第8話 ghosts and myths and reality――幽霊と神話と現状――
急ごしらえの簡素ではあるが巨大な玉座にすわる、花月マキ。いや、破壊神『フルゥウス』は、頬杖を突きながら、跪き首を垂れる三人。マリー、ゼフィレル、レヴァンへと語りかけた。
「さて、『サクリヴィア』へと参加することとなったわけだが、先ほど、審判者ルーラーよりルールが伝えられた」
ゆっくりと語るフルゥウスに対して全員が微動だにせず拝聴する。
「まず、選定の為に半数にする種目として『ウォーゲーム』を執り行うそうだ。これは神々の遊戯の一つでな、架空の領域で、争う遊戯で本陣か大将を討ち取る遊戯だ。細かい取り決めはあるが今は、まぁよいであろう」
一呼吸をおき、静かな口調で語り始める。
「開始は一月後。相手は騎士神『アスロット』の小僧よ。それまでに力をつけねばならねばな。良き案はないか?」
その問いに、マリーが答える。
「それでは、この近くにはカタコンベ型のダンジョンがございます。そちらでレベルをあげされるのはいかがでしょう」
「ふむ。ダンジョン機能はちゃんと実装されていたか、ではそうするとして……領地となったこの地の統治をどうするか……」
ゼフィレルが顔をあげる。
「お、おそれ、おそれながら……ぼ、ボく,い、いえ、わ、わたくし、魔術の研究しかしてませんでしたので、な、内政はさっぱりに、ご、ございます」
「俺も、森で修行してましたのでさっぱりです」
レヴァンも顔をあげ答える。
「ワタシも修道院におりましたので……その、
その答えにフルゥウスは、ふぅむと小さく声を漏らす。
「これは……詰んだという奴か? 困ったものだ」
全員に沈黙が奔る。
『あのぉ……象徴君主制とかどうでしょうか?』
どこからともなく声がするが全員が周りを見渡す。
「ふむ。マキ実体化はできるようになったのか?」
その言葉に反応するように半透明の少女がフルゥウスの隣にたった。
「まさか、使徒さまですか?」
『あっ、はい。花月マキです』
全員あごが外れそうになるほどに口をあんぐりとあける。
『それでですね。とりあえず、殺人、傷害、窃盗を禁ずる三法を発布しましょう。それから、ここの地下には、政治犯として捕まっている人が何人かいるんじゃないでしょうか?』
「よ、よくご存じで」
『なんとなくそうではないかと、ここは見せしめの処刑場みたいですからね。たぶんそうではないかと……』
「え、えぇ。王族などの政策に反対する貴族はいますが、冤罪などをかけて見せしめの為に死刑にするために投獄されてます」
『では、政務官として登用して細かい事はそちらに決めて貰いましょう』
あまりの出来事ではあるが,恐る恐るマリーが手を挙げた。
「あ、あのこれはどういうことでしょうか?」
「うむ。体を間借りする間、体に閉じ込めておいては申し訳ないからな。とりあえず、安全な場所ではレイスとして活動できるようにしたまでのこと。これも霊媒師の力だな」
イタズラが成功したかのような笑みを浮かべる。
『一応、説明はうけましたが【スキル】て便利ですね』
この世界には【スキル】と呼ばれる異能が存在し、生まれながらにもつ【ギフトスキル】。修練で身に着けることができる【コモンスキル】。成人すると、それまでの生き方などで決まるクラスに付随する【クラススキル】その種類は3つに分類される。
『ルーラーさんの説明だと、 創造の神は世界をより良くするために、十一柱の神々に声をかけ世界を整え、それぞれに国を作るように命じて、それを妬み羨んだ『あの者』……これは、フルゥウスさんですよね。それで戦いを始めて、創造の神と十一柱様が千日千夜戦い、その時地上に降り注いだフルゥウスさんの肉片が魔物を生み出し、創造の神の魂の欠片が人々に『スキル』を与えたてことですけど……』
「ふむぅ。そういうことになっているのか……まぁ、それも一興か、間違っておらぬしな」
少しだけ笑みを浮かべると顔つきが真面目になり、立ち上がる。
「では、吾は修練へと向かうとしよう」
『あっ、まって下さい。住民で、この地を離れたい人には、お金と食料を渡してあげてくださいね。日数は7日で』
『なるほど……そういうことも大事なのだな。では、それも任せたぞ……それと忘れるところであったが』
そういって右人差し指をゼフィレルに向けると。パチンと指を鳴らす。
「な、なにを?」
「むっ? 貴様の『
小首をかしげながら歩に手をあてる。
「えっ? あっ、ま、まさか普通に喋れます」
「人に指示を出すのに、不便であろう?」
「あ、ありがとうございます」
涙ながらに土下座をする。
『……治ったかわかりずらいですね』
ことを終えると、マキを伴い、教えられたダンジョンへと飛び立った。
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