第7話 祝福

「これでいいかい?」


「はい。いつもありがとうございます」


「いんや。こちらこそありがとうだよ~いつも言っているけど、だいぶ安く・・買い叩いているからね?」


「ええ。構いません。僕は生きるための物資が欲しいですから」


「ふう~ん。まあいいや。これからも魔石の欠片をよろしくね~」


 そう言いながら離れるのは、僕に物資を売ってくれるありがたい存在のセリナさん。


 大きなリュックを背負った彼女は、特殊な才能を持っていてダンジョン内でも魔物から攻撃されることがないのでダンジョン内で商売・・を営んでいる。


 もちろんダンジョン内なので外よりも随分と売買額が違うはずだ。それでも生きるための差額くらい大した問題ではない。


 僕がダンジョンに潜ってから一か月が経過した。


 世界は一年四カ月でできており、一月が九十日になっている。なので三百六十日が一年となる。


 九十日間もダンジョンに潜って居られたのは彼女――――ダンジョン内の旅商人の存在のおかげだ。


 彼女が買い取るものは【魔石の欠片】と呼ばれている魔石で、魔物を倒した時にたまに落ちるドロップのだが、錬金術の基本素材らしくて非常に需要があるみたい。僕はそれを彼女に売って、そのまま食料を購入する生活を繰り返している。おかげで九十日間もダンジョンからに出ずとも生き延びることができた。



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 名 前:アレン・ティグレンス

 才 能:make progressLv.3

 レベル:38


【能力値】

 体 力HP:E   魔 素MP:D-

 筋 力:F+  耐 久:F+

 速 度:E+  器 用:F+

 魔 力:D-  知 力:D

 耐 性:F+  運  :D


【ルーン】

・ワープのルーンLv.9

・フレイムバレットのルーンLv.9

・-


【魔法】

〖ワープ〗〖フレイムバレット〗

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 レベルは38となり、すっかりとステータスが全体的に上昇した。魔素の上昇と【フレイムバレットのルーン】のレベルが9に上昇したので、一日中使うことができる。さらに威力も上昇したのでスケルトンだけでなく、二層に出て来るダークウルフやホブゴブリンでさえも二発も当てれば確実に沈めることができるようになった。


 さらに才能【make progress】のレベルも2から3に上昇したが、そのとき獲得したスキルは【ルーン成長速度上昇】だ。大体半分の期間でレベルが上がるようになった。それでも未だにルーンのレベルが10には達してない。


 魔法【ワープ】を使用して奈落に移動して購入した食事を食べ始める。さらにリュックの中に食料を詰めて残しておく。最近の狩り方はこうして奈落で食事を済まして六時間休憩して魔素を回復させては【ワープ】で表に出て狩りを続けてまた奈落に戻るを繰り返している。


 レベルが上がってくれたおかげで、フレイムバレットは三百発使えるようになった。ワープはレベル9となってフレイムバレット換算で十五発分なので、往復分で三十発分だ。二百発は軽く撃てるので心強い戦力である。


 さて、ここで九十日も生き延びて一つ思うのは――――【運】というステータスをもうちょっと上昇させたい。セリナさん情報だけれど、どうやら【ドロップ率】に大きく関わっているらしい。【魔石の欠片】をドロップさせるにも、【ルーン】をドロップさせるにも、とにかく【運】を上昇させたいのだが、上昇させる方法は限られていてあまり望めないらしい。


 まさか、九十日も狩りを続けて【ルーン】を一つも手に入れられないとは思いもしなかった。


 アンガルスたちに勝てるくらいに強くならなくちゃ。迷宮都市に戻るには力が必要だ。もっと……もっと強くなれるように今日も瞑想で戦いのイメージトレーニングを行い、数時間後魔素が回復してまた狩りに出かけた。




 ◆




 数日後。


「で、出た!」


 思わず声を出してしまったのは、目の前に倒れたホブゴブリンの上に眩い光を放ちながら宙に浮いている宝石――――水色のルーンを手にした。


 すぐに装着して進化先も確認する。



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 名 前:ヒーリングのルーン

 進化先:

【ブレッシングのルーン】

 ┗条件:Lv.5

【自然治癒のルーン】

 ┗条件:中級進化、Lv.10

【アークヒーリングのルーン】

 ┗条件:上級進化、Lv.10

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 回復魔法の【ヒーリング】が使える。傷を治す魔法で需要は多い。でも進化先の【ブレッシング】という魔法がより惹かれるものがある。


 本で読んだ通りの魔法なら、ステータスを全体的に上昇させてくれる補助魔法のはずだけど、その中に【運】も含まれているはずだ。


 ルーンのレベルを5に上げるのに四日もあれば上げられる。それまでゆっくり狩りをしながら待つ事にした。




 ◆




 四日後。


 【ヒーリングのルーン】のレベルが5になったので、早速【ブレッシングのルーン】に進化させられる。残念ながら【ヒーリング】は試し撃ちで一度使ってから一回も使わなかった。そもそも遠距離でフレイムバレットを撃つので怪我は基本的にしないし、フレイムバレットは連射が利くので急に現れた魔物にも対応できるのだ。


 早速進化した【ブレッシングのルーン】を装着すると新しい魔法〖ブレッシング〗が使えるようになった。消費魔素量を確認しなければならないので、一度六時間の回復を終えて魔素が切れるまで〖ブレッシング〗を使い続けた。


 結果的に、レベル1の時点でフレイムバレット換算で六十発分が必要だった。ワープのレベル1の時点と比べて計算した結果、ワープ一発→ブレッシング二発→フレイムバレット三十発。という計算になる。ただ、ブレッシングのレベルが1のままだとレベル上昇で消費魔素が軽減したフレイムバレットやワープにとても勝てない。


 ブレッシングの継続時間は二十分。一時間は継続させるには三回使わないといけない。効能は【耐久】【魔力】【耐性】【運】の四つのステータスが一段階上昇する。もしレベルが上昇してステータス上昇値がさらに増えたらとんでもない魔法になるかも知れない。が、レベル5になるまでは一応封印だ。




 ◆




 四日後。


 【ブレッシングのルーン】のレベルが1から5に上昇した。これでようやく〖ブレッシング〗の解禁だ。


 狩りに出る前に上昇したステータスを見てみると、予想通りそれぞれのステータスがなんと五段階も上昇している。これはとんでもない上昇で、四種類のステータスを五段階上昇してくれるので、レベルで言うなら二十分上昇させているのと同じだ。


 レベルが40となった僕だが、数値だけなら60に匹敵する。これがまだ【ブレッシングのルーンLv.5】でこうだけど、10になった時に真価を発揮する。四つのステータスを十段階上昇…………それだけでレベル四十分に相当する。末恐ろしい魔法だなと思いながら出かけた。



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 名 前:アレン・ティグレンス

 才 能:make progressLv.3

 レベル:40


 状 態:〖ブレッシングLv.5〗


【能力値】

 体 力HP:E   魔 素MP:D-

 筋 力:F+  耐 久:C-

 速 度:E+  器 用:F+

 魔 力:B-  知 力:D

 耐 性:D-  運  :C+


【ルーン】

・ワープのルーンLv.9

・フレイムバレットのルーンLv.9

・ブレッシングのルーンLv.5


【魔法】

〖ワープ〗〖フレイムバレット〗

〖ブレッシング〗

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