第24話 2人きりの時間と?

「おい。聞いたか?佐藤ってかボッチに.....彼女出来たって」


「.....マジかよ?.....信じられない」


「俺じゃなかったのか.....」


教室では既に噂に満ち満ちていた。

俺はその事にまた胃痛を感じながら.....周りを見る。

だが言葉を重松が威圧して沈黙させる。


そんな感じで繰り広げられていた。

5月も終わり。

何というか中間考査があるなぁ、とか考えながら強迫観念を逸らしていた。


「.....どうしたものか」


そんな事を呟きながら俺は窓から外を見る。

近所に図書館があるが.....そこで勉強しようかな。

その様な事を考えながら空中を見る。

すると、和馬、と声がした。


横を見ると陽キャに見守れてこっちに来た満が。

赤くなって俺を見ている。

俺は?を浮かべて見ていると.....重松が俺を威嚇しているのにも気が付いた。

な、何事かな?胃痛がするんだけど。


「ちゅ、中間考査があるよね」


「あ、あるね。.....それが.....どうしたの?」


「私の家に来ない.....かな。.....えっと。勉強しない?一緒に」


「.....へぇ!!!!?.....そ、それは.....」


すると当島さんが口を挟んだ。

それは私も行って良いかな、という感じで。

だがそれに対して、あ?、という感じで重松が抑え込んだ。

だが当島さんも、はい?、と返事をする。


「アンタはお呼びじゃないんだけど?」


「.....それは貴方が決める事かな?違うよね」


「.....」


「.....」


睨めっこになる。

駄目だこれ.....突っ込んで行けない。

自爆してしまう。


思いながら居ると、すまないが今回は譲ってやってくれないか、と長谷場が苦笑してから当島さんを見る。

当島さんは真顔のままだったが、分かった、と当島さんは納得した様に腰掛ける。

え?ちょっ。待って。

なら俺と満だけになるんだけど.....大変だ!?


「.....そ、それは如何なものか.....満」


「大丈夫.....じゃないかな?エヘヘ」


「.....し、しかし.....」


女子の部屋に俺1人?

それはちょっとマジにヤバい気がする。

俺は顎に手を添えてから考えるが。

脳がバグってしまって答えが出て来ず。

そしてこう答えた。


「うん」


という感じで、だ。

俺は、何を言ってんだ!!!!?、と思いながら満を見る。

満は、有難う!、と喜んでいた。

その顔に真っ赤になる。


「良かったじゃん。満」


「.....そうだね。ミコ」


「.....」


重松と

納得してしまった。

何かが俺を優先してしまったのが痛恨の一撃だ。

困った.....何を言っているんだ俺は.....!?

俺は顎に手を添える。


「.....その.....満.....俺本気で君の家に?」


「あ?」


「.....あ、はい。行きます!」


満の代わりに重松が返事をする。

重松がジト目と睨みで俺を見てくる。

めっちゃ怖いんだけど。


俺抑えられた意味あるのか!?

そうして俺は結局、満の家に行く事になった。

嘘だろ.....。



「ね。和馬」


「.....な、何か?」


部活は休止になっている。

俺はその事もあって.....満と一緒に秘密裏に帰っていた。

手を繋ぎながら、だが。


まさかあの満と?

手を繋ぐ?

嘘だろ、と思うのだが。

ぶっ飛んでいる。


「私の事、好き?」


「.....それって冗談で言ってるの.....?」


「いや。半ば本気かな」


「え!?本気?!」


「だって私が好きな人なんだから。貴方は。それは変わりが無いから。こういうのも良いよね」


「で、でも.....これは仮の恋人.....」


まあ仮ではあるけど。

でもこういう会話も楽しいでしょ?、と笑顔になる満。

俺はボッと赤面した。

それから歩いて行く.....オレンジ色の夕日を破りながら。


「満の家.....確かアパートだよね?」


「.....私の家はアパートだよ。当初、私を心配している人から1億円振り込まれたけど.....使ってない.....というか返したのもあって貧乏だね」


「.....そ、そうなんだ」


「最初の頃に言ったけど私はそういうの嫌いなの。だから使わない。頼るの嫌いだから。でも肝心な時に押し付けてくるんだよね。親って。.....最低だよね」


親が全員悪いって言ってないけど.....でも親はその。

本当に信頼出来ないんだよね。

言いながら真剣な顔で眉を顰めて俺を見てくる満。


俺はその姿を見ながら顎に手を添える。

そして考え込んでいるとハッとした様に満は慌てる。

それから、御免なさい!深刻になっちゃった!、と言いながら手をパタパタさせる。

そうしてから指を差す。


「.....あ。着いたよ。ここが私の家」


「.....本当にアパートだね」


「.....そうだよ。.....エヘヘ.....嬉しいな」


「.....ど、どうしたの?何が嬉しいの?」


「イチャイチャ出来るね。2人きりだからね」


「.....」


何かその。

俺には満とは違い地獄が待っている気がした。

考えながら完璧に心頭滅却して.....心を無にしてみる。


そしてそのままアパートの階段を登って行った。

それから玄関の鍵を.....開ける。

錆び切ったドアを開いた。

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