第18話―臨済時での勉学―
透き通るような蒼空。
この日もボクは臨済寺で勉学に励んでいた。
「まだサムライが政治で治めていく黎明期。
これまで護衛や傭兵に過ぎなかった武士が地位向上していた」
鎌倉武士と戦国時代の武士は思想や戦術など似ているようで違いはいくつかあった。
本格的に参加する政治面では不慣れが多くて謀反や謀殺など血で洗うことが目立っていた。
3代執権が敷くことになる法律が出来るまでは。
戦国時代の武士は治める国の政治はそれぞれ独立して行っていた。
先人が辿ってきたことや公家との付き合いもあり文化や知性も身につけるのが一般化して破滅的な欲動のある鎌倉武士よりも理屈で行動する事となる。
「それによる色権濫用を振るたり、民から搾取する行為、なによりも争いの火種を止めるため。
政権を手にする鎌倉幕府がそうした最初の武士法が
またの名を
日本で武士だけに対象にした1223年に法律を制定したファースト武家法となる。
その時代では教養が不足している武士もいるため文字は
「おぉー!晴人くん法律の勉強しているんだね。
あれ?これは歴史の勉学でもあるのかな。
うーん、分からない」
ヒマになって縁側で足を揺らしているナビゲーターのクレマチス。
当然さぁ。こんなハイレベルな勉強環境で学べれば成果は現れる。
空を移動するのも億劫とみてクレマチスは首を後ろに反らして褒めてくれた。
「ほう、ここまで感心とは偉いな竹千代は。
ああ、それが先駆けとなり長年に続いてきた法。
今では土地を統べる大名達それぞれが独自な
教壇はないため向かいに座る位置に太原雪斎だ。
貴重な時間を人材を自らの手で育てようと太原雪斎は褒めてく人を伸ばしていく。
勉強には先天性の才能が必要だとは疑わずに信じていたがそれは誤りだったとボクは学んで知った。
けど勉強は特別な資格なんていらなかった。
勉強に苦手な意識を持っていた頃のボクは才能がないと限界が迎えると考えていた。
どこかで立ち塞がって進まなくなると。
「先生……ありがとうございます」
「んっ、感謝とは?」
広がる戦場を静かに見下ろして指揮を執ったり軍略、敵対する勢力を外交で陣営を有利な方向へと人為的に進めさせてりする謀略を図る歴戦の将たる太原雪斎でも困惑していた。
まあ、突然お礼なんか口にすればそうなるか。
そんなレアな姿に苦笑こぼす。
「はい。もし人質に……いえ身寄りのないボクなんかを引き取ってもらい手厚い高水準すぎる教育まで受けさせてもらって。
今更とんでもない養護を受けてもらい感謝しているんです。……正直ボクが一番に驚いています」
そうだ竹千代という孤児に等しい存在に手厚いすぎるのだ。
まだ強国の武士であれば幼い最後の生き残りではあれば権威を高めるのに
価値は見い出せる。
けど三河は太原雪斎わざわざ教えてもらえるほどの身分なんて遠いし配慮するまでもない。
これほど強くはない武家のために手塩を掛けてくれるのか?どうしてと疑問が拭えずに胸の内で日増しに強く残っていく。
駿河府中を京都とまで言わせるまでに成長させた立役者でもある太原雪斎はすぐに返事をしない。
少しの静謐が包まれ、言葉を選んで応えた。
「良いか竹千代。
こちらも慈善活動しているわけではないのだ。
高度な政治の駆け引きには弱小であっても利用する場合もある」
「高度な政治は知らないですけど」
なんて反論すればいいのか……。
ボクは言葉が浮かばず口を開閉を繰り返す。
根気よく待っていた太原雪斎は言葉を続ける。
「まだ納得しないのなら本音を打ち明けよう。
今川のために尽くせる人材を育成をするためだ。
いずれ味方となり忠節を燃やせて多大な恩義を返せるために」
成程とは思ったものの
(いずれボクが。
徳川家康が今川の忠節を尽くせる臣として選ばれたとは思えない)
そして太原雪斎の説明は終わっていない。
「では閑話休題じゃあ。
式目は三代
51ヶ条で構成まとめられたものは道理と先例と呼ばれる武家社会に向けて考案されたのじゃあよ。
まだ新しいため後に追加したのを追加式目」
竹千代を軍事の目的だと強調している。
それでも没落にある寸前を手を伸ばすのは優しさだとボクは心の中で異を唱えるのだった。
――地上を透明な光で照らしていた太陽は西へ逸らし燃えるような赤の夕映える。
ボクは臨済寺から送迎を任される家臣と帰宅してから一人で密かに外に出てきた。
駿河の郊外にある静寂に包まれた雑木林。
ボクは
「ねぇ晴人くん夕陽だよ。
そろそろ帰宅しないと家臣たちが心配するんじゃないかな」
「ああ、分かった」
空で寝そべっていたクレマチスが気怠そうに報せてくれた。
ここで足を運んで素振りをしていたのは身体を無性に動かしたくなったのだ。
坊ちゃんのような生活が続いたせいか。
はたまた病弱な体質な環境に窮屈さを解放感を味わいたくなり誰の目もない場所で運動してか。
黄昏が沈む前にボクは素振りをこの辺にして人質邸に帰ろうとして。
「んっ?」
視界の端から目映い光が襲う。
目を閉じて数秒間を置いて開けても発光すること止めようとしない。
ここへ隠れて素振りしていて今までこんな事はなかった。
今度は目を開けると光に慣れてきて異変が放つ光の正体を捉えようと目を凝らす。
どうやら眩しい光は大きくも小さくもない木。
「なんの光なんだッ!?クレマチス」
「これはイレギュラーで私も初めてかな。
アドバイスしたい所だけど助けに及ばないケース。
ここは触れず刺激させずここを去るべきだよ」
「それが妥当か。……いや、ここは調べよう」
「何が起きるか分からない。
下手に触れて取り返しのつかない最悪な状況になるかもしれないのに。
だから未知な光に調べるなんて危険だよ」
「ハハッ、そんなに心配しなくても……多分あの光はそんな害とか傷とか与える攻撃性のあるものじゃない。
そう直感するんだ」
ここから逃げるべきだと主張を必死に続けてくるクレマチスを押し切るようにボクは踏み込む。
手を伸ばす。
光に輝く木を恐る恐ると手で触れた。
しかし何も起きなかった。
今度は嗅いだり梢を見上げて思いつく調べを行ってま何事もなく木は静かに佇む。
怪訝に思っていたクレマチスは安堵した。
「やれやれ発光していただけか。
何もありませんでしたね。満足したから帰ろうね」
「ああ、そうだな。何も起きないようじゃあ……
なッ――」
頷いて応えると光は一層と強く光り輝きがます。
光度の高く染まっていくのを目の裏でも眩しく感じていると先程が嘘のように弱まっていた。
光が眩しい、眩しい、目が焼くほど眩しい。
目の裏で落ち着いていくのが分かる。
どうなったかと目を開けてみれば木は縦から真っ二つと割られていく。
そして中から人影が地面に落ちてきた。
光よりも輝きのある長い金髪を舞い落ちる美少女。
彼女は木の中から出てきた現実に戸惑い茫然自失となる。
見知らぬ彼女は、現地の人間とは格別した存在感に
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