
「分かりました、こっちは目ぼしい進展はありませんが、ドラッグマンは普通に仕事を続けているようです」
「そうですか」
「私はこれで帰りますが、巡査部長…余り人の悪口は言わないように」
どうやら矢野口は地獄耳のようだ…
言い訳をする佐藤を無視して矢野口は帰宅する。
梶山
「私は少し仮眠するから」
佐藤
「仮眠…また張り込みですか?」
「そうだ…」
3人が話している所を背を向けて聞き耳を立てていた谷口…日本語学校の校長と繋がる組織のイヌだ…谷口は本部を出て自分の車に乗り込み電話を掛ける…
日本語学校 校長室
: 悪い話だ、新しく配属された矢野口って警視が来月特捜を立ち上げる…
: それで…
: その特捜で俺達の事を嗅ぎ回るつもりみたいだな…
: ……
: ドラッグマンにやっきになってる捜査本部とは違う…矢野口は女の敵討ちのつもりで俺達を前から追ってるデカだ…
: 例の、新宿のバイヤーが一般人を轢き殺した事件か…
: かなり頭がキレるらしい…ヤツが城山を使ったらヤバい事になるな、ボスに伝えといてくれ…
谷口がわざわざ転属してまで調べてる時点で今回の捜査が組織にとって不味い事態だと言う事だが、その谷口がボスに連絡を頼むとはいよいよ本気でヤバいと理解する校長だが、谷口の要求を拒否する…
: まだいい、俺が直接動く…ボスにはその後だ…
: おい、もう店じまいの準備を始める頃合いだぞ…
: 何度も言わせるな…俺が動く…
校長は声で谷口を威圧して電話を切ると警察の捜査を自分で終わらそうと考えを巡らせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます