第3話 幼馴染の危機
「ふぅ、あぶなかった……」
夕焼けに照らされている街の中、レックスは呟いた。
「ていうか、なんであんなところにドラゴンがいたんだ?初めて見たぞ」
レックスが疑問に思っていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれぇ〜レックスじゃーん」
「ん?」
レックスが振り返るとそこには一人のネコ獣人が立っていた。年齢は10代前半くらいのメスで身長は150cmほど。小さめのバッグを手に持っていた。
「おうリンカ、こんなところで会うなんてな。元気してたか?」
レックスがそう聞くと彼女は笑顔になった。
「うん!レックスも相変わらず元気そうだね」
「まぁな。ところでこんな所で何してるんだ?」
「私は塾から帰るところ。レックスは?」
「俺はちょっと遊びに行ってた」
レックスがそう答えると、リンカはレックスの隣に寄ってきた。
「明日からまた学校だね」
「はぁー、勉強やだな……」
「体育は?」
「大好き!」
「ふふっ、やっぱりレックスは運動バカね〜」
「うるせーなー」
二人は笑いながら話していた。
「それじゃレックス、また明日ね」
「ああ、またな」
レックスは手を振りながら歩いて行くリンカを見送った。
「さて、俺も帰ろっと」
レックスも家に向かって歩き始めた。すると、
「きゃっ!」
後ろからリンカの短い悲鳴が聞こえてきた。
「リンカ?」
レックスは来た道を戻ると、リンカが何者かに連れさらわれている様子が見えた。
「おい、マジかよ……」
レックスはその様子を見つつ、気づかれないようにリンカを追うことにした。レックスは屋根の上に飛び乗り、リンカを連れ去っていく集団の姿を確認する。人数は5人。リンカを強引に車へ乗せ、走り出した。
(あいつらどこに行くんだ?)
レックスは屋根の上を走っていく。そして車の後を追いかけていくうちにとある場所に着いた。
「ここは……教会か?」
レックスは教会の裏に回り込み室内に入った。そこは薄暗く、奥の方には祭壇があった。その周りに黒いローブを着た男達が立っていた。祭壇の前には十字架があり、そこにリンカが縄で縛り付けられていた。
(リンカ!なんでこうなってんだよ……)
レックスは身を隠しつつ様子を伺っていた。
「おい、早くしろ」
「分かってますって」
男はそう言うと懐からナイフを取り出し、刃先をリンカの首元に向けた。その瞬間、レックスは目にも止まらぬ速さで突進し、勢いに乗せて男を蹴り飛ばした。
「ぐはあっ!!」
男は壁を突き破りながら飛んでいき、壁にめり込んで動かなくなった。
レックスはリンカの前に立ちはだかり、残りの男を睨みつけた。
「お前はさっきのガキか!?どうやってここまで来た!?」
「なんだっていいだろうが!!」
レックスは怒鳴り、拳を構えた。
「見られた以上お前も生かしてはおけん。死ね!」
男達は一斉にレックスに飛びかかってきた。
「おりゃああっ!!」
ドゴオッ!! バキッ!! ドガアッ!! レックスは次々と襲い掛かってくる敵を殴り飛ばしていった。
「ぐふぅっ!」
「がばぁっ!!」
「ぶべぇっ!」
敵は一撃で気絶していく。
「く、クソッ!なんなんだよこのガキは!」
最後の一人となった男が逃げ出そうとした時、背後から強烈な蹴りが男の顔面に命中した。
「逃すかよっ!!」
ドゴオォンッ!!
「がふぁっ!!」
その衝撃で男は吹っ飛ばされて倒れ込んだ。
「大丈夫だったか?リンカ」
「私は大丈夫。だけどレックス、そんなに強かったの?」
「まぁな、それよりこいつらどうする?警察にでも――」
突然レックスは後ろを振り向いた。そこには屈強な肉体をした大柄の熊獣人がいた。体長はレックスの2倍以上もある。
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