第14話
「さて、行ってくるわ」
「お気を付けて、体を壊さないでくださいね?」
「3日だけで壊すかな…俺なら壊すな。気を付けるよ」
先日ブルーノから「明日の7時に迎えに行く」と連絡を貰い、準備をしたのが昨日のこと。勿論シルク先生監督の下でだ。
外に出ると馬車に乗ったブルーノが待っていた。
「行ってきますのキスは済ませたか?センセー」
「シルク、帰ったらこいつの頭を診よう」
「…ひとつ屋根の下で暮らす者としてした方がいいですかね…?」
「患者が増えた」
割と本気そうな顔で言うシルクに返す。この娘は恋愛小説以外の知識を付けなければいけない。
シルクに見送られながら馬車に乗ると、ガタッと馬車が揺れ始め出発し始めたことを伝える。
「さて、今更だけど俺が講義することなんてあんのかね?どうせいいお家柄だったり有名な学院卒の人しかいないんだろ?」
「おやおや、他の医者が諦めたような病気を完治させたお医者様が何か言ってますね」
「あれはたまたま運がよかっただけで…。それに全員は救えなかった…」
言われた通り、確かに他の医者が諦めるような病気を治したこともあった。しかし、それは普段からの趣味であった読書で医学書を見たときに偶然知ったことだったし患者全員の命も救えはしなかった。
「まぁそれは仕方ないと思うよ。…それにしても急にそんな話をするとはどうした?もしかしてシルクちゃんに会えない日々を想像して寂しくなっちゃった?」
「早く使ねぇかな」
「残念あと1時間は一緒だよ」
その後どれだけ否定しても無駄だった。
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アーテルさんを見送った後、シルクは何をするか戸惑っていた。普段ならアーテルの手伝いなどをしているはずだが、アーテルがいないので今は休業をしている。洗濯も家族と暮らしていた時よりも数が少ないため、すぐに終わってしまった。
少し悩んだ結果、最近また埃が溜まってきたことに気付いたので掃除を始めようと思った。今着ている服はアーテルに買ってもらったということもあり、初めて会ったときに着ていたの服へと着替えて掃除を始めた。
「アーテルさん、棚の上の掃除を代わりにしてほしいのです…が…」
シルクは18という年齢の割には少し小柄だった。なので高い棚の上などは届かず、代わりにアーテルにしてもらっていた。だからだろうか、今日はアーテルがいないのに呼んでしまった。結局棚の上の掃除は諦めて他の所へと移った。
掃除が終わってからは読書を始めた。しかし、本が読み終わってしまえばまたすることがなくなってしまった。
「あ…お昼ご飯食べなきゃ…」
ぼーっとしているといつの間にかそんな時間だった。昼食をこしらえ、シルクが来てから新しく買った、一人には大きすぎるテーブルの上で食べた。普段ならアーテルと談笑しながら食べているが、当人がいなければ静かだった
「早く帰ってこないかなぁ…」
シルクは一日目にしてそう独り言ちた。
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作者から
見てくれる方が増えてきたのでご報告。以前の投稿の不自然だなと思った部分を訂正しました。今後もそういうことが多々あると思うので把握をよろしくお願いします。
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