第11話 異端児
佐藤君は言われた通りリョウガに電話をして矢野口が聞きたい事があると伝え、リョウガから話をする約束を取り付けた。
「矢野口警部、18:00以降なら帰宅してるそうなので電話に出るそうです」
居留守を使った手前、リョウガは佐藤刑事に18:00頃帰宅すると伝えていた。
「電話?」
「はい、電話ならOKと言う事です」
… 家に居るのに帰宅…しかも電話ですか …
「いや、直接会います…車を回して下さい」
リョウガが居留守を使ったと思っている矢野口は迷わずリョウガのマンション向かった。
そして、神奈川県警察本部では矢野口と同じ頃に転属した谷口という刑事も城山リョウガの情報を集めていた。
日本語学校 校長室
校長室は小さめの窓が1つで防弾ガラス、壁には絵画が2つ飾られている、壁側右にPCとコーヒーメーカーが乗ったデスク、壁側左にボックスソファーとシンプルだが豪華な部屋だ。
校長が1人優雅にコーヒーを飲んで居ると校長室専用のセキュリティが高いガラケーが鳴った…相手は県警に転属した谷口刑事だ。
: よう、サイバー課が急に動き出したと思ったら面白いヤツが絡んでた…
: もったい着けるな、簡潔に報告しろ…
: ハイハイ、検察庁ハッキングの犯人城山リョウガが情報を提供してる…
: なに!? 数年前天才ハッカーともてはやされたあの犯人か?
: そうだ、どうやら害者(あきら)の友達で敵討ちって訳だ…
: 敵討ち…だから無償で協力する訳か…
: ヤツとサイバー課が組んで捜査したら携帯が繋がってる時に場所の特定も出来るんじゃないか…
: 不味いな…
: また殺すか? どっちだ…城山かそれとも可愛がってるペット君か?
: 余計な詮索はするな、お前は正確な情報を伝えてくれればそれで良い…
麻薬取引の掲示板から複数のアクセス場所が割り出されていて、それらを校長に伝えると谷口は電話を切った。
校長はガラケーをデスクの引き出しに仕舞うと何事も無かったかのようにまたコーヒーをすすり出した
翌日
日本語学校 校長室
校長はカルロ(ドラッグマン)を呼び出し昨夜の谷口の話を聞かせた。
カルロ
「オレはそう言うのは詳しくないが…この学校も飛ばしの携帯もバレたとなると厄介だな」
校長
「… どうだ、天才ハッカーに追われる気分ってのは?」
「なんだそりゃ…他人事見たいに言うな…何とか出来ないのか?」
「ふっ…そうだな、まぁ警察に居るイヌが何かあったら連絡して来るから今まで通り動いてろ」
「この感じで今まで通りって、大丈夫なのか? 」
「まだ、ハッキリした事は言えないな…」
「おいおい、そのハッカーはオレを捕まえようと動いてるんだろ…」
「そうだ…しかし実際ネットに繋がるのは僅かな時間だ、動いてるし…そこを捕まえる何て有り得ると思うか…」
「それを出来るかどうか、早くイヌに調べて貰ってくれ」
校長は分かってると頷くと、取引を人の居ない所でする様に命じてカルロを返す…
「取引は人けの無い所でな、もう帰って良いぞ」
カルロは校長室を出ようとドアに手を掛けると振り向かないで校長に言葉を投げた…
「今、殺り合えばオレの方が強いぞ…」
捨て台詞を吐き、出て行くカルロの背中を校長は無言で見ていた。
カルロの捨て台詞の意味は、オレに手を出せば痛い目を見るのはそっちで、事態の収集でオレを殺すのは得策じゃない…昔とは違うぞと校長に釘を刺した事になる。
闇の住人達に警戒されて居る事をまだ知らないリョウガは、こずえの情報をネットで検索していた…すると、そこにこずえからのメールが来た。
〝昨日は、心配してくれてありがとう。大丈夫って言ったけどやっぱり1人の時は不安になるの…よかったら今夜一緒に食事しない?〟
リョウガは暫く考えると警部に電話をする。
: もしもし、リョウガです…
: 早速、何か分かったかな?
: いえ、それはまだ何ですけど今こずえからメールで食事に誘われたんです…
: こずえから…? 向こうから誘って来たのなら、何か話しがあるのか…
: たぶん、時間と店が決まったらメールします…
: 外食の誘いですか?
: あっそう言われると、一緒に食事しようと言われただけなんですけど…
: たぶん、こずえのマンションでの食事だと思うよ…
: えっ、どうしてですか?
: こずえにはきっと裏がある…だから他人に話を聞かれたくないはず…
: えっ、それじゃ他人に聞かれるレストランとかに誘って来たら…こずえはしろですか?
: まぁそうなるが… 私が思うにこずえは完全に怪しい…だから他人に聞かれない自宅での食事だと思う…
: そうですか…兎に角返信して見ます…
: 決まったらまた電話して下さい…私も話を聴ける様にリョウガ君には盗聴器を付けて貰いますよ…
: はい… それとサイバー課の刑事さんから電話があって例の警部さんが話をしたいと言って来たの6時過ぎなら電話に出るって言ったので掛かって来ると思うんですけど…
: やっぱり来ましたか…矢野口には要件だけ確認してこっちの事を聞かれたら友達を殺した犯人を早く捕まえろの一点張りでお願いします…
: 分かりました…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます