第44話 トラクターを追いかけて来る野鳥達

 たんぼの草が伸びてきました。やっぱりカラスノエンドウの成長スピードが速いです。雑草退治は早め早めが鉄則なので、トラクターで耕しました。〇アール単位の田んぼになると、耕運機では全然捗りません。中古で買ったトラクター様ありがとうです。


 トラクターで耕しはじめると、すぐに野鳥が飛んできました。

 今回、飛んできた鳥は、モズ、セグロセキレイ、ハシボソガラス、ムクドリでした。


 ちょうど近くの柿の木に、一羽のモズがいましたが、トラクターの音を聞いても逃げませんでした。それどころか、見通しのいい場所に移りながら、様子をうかがっている様子でした。


 以前読んだ文章では、モズは警戒心が高い鳥だという事でしたから、5m~10mくらいまで近づいても逃げないとなると、とてもかわいく思えます。


 モズの見ている方向は、トラクターの後ろの地面です。時折、枝から飛び降りて、獲物を探して、またすぐ木に戻ります。決して長い間、地面にいないのが特徴です。

 やはり、警戒心が高いのは確かなのでしょう。

 しばらく餌を探していたモズでしたが、カラスが飛んで来たらいなくなっていました。


 トラクターの音を聞いて、一番先にやって来たのは、セグロセキレイのつがいでした。やってくる速さからいって、近くに住んでいるいつものつがいのようです。

 セグロセキレイは、とにかく人に慣れやすいです。

 草取りをしていた妻が、

「草取りをしていると、横に来て、早く土を掘れってせかすようにするの」

 なんて言っていたことがありました。


 セグロセキレイは、モズとは違って地面を歩いてトラクターを追いかけてきます。チョコチョコ歩く姿は、とてもかわいいものです。人間に慣れているという以上に、人間がいるから生活できる野鳥だと思えます。


 そういえば、セグロセキレイの巣を、スズメが狙っている場面を見たことがあります。鳥の序列からすると、スズメより下のようです。


 次にやって来たのが、ムクドリでした。

 ムクドリが田んぼに飛んでくる姿は、きれいです。三角翼の飛行機が下りて来るような感じです。


 降りた後は、なんというか、餌の奪い合いというか、人間を全く恐れないと言うか。カラスの次に傍若無人です。鳥だけど。


 ムクドリが飛んで来るのは、トラクターの音のようです。そして、ねぐらは、セグロセキレイより遠いようです。そのため、ちょっと遅れて飛んで来るようです。


 ムクドリの群れにはいくつかあるようで、我が家にある田んぼの場所によって、飛んで来る個体の数が違います。今回は5羽くらい飛んできました。


 最後にやって来たのが二羽のつがいのカラスでした。多分ハシボソガラスです。体の大きさからして、以前から住んでいる成鳥のカラスのようでした。彼らも、音で飛んできますが、テリトリーの中だと、目も利かしているようです。非常に賢いので、トラクターの前後を上手く動いて、獲物をさがしています。


 ムクドリもカラスも、梨畑を荒らす一番の野鳥なので我が家にとっては、一番困る野鳥です。


 特に、カラスは頭もよくて、食欲も盛んで、果樹を一気に食べつくすわ、実に傷をつけるわ、梨の実の袋の色もわかって食べるわで非常に困った鳥です。


 ただ、近所の農家さんの中には、カラスを可愛がっている方がいるので、むやみに追っ払えないのが微妙な所です。


 カラスの害を防ぐ方法を図書館で調べた時に、「地域ぐるみで対策」という一言があって「これはだめだわ」とあきらめました。


 我が家の周りには、5つの群れがあるように思います。それぞれテリトリーを守って行動しているようです。


 群れそれぞれがけん制し合ってくれているので、カラス数十羽が一気に来ることはめったにありませんから、それだけは助かります。


 カラスから守るには、消極的に網で囲うか、テグスを張るしかなさそうです。


 一年前の冬に、DIYで単管パイプで支柱を組んで、市販のネットを張ったのは、カラス対策のためでした。カラスとムクドリ対策には、ネットしかなさそうですから、よくやったと自分をほめています。業者さんに任せると、100万円くらいすぐ吹っ飛ぶそうなので、猫の額梨園では、DIYでがんばるしかないのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る