重い想いに至るまで②
「私にはやりたいことがあるんです」
「やりたい事ってのは…………」
「ごめんなさい、言いたくないんです」
「…………分かった」
「…………相談するとか言いながらごめんなさい、でもいつか、私の覚悟が決まったら自分から言いに行きます」
「おう、待ってる」
「ありがとうございます…………話を戻しますね、さっきの会話から分かったと思うんですけど、そもそも私と両親は仲がよくないんです」
「……………………」
「いや、仲がよくないっていうのは少し違います、私に期待していないっていうのが正しいですね」
「……………………」
「両親は私の一個下の弟にご執心でして、弟は成績優秀、スポーツ万能、眉目秀麗な上、常に期待以上の成果を出す天才なんですよ。しかも私みたいに両親に逆らわないからそりゃあかわいがられるってもんですよ」
「……………………弟いたのか」
「私なんかよりもずっと優秀な…………ね」
「自分を卑下するな、弟さんは弟さんで暗鷹は暗鷹だ、暗鷹には暗鷹の魅力があるだろう?」
「先輩…………ありがとうございます」
私はこの言葉を言われてものすごくドキドキした覚えがある。この時から、いえ、もっと前から私は先輩の事が好きだったんでしょうね。この時はまだ自分の気持ちに気づいていなかった、いや、気づいていないふりをしていたからこのドキドキの正体が分からなかったんだもの。今は愛しているけども
「でも、両親はそうは思わなかったみたいなんですよね。ありとあらゆる英才教育を私から弟に標的を変えて、才能もなくて自分たちに逆らう欠陥品なんて要らなかったんでしょうね」
「暗鷹……………」
「でも、私にはどうしてもやりたい事があるんです。叶えたい夢があるんです」
この時の私は気づいていなかったんだ、夢を語る私を先輩がまるで眩しいものを見るかのように見ていた事を
「でも、両親にそれを話したら…………」
『なんだその職業は!そもそも職業なのか?!馬鹿なこと言ってないで少しは勉強したらどうだ?!』
『何を言ってるの?あんたは頭も悪ければ耳まで悪いの?さっきお父さんが言った通りよ、どうでもいいから勉強しなさい』
「…………………それでですね、お母さんが言った、どうでもいいからっていう言葉にとうとうプツンってしちゃいまして……………」
もうそこからは売り言葉に買い言葉だったのを覚えてる。両親とこんなに怒鳴りあったのは初めてだった
「もうあの人たちは私なんかどうでもいいんです、自分たちの才能を継いでくれる子供がいればなんでもいいんですよ」
「…………そんなことは」
私は、ガキだった。感情を抑えることを知らない子供だった。先輩が励まそうとして、そんなことは無いって言おうとしたのだろう、でも、私はその言葉に怒りを感じてしまい、あろうことかその感情を先輩にぶつけてしまったんだ
私は、あの時の自分の怒りを、先輩にぶつけてしまった無責任な言葉を、今でも一言一句鮮明に覚えている
「無いって?!先輩に何がわかるの?!家に居場所がなくて!やりたい事を否定されて!優秀な弟と比べられる毎日!私は夢を持つことも許されないの?!ずっと親に従って生きろって言うの?!」
思えば、ストレスが溜まっていたのだろう。受けたい高校も見つからず、受験期で勉強もしなくちゃいけないのにやりたい事に傾倒していた私に罵詈雑言を浴びせる両親、そのストレスがここで爆発してしまったのだ。
「それに!今私病院に入院してるんですよ?!なのに見舞いにも来ない両親に弟!分かります?!私の気持ち!」
少し、期待していたのだ。最初に話しかけられた時、もしかしたら家族かもしれないと、家族が私を心配してお見舞いに来てくれたのでは無いかと、でも
「誰も私を見てくれない…………私を私と認めてくれない…………私はここにいるのに!私は弟の劣化版じゃないのに!」
クラスや学年でも、私は弟の劣化版扱いだった。最初に友達だと思っていた子達も弟が入学してくると
『弟さんすっごい優秀だねー!今度紹介してくれない?』『弟さん学年1位だって!こりゃあお姉ちゃんも負けてらんないね!』『兄より優秀な弟なんていないって言うけど、見事にくつがえったね』
「うっさいうっさいうっさい!そんなの私が1番知ってる!私がただの秀才止まりなのなんて生まれた時から知ってる!弟と遊びたい?!ならそれより私と遊んでよ!負けらんない?!毎日負けないように頑張ってたよ!くつがえった?!そんな言葉知らねーよ!」
私の慟哭は止まらない
▂▂▂▂▂▂▂▂▂
なんか中途半端な終わりで申し訳ない…………区切る場所が見つからなかったんですわ………
俺を信じてくれる地雷系後輩が一番推してるVtuberだった………マジで? 糖編撲 @gorilla4649
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