第10話 Unearthly talent――人外の才能――

――スケルトンの真名を100%解析しました――

――スケルトンの召喚符が生成されます――

――初めての召喚符を獲得しました。天命値が+1されます――

――スケルトンの召喚符を手に入れました。天命値が+1されます――


「このカードは?」

『それが召喚符だ。それを用いれば、スケルトンが召喚できる。試してみろ』


 促されてカードを構える。


『詠唱が頭に浮かぶであろう? その通りに唱えよ』

「分かりました。骨より成る死者たちよ、我が呼び声に応じて現れでよ! 冥府の力により再び命を与えん。死せる者たちよ、恐れることはなく我が軍勢に加わわれよ! 甦れ、「कङ्कालम्スケルトン」!」


 地面に魔法陣が浮かび上がると、黒い渦から、みすぼらしい腰布と粗末な槍をもったスケルトンが姿を現した。


「これがスケルトンですか」

『うむ。せっかくだ名前を与えてやるがよい』


 マキは、少し考えるとスケルトンを指さし。


「では、君はこれから『ボーン太』くんです」

『……それで、良いのか?』

「普通にカワイイ名前ですよね?」

『吾には人の感覚は解らぬ』


 命名するとカードにはボーン太と刻まれると――初の命名を行いました。天命値が+1されます――という表示が現れる。


『召喚獣にはランクがある。コモン、アンコモン、レア、スペシャル。そして、ユニーク。吾ならばユニーク。スケルトンならコモンだな。ランクが高いと確かに強いが、成長は遅い。吾などほぼ完成形といってよいから今後の成長はない』

「そうなんですね」

『うむ、もちろん封印が解ければ力は戻るが、それは成長ではないからな。逆にコモンは成長の幅が広い、成長や進化には、かなりの幅が生まれる』

「進化もするんですね」

『召喚可能になった召喚獣と同種のモンスターを倒すと召喚符をドロップするようになるから、同系統や同種の召喚符だと合成することで進化や強化ができる。それがこの世界の召喚魔法のシステムである』

「なるほど。ちなみに、同時に召喚はできますか?」

『ふむ、しばしまて、能力を見てやろう。いまは召喚術のレベルは1だから無理だな。せめて2になれば3体同時に召喚は可能ではあるな。まぁ、使ってみるがよい』

「あれ? けど、フルゥゥスさんや皆さんは召喚していますが?」

『吾は、お主と魂を媒体として召喚術を行使したから制限にかからぬ。あ奴らは吾が呼び出したからな。神にとってはその様な制限はない。故に、その制限はお主が召喚術を使用するときの制限であるな』

「なるほど」


 マキは召喚術の説明を受けて、ボーン太を連れて奥に進む。そうするとスケルトンが3体現れる。


『ふむ、丁度よい。命じてみよ。パスは通うじているのは解るな?』

「なんか不思議な繋がりがありますね? これがそうですか……うーんと、こんな感じですかね?」


 不思議な繋がりに力を流す。それを受けると、ボーン太はすごい勢いで駆け出す。その動きは緩慢なスケルトンとは比較にならないほど早い、そして地を這うようにスライディングで三体のスケルトンの足元に滑り込み、槍の柄を地面に刺し動きを急停止させると、そのまま槍を回転させ三体の頭を薙ぎ飛ばし吹き飛ばす。


「これはいいですね。便利そうですし、使い方はわかりました」

『う、うむ』


 コツリコツリと足音を立てながらマキは歩を進める。

 そんななかフルゥウスは、思考を巡らせる。


(どういうことだ? あの動き……まるで熟練の戦士のようではないか……いや、それ以上といっていい。しかも、必要な所に的確に魔力を送っていただと……君はいったい、どんな生き方をしてきたのだ)


 あり得ない戦闘技術に魔力の操作術。恐ろしいまでの才能。いや、才能というのすら生易しい、もはや人外の領域。それを何気なく、事もなくやってみせるなど狂気の沙汰といってもいい。

 そんな、思案しているさなか、迷宮を迷うことなく、薄暗い道を通いなれた道のように歩をすすめ。分かれ道にたどり着くと、つま先をトントンと鳴らしたかと思うと


「うん、わかりました。こっちに行くといいかんじですね」


 それだけいって、歩き始める。その姿を見ながら、マキという少女に深い興味を抱くフルゥゥスであった。





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