第5話 3人目の女
【3人目の女】
坂下の交際相手の森高こずえが任意同行に応じ無いため、警察は家宅捜索をしたがクスリは見付からなかった…しかし、鑑識が持ち帰った頭髪を調べるとSの陽性反応が出た。
手掛かりを掴めない警察は3人目のこずえにもあまり期待せずに尋問を始めた。
「坂下あきらさんを知ってますね?」
「弁護士を呼んで。 早く帰りたい…」
「君はS常習者として捕まったんだぞ…簡単に帰れる分けないだろ」
「弁護士を呼んで…罠よっ、私はクスリなんて身に覚えがありません」
捜査一課 久留米刑事
「梶山さん、ちょっといいですか…」
久留米に呼ばれ、取調室を出る梶山警部。
「なんだ…」
「森高こずえの会社の社長が弁護士を連れて女との面会を求めてます」
「ちっ…面倒な事を」
弁護士と面会した後こずえは黙秘権を行使して、何も話さなくなった。
取調室
梶山警部
「黙秘はいただけないなぁ~裁判で不利になるぞ…」
「……」
「これは単なる麻薬捜査じゃない。れっきとした殺人事件なんだ、しかも殺されたのはあんたの彼氏だろ…」
黙秘権を行使していたこずえが警部の発した〝あんたの彼氏だろ〟に強く反発して話し出した。
「彼氏!?誰がそんな事を…」
「違うのか?坂下指名でホストに通ってるじゃないか」
「そう言う事… でもどちらかと言うと彼が私に惚れていただけよ」
「本命は社長さんか?」
社長のワードにこずえが怪訝な顔をして警部を睨む。
「…調べたの?たかが薬物使用で…」
「いったろ、これは殺人事件だ」
「私には煩わしい時間なだけ…坂下は単なる友達の一人」
「裁判になればもっと煩わしいぞ…我々も末端の薬物使用者をいちいち挙げようとは思わない…調べてるのは殺人事件だ」
「協力すれば煩わしい時間が減るの?」
「その通りだ」
「弁護士さんは確実に無罪になると言ってたわ…」
「…いや、裁判は長引くし愛人関係や他の男関係も調べるから恥をかく事になるぞ」
「脅し?弁護士さんに言うわよ」
「今のは、これからの説明で脅しではない」
「あんな男どうでもいいのに…何で私が…」
「簡単な事だ、知ってる事を全部話すだけだ… そうすれば裁判何て事にはならない追ってるのは、殺人犯だ…」
「分かった…でもその前に弁護士に会わせて」
警部はこずえを弁護士と面会させてから取り調べを再開する。
「坂下さんに金を貸してくれと頼まれてませんか?」
「…貸したわ200万、倍にして返すと言ってた」
「クスリを売ってか?」
「どうやってかは、知らない…」
「……」
警部の無言のプレッシャーに言葉を付け足すこずえ…
「本当よ…」
「坂下は貴女に惚れていた…それは確かですか」
「本人がそう言ってたから…でも、彼が嘘を付いてたなら別だけど」
「貴女は坂下さんにクスリで縛られてたんじゃ無いのか?」
「私は彼に付き合ってたまに吸ってただけです…裁判では飲み物に混ぜられていて知らなかったって言うわよ」
「大丈夫だ裁判にはしない…」
「…一応、信じるわ」
「あぁ…安心して質問に答えてくれ…坂下がクスリを何処から買ってたか知ってるか…」
「ドラッグマン…そう言ってたわ、フィリピン人の売人だと…」
「ドラッグマン!?」
「彼の事でクスリに関する事はそれくらいしか知らないの…」
「そのドラッグマンとは携帯で取引してましたか?」
「ん~、スマホだけどネットで買ってた見たいよ」
「ネットか…」
「警察には、サイバー課があるんでしょドラッグマンを知ってるんじゃないの…」
「たしかに、何か分かるかもな」
「これ以上私と居ても時間の無駄でしょ…解放して、私はドラッグマンの事は何も知らないから」
こずえは解放され、警部はサイバー課にドラッグマンの照会を頼んだ。
久留米刑事
「ドラッグマンを突き止めれば解決ですね」
梶山警部
「そう願いたいもんだな… だが引っ掛かるんだよ…あの女、こずえは他の女達とは毛色が違うし惚れてたのは坂下で私じゃないと…なのに金を貸した…それに、若い娘にしては警察署に連行されて落ち着いているし…なんか不自然じゃ無いか?」
「確かに、他の女とは違いますね…他の女達が聞かされてない事も知ってた…」
「…ドラッグマンの結果が出るまで、こずえを洗ってくれ」
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