第28話 調査結果
精霊を召喚してから、数日経過してルーンのレベルが5まで成長した。
〖エレメンタラー〗のレベルが上昇すると召喚した精霊たちのレベルが上がっていくのがわかった。つまり、最初に召喚した四体の精霊はレベル1の状態だった。
今も姿は変わっていないけど、1から5に上がったおかげなのか、凄まじく強くなっている。
まず、彼らが放つ魔法は普段からそれぞれ属性のバレットだが、レベル1だと親指の爪くらいの大きさだけど、レベルが上がれば上がる程に威力、大きさ、弾速がどんどん上昇していく。
精霊の大きさは変わってはいないのに、魔法の性能だけが上昇しているので見た目と違って凄く強い。
アリスもどんどん強くなっていく精霊たちに苦笑いしていたくらいだ。
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名 前:アレン・ティグレンス
才 能:make progressLv.4
レベル:75
状 態:〖ブレッシングLv.8〗
【能力値】
筋 力:D- 耐 久:B+
速 度:C- 器 用:D-
魔 力:A+ 知 力:B+
耐 性:D+ 運 :C-
【ルーン】
・フレイムバレットのルーンLv.9
・アースランスのルーンLv.8
・ブレッシングのルーンLv.8
★小経験値獲得のルーンLv.7
★回避のルーンLv.7
★探知のルーンLv.7
★聞き耳のルーンLv.7
★魔素自然回復のルーンLv.5
★エレメンタラーのルーンLv.5
【魔法】
〖フレイムバレット〗〖アースランス〗
〖ブレッシング〗〖エレメンタラー〗
【スキル】
〖探知〗〖聞き耳〗
【マスタリー】
〖小経験値獲得〗〖回避〗〖魔素自然回復〗
【ルーン倉庫】
・ワープのルーンLv.9
・投擲のルーンLv.1
・瞑想のルーンLv.6
・忍び足のルーンLv.6
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そんな日々を暮らして、遂にその日がやってきた。
「お待たせ。みんな。今日は例の件で話しがあるよ。奈落に移動してもらってもいい?」
ということで倉庫からセリナさんと一緒に奈落にやってきた。
もちろん僕の手にはココアーデが握られている。いつも用意してくれるセリナさんには感謝するばかりだ。
「まず一つは、ディルシアン男爵家の腕輪ね。あれはディルシアン男爵家のものだったよ。腕輪の持ち主は男爵家の次男のものだったよ。で、ディルシアン男爵に付いて説明すると、迷宮都市の隣のキリアルジ街で活躍している貴族様で、主に商売を生業にしているよ。キリアルジ商会はそこを中心に周りの街でかなり広く商売を営んでいるよ」
「迷宮都市にもいらっしゃるんですか?」
「ううん。迷宮都市はね。特別な法律があるので、商会が入ってはいけない法律になっているんだ。あくまで迷宮都市だけの商人じゃないと商売しちゃいけないって法律があるのよ」
「そんな法律が?」
「ええ。迷宮都市ってダンジョンがあって、そこから魔石の欠片からドロップ品まで、色んなものが取れるからね。それを独占させないように――――逆に言えば、迷宮都市を牛耳っているエンブレイム家が独占しているとも言うわね」
「エンブレイム家……」
迷宮都市に住んでいるとその名を知らない人はいない。迷宮都市の領主であるエンブレイム家だ。
「さて、そんなディルシアン男爵家の次男さんだけど、家は長男が継ぐことになっているので、次男は家のために迷宮都市で店を持ち、実家と商売をする予定のはずだった。でも何かしらの理由でダンジョンに潜る冒険者になって、たまたま死亡してしまった。それが今回の出来事だったみたい。腕輪は家に返しておいたよ」
「ありがとうございます」
腕輪が欲しかったわけではないので、次男さんのためにも実家に戻れたのなら嬉しい。
「さて、次の問題の【魔物寄せの香】なんだけど、これについてはよくわからなかった。ただ一つだけ怪しい噂を聞きつけたよ」
「怪しい噂ですか?」
「ええ。とある集団と関わった人達が
三人組ということと、スタンピード、仲間が亡くなっていることで思い浮かぶ人たちがいる。
「その人たちって、まさか……三人組から二人亡くなっていますか?」
僕の質問にセリナさんが頷いて返す。
「ええ。その通りよ。その三人組が一緒に組んだのがディルシアン男爵の次男さん。そして次男さんを含め、リーダー以外の二人も亡くなったそうよ。生き残ったリーダーはダンジョン五層でスタンピードが起きたということで申告があった。でも実際ダンジョン五層のスタンピードは起きてなかった。ただ五層で亡くなった冒険者も複数いるようなので、本当か嘘か判断が難しかったみたい」
僕とアリスは目を合わせてしまった。
「恐らくアレンくんたちが倒し切るまでの間、間に合わなかったんでしょうね。彼は虚偽申告の疑いがあるから、今でも牢屋の中に入れられているらしい」
その時、一つだけ気になったことがあった。
「あの時、彼らはどうしてもディルシアン男爵の次男さんの腕輪を欲しがってました。僕が一人で五層で戦えてたから様子を見て僕を見逃したみたいだったけど、スタンピードを使って僕を殺そうとしてました。たまたまアリスが先に巻き込まれて、ああいう状況になってしまいましたね」
「ではここで一つ仮説を立てるよ。彼らは何らかの理由で誰かを疑似暗殺し続けていた。そのやり方としてダンジョンに入り【魔物寄せの香】を使ってスタンピードと見せかけて疑似暗殺を行っていた。さらに今回の目標がディルシアン男爵の次男だった。けれど、今回何かしらの間違いがあって【魔物寄せの香】で呼び寄せた魔物の数が多くなり過ぎて、自分達の命も失ってしまったのかしらね」
「その線が一番濃厚そうだわ」
ずっと聞き続けていたアリスが声をあげる。
「では次なる課題は二つね。彼らがどうして疑似暗殺を企てていたのか、【魔物寄せの香】をどうやって手に入れているのかね」
「その二つは同じ出所でしょうね。誰かから依頼されて【魔物寄せの香】を使って疑似暗殺を行った。となると迷宮都市内に【魔物寄せの香】を作れる人がいると見ていいけど、恐らく一人ではここまで大きなことはできないとなると――――組織でしょうね」
「ええ。アリスちゃんの言う通りね。ということなので、これからその組織を探そうと思うんだけど、ここで私から一つ提案なんだけど、ディルシアン男爵家を巻き込んで動いた方がいいと思うんだけど、二人はどう?」
「それは少し待ってください。そもそも彼が暗殺される理由がわからない。となると予想になるけど、ディルシアン男爵家の誰かが次男を殺して欲しかったのかも知れません」
アリスの言いたいことが妙に納得いってしまった。
「わかった。それなら方針を変えて、彼にどうにか接触する方法を探しましょう。アレンくんもアリスちゃんもこれから一緒に迷宮都市で動いてくれる?」
「わかりました」
その日からセリナさんと一緒に迷宮都市で動くこととなった。
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