第14話 one-handed self talk――片手間の自分語り――
ワタシ、花月マキは、ごく普通の家庭に生まれました。平凡でごくごく平和な日本の家庭――
ただし、私だけは異常でした。生後半年で普通に言葉を理解してましたし、自分の異常性にも気づけてました。異端で異様な異常すぎる存在だからこそ、真似ました。周りのごくごく平凡で平均的な赤ん坊を――
あたしは、努力したことがありません。周りの子が一生懸命努力していることも、見ればできましたし、不完全性も理解できました。だから真似ました。体の動かし方も、勉強も、なにもかも真似て真似て、どこにでもいる平凡な子どもを演じました。
わたくしは、全力を出してはいけないと、なんとなく理解できてました。だから、わたくしはわたくしの望むように負けて、周りの理想の友人を親の期待を裏切らない程度の子どもを演じました。
自分は何でもできるけど、特にやりたいことはありませんでした。やればできるとはいいますが、本当に何でもできてしまいます。成功させようと思えば成功できますし、失敗しようとすればできるので、本当に何をやりたいというのが思いつきませんでした。
そんな、あたしに変化が起きたのは、5つの時、母方の祖母が亡くなった時でしょうか? 酷く落ち込んだ母を慰めようと、祖母の真似をしました。一応、あたしにも家族の情という人間らしい感情があったのか、それとも、できない事を証明する為だったのか、今ではわかりません。祖母の仕草や口調に母の好きな祖母の手料理。完璧で完全なトレースができてしまいました。できてしまいました。つまらない限りですが、それでも母を元気づけるには十分であり、そして、狂わせるにも十二分でした。
両親が奇妙な宗教に入りびたり、あちきはその宗教の巫女にさせられました。そして、あちきは、望まれた役目を望まれただけやりました。プロファイリングにホットリーディングにコールドリーディング、さらに教団が集めた資料を基に完全な生前の人格を、技術を再構築。まぁ、つまるところ、つまらないことにあちきは、それができてしまう人間だったわけで、自分にできないことを探すように、できることを増やして増やしていきました。
そうなれば、教団は潤い、両親にも巨万の富を得る様になりました。そんな世界に平凡で凡庸な両親は、堕落して欲に溺れていきましたが、僕は、そんなものだろうなと思いながら、両親だったモノを見つめながら良心を失いました。いえ、失う良心はもうなかったのかもしれませんがネ。その頃の僕はといえば、結構な美少女という自覚はあったし、色気もでてたと思うよ。その証拠に教祖という名の肉の塊を誘惑したらあっさりと喰いついた。つまるところ、僕はそういうこともできるし、できてしまった。
まぁ、これらをひっくるめて、あっしは、気まぐれに教団を破滅させてみることにした。結果はあっさりと破滅。幹部も教祖もみんなみんな自殺したり殺し合ったり、その中に両親だった豚もいたようだけど、あっしにはもう関係ない話。そうなることも、その結末も、あっしの書いたシナリオ通りに進んで、その通りになった。つまらない限りでしかない。
それからも私の書いたシナリオから、話は外れず、平凡に生きてみたりしたけど、自殺は試していないと思って、試したらこの世界に呼ばれました。初めてのできないが自殺というのは意外でしたが、それでも、できないことを教えてくれたお礼に、望まれた役を演じてみました。本来は望まれたとおりに、しっかりと殺される予定だったのですけど、少しばかり役にのめり込み過ぎて、本当に普通になり過ぎてしまったのは、思惑外れでした。
この世界に来てから、私の思惑は外れてばかり、なので私は、こう思ったのです。もしかしたら、この世界なら私が全力を出して、この世界を破壊しようとしても失敗するのではと、そんなくだらない稚拙な思いで、片手間に語りながら戦ってみましたが、貴方は、期待外れでしたね。たしかローズさんでしたか? あなたとあなた方の戦いは語るに値しません。つまるところ、
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