第16話 特捜
13:12 警察本部
リョウガに迎へに行く事をメールして車に乗り込む梶山…
リョウガのマンションまではそれほど時間が掛からずに到着した。
電話で到着した事を伝えると、暫くしてリョウガがマンションから出て来て正面に止まっている梶山の車に乗り込む。
「わざわざありがとうございます」
「こっちは協力してもらってる身ですから当然ですよ」
「はい…でも、本当に警察で話すなんて思てなかった…」
「それで、矢野口警部何だが…」
「何か分かりましたか?」
「どうやら私より一枚も二枚も上の様で探ろうとしたら全てバレてしまったよ」
「えっ、じゃ~どうなるんですか」
「リョウガ君が聞いた通り来月から特捜が立ち上がって捜査するから…」
「信用出来る人だったんですね…」
「それは何とも言えないが、頼りになるのは間違いないと思う…」
警察本部に着くと梶山とリョウガは取調室に入りこれからこずえと話す内容の打ち合わせをする。
「先ずこずえがドラッグマンにどう関わってるか気になるんだが…」
「あたしもです、あきらの死よりドラッグマンを気にするのは何でか知りたい」
「こずえに会ったら、リョウガ君が調べたドラッグマンの発信先を教えてやってくれ…」
「えっ、良いんですか?」
「あぁ、しかし部外者のこずえに教えたって事は秘密だ頼むぞ」
「分かりました」
二人が話してると取調室の扉がノックされた…入って来たのは新人のサイバー課捜査官だが、前髪は目を隠し襟足も肩まで伸びていて捜査員の制服を着ていてもオタクだと丸分かりの男だ。
「お忙しいところ失礼します」
「どうした、何か頼み事か?」
「はい、個人的な事で申し訳ないのですが…実は、城山さんにずっと憧れてましたサイン下さい!」
「はぁ…あたしのサイン??」
「お願いします」
「ハハッ いいじゃないかリョウガ君サインしてあげれば」
「これの表紙に書いて下さい」
そう言うと新人捜査官は、リョウガの警視庁ハッキング事件を特集した週刊誌を出して来た…警部が8年以上前の古雑誌に驚く。
「お前、こんな古い雑誌どうしたんだ?」
「この事件から自分は城山さんのファンなんで雑誌は大切に保管してました」
「普通に名前書くだけですよ」
まじファンの登場に引きながらも雑誌にサインをするリョウガ。
「はい、ありがとうございます」
満足したオタク捜査官は大事そうに雑誌を抱えて取調室を出て行った。
「知らなかったが、良くサインねだられたりするんですか?」
「まさかぁ! 初めて言われました」
「そうか…って事は、あの新入りは結構な変り者かもな」
「きっとそうですよ」
「私の部下じゃなくて良かった」
サインを貰った新人捜査官が、はしゃぎ過ぎたせいで梶山とリョウガが取調室にいる事が矢野口の耳に入る。
連絡が無い事に少し不満そうな矢野口が二人の居る取調室の扉を開けた…矢野口の顔を見たリョウガが気まずそうにするが梶山はなに食わぬ顔で話し出す。
「矢野口さん、どうぞ座って下さい」
梶山がパイプ椅子を出した…
「戻ったなら声を掛けて欲しかったですね」
「それは失礼、実は例のこずえと言う女とリョウガ君の会話を盗聴する予定なのでその時誘おうと思っていたのですが…」
「そこです! ずっと気になってました…2人はなぜその女を…」
リョウガ
「…あたしは、もともとこずえが嫌いだったから直ぐにこずえを疑いましたけど… 警部さんは何でこずえを疑ってるか確かに気になります」
「うん、捜査のいろはで…整合性の取れない人物は徹底的に洗うべき…と言いたいけど、私は最初の事情聴取で何とも言えない違和感をこずえに感じた…いわゆる刑事のカンってやつかな、年を取るとそう言う事に固執してしまってね…だから1人で捜査していた」
矢野口
「証拠の無いカンだけに、他の刑事を使いづらい…そこにリョウガ君が現れた訳ですか」
「要約するとそうですが、誤解が無いように言うとリョウガ君は擁護が大前提です」
リョウガ
「本当です! 梶山警部が居なかったら…どうなってたか」
矢野口
「ちょっと待って下さい…言いかたが悪かった見たいですが私は梶山さんがリョウガ君を利用してるとは思ってませんよ…梶山さんが言った通り要約しただけです…私は皆さんとチームだと思ってますから」
梶山
「チーム…それは、特捜の事ですか?」
「そうです…彼方を指名してますよ」
梶山は、こずえが坂下あきらを売人になるように勧めた事やドラッグマンの捜査に興味を示す事などを矢野口に話した。
矢野口
「確かに気になりますね…」
梶山
「では、盗聴はご一緒して下さると…」
「それは、彼方に任せます」
しばらくして矢野口が巡査部長の佐藤を呼んで特捜のメンバーが揃った。
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