第13話 more monsters than monsters――化け物よりも化け物――
エドワードたちを見送り、待機することになった。ウィリアムたちの小隊は――
「それにしても、こんな楽なミッションはないですよね」
「確かに。破壊神は凄いけど、一人で参戦するとか愚かだよな。この遊戯は数がものいうのにな」
「然り、然り。されど惜しむべきは、手柄を立てそこなったことですね」
緩み切り、談笑をしていた.
「君たち、気が緩み過ぎですよ。まぁ、気持ちはわかりますが」
優しい微笑みを浮かべながらウィリアムは嗜めるが、その本人も気が緩んではいる。
「いえ、緩み過ぎだとおもいますよ。ここは敵地なんですから」
音もなくその少女はそこに立っていた。異国の出で立ち、艶やかな着物に袴姿の少女――マキ――が柔和な笑みを自然体で立っていた。
「……まさか、そちらから姿をみせていただけるとは思っていませんでしたよ。降伏されるのなら楽にその首を刎ねて差し上げますが?」
「まぁ、怖い怖い」
コロコロと笑う姿は、コロシアムでみた弱々しい少女とは、印象が大きく違い過ぎてまったくの別人としか思えない。
「随分、印象が違いますね」
その質問ににこやかに笑いながらマキは答える。
「えぇ、あの時は、あれが私の役目だと思ってましたから……つい没頭してしまい、生きたいと思ってしまい。殺されそこなってしまいました。あのまま死ぬればよかったのですが……はぁ、本当に失敗でした。か弱い少女の精神の弱さまで模倣したのは本当に失敗でした。まぁ、生きてしまうのはいつもの事ですからしかたありません。ですが、ここでは、死ぬ機会はたくさんありそうで、嬉しい限りです。ですので殺されるに値する人間を演じようと思いますので良しなに」
袖で口元を隠しながら、くすくすと笑うマキをウィリアムを始め、配下十名が取り囲むように布陣する。
「そんなに死にたいなら、殺してやるよ!」
「オースティン!?」
完全に布陣が完成するよりも早く、一人の騎士が突進し剣を振るう。
「あらあら、抜け駆け先駆けは戦場の華といいますからしかたありませんわね」
それに対しても笑みを崩さずにいつの間にか手にしていた剣であっさりと突進してきた騎士の首を刎ねていた。
「死に花はさかせましたわね」
そういってオースティンと呼ばれた騎士だった物の近くに剣を突き立てる。そして、漸く、それがオースティンの剣であることに全員が気づいた。
それに気が付いた、女騎士は震えながら言葉が漏れる
「なんなの……あの女、ありえないでしょ。一瞬でオースティン先輩の剣を奪って首を刎ねるなんて……そんな、まるで――」
「バケモノ? いいのですよ。よく言われますから」
小声だったはずの呟きに回答が返され、驚きながらしっかりと剣を握り直し、睨みつける。
「それにしても、こちらも武器を持つくらいは待っていただかないと、無手の女の子相手に騎士が集団で襲うなんて醜聞がたちますよ」
そういって、手には葉が数枚ついた枝が握られていた。
「あら、葉がついてますわね」
葉をむしり取り小枝も落とすと、それを振るえる女騎士へと投げた。
「危な――」
「えっ…かはっ」
危険を察知して守ろうと女騎士の前にたった騎士を貫き女騎士の胸へと小枝と葉が深く刺さり絶命させる。
「あらあら、無駄死にというのでしょうねこういうの」
「き、きさまぁ」
仲間がやられ残り7人がそれぞれ動き出す。長槍の突進を軽く跳躍すると槍に乗るとその上を駈け、そのまま槍使いの顎を蹴り上げると槍使いの騎士は体は高く宙に舞い、マキはさらにその上へと飛び上がり喉を踏みつけながら地面へと叩き落とし喉を完全に踏み潰す。
その着地に合わせて横薙ぎに振られた剣をしゃがんで躱すと流れる様に立ち上がり、枝で鼻孔を貫きそのまま奥へと押し込みグリンと捻り脳を破壊し、膝から崩れる騎士を蹴飛ばし後方へと飛び距離をとると、先ほどまでいた場所に戦槌が振り下ろされる。そんな着地した場所に矢が雨あられと二方向から降り注ぐ。
「あら? 枝を落としてしまいましたね」
そんなことをいいながら、飛んでくる矢を気にするどころか,飛んでくる矢を掴みながら矢の雨が止むのを待つ。速射だろうと乱射だろうと、結局のところ矢数は限りがあるのは当たり前。矢の雨が止めば――
「この矢は返しますね」
矢を放っていた射手の眉間に投げた矢が刺さる。手で投げたはずの矢が刺さるなど考える暇もなく絶命する。そして、再び降り下ろされた戦槌をふわりと躱し、距離を詰める。
「凄い力ですね。けど――」
手刀で首を掻き切り、戦槌の騎士は絶命する。残るは剣をもった騎士が二人。絶望的といっていいが、それでも二人は前後から挟み撃ちを狙う。
「あらあら、困りましたね」
大げさな困ったそぶりをしながら正面から振り下ろされ背後から大きく横薙ぎに振るわれる剣を確認しながら、いつの間にか正面にたっていた騎士の背後へと周り、背中を押すと、バランスを崩し、振り下ろした剣はもう一人の騎士を袈裟斬りにし、さらに横薙ぎに振られた剣が首を落とした。
「もう,お終いですか? ちょっと物足りないですね」
「凄いですね。彼らだってそこそこのレベルのはずなんですけどね」
そういってウィリアムはサーベルを構える。
「配下が全員死ぬまで待っていたんですか?」
「貴女の実力が知りたかったのでね。確かに、凄い技量ですが、僕は『疾風』の通り名をもっています。彼らと同じと思うと痛い目にあいますよ」
「それは楽しみですね」
コロコロと笑う。美形の剣士ウィリアムは油断なく最速最大の剣技を放つ。
「【サプライズ・スティング】」
音速の突き技。これを回避など不可能。そう確信して放った瞬間、首が宙を舞い、そして、その目に映ったの影から伸びた鎌が自分の首を刈った様であった。
「クスクス。その子はシャーちゃんという『シャドー・ストーカー』という魔物ですよ。あらかじめ召喚させてもらったのです――私は召喚士ですから」
天使のようなか微笑みで悪魔の笑顔を浮かべて落ちた首を拾い上げるのであった。
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