第2話 星が見えない街 二

 高橋梓たかはしあずさのことで、今日も恵人けいとから相談があった。梓の誕生日が八月だから、誕生日を祝ってあげたいという。

 恵人けいとの誘いに対し、あずさは一対一という条件では、なかなか、いい返事をしてくれなかった。そこで、何人かで集まって、あずさの誕生日パーティーをしたいという。


 この相談については慈代やすよも、別に反対する理由もなく『協力してあげる』ということになった。それから恵人けいと慈代やすよは頻繁に連絡を取る様になった。電話をすると二時間、三時間は当たり前のように話をしていた。

 そして二人の会話は、『梓のこと』よりも、慈代のアルバイト先のことや最近の演劇部のことなどの会話が多くなり、結構、慈代のプライベートなことについて話すことも多くなってきた。プライベートと言っても、彼女は付き合っている男性がいるわけでもなく、アルバイト先や演劇部の仲間に対する愚痴などを恵人が聞いてあげることが多かった。

 そういう会話の中で恵人の方も、慈代が恵人に対して心を開いてくれていることがよくわかった。


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