第17話

「さて、パンケーキ40枚食べたいんだっけ?」

「パンケーキは食べたいですが1枚でお願いします」


お昼を食べるために入ったレストランでメニューを見ながら話す。最近はシルクも慣れてきたのか冗談を軽く流す。


特に悩むこともなく注文を終え、しばらく談笑を楽しんでいると先にパンケーキが届いた。シルクは「お先に失礼します」と断ってからパンケーキを頬張り始める。待っている間することもないのでシルクが食べる姿を眺める。


「そんなに見られていると食べずらいのですが…」

「あ、ごめん…」

「そんな反応するとこっちが申し訳なくなるのですが…」


シルクが申し訳なさそうに訴えてくる。


「…見てて面白かったりするんですか?」

「小動物とかがご飯食べてるの可愛いし面白くない?」

「それって私を小動物扱いしてるってことでいいですかね」


どうやらこれは地雷だったらしい。しかし、すぐに「まぁ今回は許してあげます」と頬を少し赤くしながら言ってくれた。理由はよくわからないがまぁラッキーだったととらえよう。


お互いに料理を食べ終え、会計のためレジにいる店員へと向かう。


「お二人はカップルですか?」


よくわからない言葉が飛び込んでくる。


「はい、そうですよ」

「え?」


シルクは肯定しながら、なぜか腕にしがみついてくる。


「じゃあ商品券をどうぞー」

「え?」


シルクに問おうとする前に店員が商品券を取り出す。アーテルが困惑してるうちにシルクが受け取る。


「アーテルさん?行きますよ?」

「え、あ…あぁ…」


シルクに促されて外へと出る。


「…あのお店、カップルの人たちに商品券を配ってるそうですよ」

「…そういうことか」


シルクの行動の理由を明かす。確かにそう思わせるための行為としては最適解だろう。


「もしかして嫌でしたか…?」

「もう何度も似たようなこと何回もしてるでしょうが…」

「う…」


シルクは気まずそうな顔をする。


「まぁ嫌なわけじゃないし、正直に言えばありがとうございますって感じだな」

「うわぁ…」

「おい」


そこでシルクが引くのは違うだろ、と思っているとシルクは少し笑う。


「じゃあこれからもしていきますね」

「俺その度に心臓バクバクなんですがね」

「お医者様なんでご自分で治してくださいね」

「嘘だろ?」


そんな会話をしていると早速シルクが手を絡めてくる。


「シルクさん?」

「嫌ではないんですよね?」


シルクがニコリと笑う。結局そのまま食器を買いに向かい、家に着くまでシルクは手を離してはくれなかった。もちろんその間心臓が痛かった。

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