第23話 仮恋人(1日目)
四季さんと恋人同士になる。
俺はその事を考えながら意識しまい汗をかきつつの翌日を迎える。
何というか四季さんに呼び出されたのでそのまま向かう。
それからドアを開けて風に靡く髪の毛を押さえている四季さんを見る。
俺はぺこっと頭を下げる。
「突然ゴメンね」
「.....う、うん。.....どうしたの?」
「恋人の事に関して。.....ミコと何かあったの?」
「え.....い、いや.....何もないよ?」
「でもファーストフード店で見たって話聞いたから。ミコと君の姿を」
でもそれはきっと私の事だろうなって思うけど、と四季さんは深刻そうな顔をする。
俺はその姿を見ながら眉を顰める。
そして小さく、あの、と声を発する。
すると四季さんは、私と恋人になるのは.....嫌かな、と言ってくる。
もし嫌なら大丈夫だけど.....、とも。
その言葉に俺は、大丈夫だよ、と笑みを浮かべる。
「.....俺は嫌じゃないよ。.....恋人が四季さんなんて勿体なさ過ぎる」
「そんな.....そこまで言ってくれるの?」
「.....そうだよ。.....だって四季さんは可愛いから.....」
「.....そ、そんな事は無いけど.....」
ボッと赤面してから俯く四季さん。
その姿も恥じらいも。
何もかもがやっぱり可愛かった。
そう思いながら俺は、四季さん、と向いてみる。
そして先程、伝え損ねた言葉を口にする。
「.....俺は.....四季さんの恋人になる事で何かを知るきっかけになればって思う」
「.....え?それはどういう意味?」
「.....四季さんもそうだけど。みんなが俺にどういう思いで.....接してくれるのか。.....その深い思いをこの事で考えるきっかけになればって。それが.....重松ミコからの宿題かもしれない」
「.....そういう話をしていたんだね」
「俺は君達の好きって思いを.....あまり考えずに生きてきた。.....だから今度こそ考えたいって思う。.....これをきっかけに」
「.....うん。.....流石は佐藤くんだね」
言いながら俺に優しく微笑む四季さん。
それから、じゃあ今日から.....恋人、という形で良いかな、と言ってくる。
俺は頷きながら見ていると。
じゃあ恋人という事は、と寄って来る。
「.....」
「.....!!!!?」
頬にキスをしてきた。
俺は!?!?!と思いながら四季さんを見る。
真っ赤になってしまった。
何をしてくるんだ!?
俺は思いながら四季さんに、え!?、と声を発する。
「だって恋人だしね」
「.....えっと.....!?それでもぶっ飛んでるね!?」
「私は.....君の事は本気で好きって思ってる。.....だから仮とはいえ.....君の事を好いている事を知ってほしい」
「.....!」
「.....私だって恥ずかしいから。.....でも.....ね」
そして、で、でも、れ、練習だから!、とモジモジする四季さん。
それから俺を真っ直ぐに見上げてくる。
その目は潤んでいた。
風が吹く。
俺はその姿に再度、真っ赤になる。
「.....四季さん.....」
「.....私の名前は満。.....満って呼んで」
「.....え!!!?!で、でも」
「さあ」
「.....み、満.....さん?」
「さん付け要らない。.....満だよ」
「.....え.....い、いや.....」
しかしその.....、と困惑していると。
満だから、と拗ねた様な顔をする。
俺はもう火山が爆発しそうな感じで赤くなりながら、み、満、と呼ぶ。
すると満は、うん。何?、とニコニコした。
何これ心臓止まるよ?
ゲロ可愛い。
「.....じゃあ私も。.....和馬」
「.....!?.....は、はい」
「.....敬語も無しね」
「.....う、うん」
先はマジに長そうだが。
取り敢えずは今は言われた通りの。
指示された通りに従うしか無い。
そもそも.....重松にも頼まれている。
やり遂げないと。
「じゃあ戻ろっか。和馬」
「.....う、うん.....戻ろうか」
そして俺たちは晴れて恋人(仮)の感じになり。
そのまま教室に戻ると。
片瀬さん顔を探していた様だった。
俺達を見てからジト目をする。
「.....何をしていたんですかね?」
「.....片瀬さん。.....話がある」
「そうだね」
「.....?.....何でしょう?」
「.....おれた.....ち。その.....こ、恋人になった。仮だけど.....」
これを聞いた片瀬さんは顎を落とした。
そして、はい?!、と見てきた。
俺達は慌てながら経緯を説明する。
すると片瀬さんは納得した様に胸に手を添える。
「何だ。そういう事ですか.....ビックリしました」
「.....丁度良かったよ。.....説明出来て」
「.....はい。.....でも一月で必ず別れるんですよね?ね?」
「そ、そうだね.....」
それで本格的に付き合うぐらいなら私は大橋さんとかとタッグを組んででもその全てを破壊します、とニコッとした。
何この子、凄く怖いんだけど.....まるでチェン◯ーマン?か何か?
俺は青ざめながら居ると片瀬さんが、あ、と言いつつ何かを取り出す。
「入部届.....受理されました」
「.....あ.....よ、良かったよ」
「私も入っているんだよね?」
「はい。一応ですが」
「.....本当に入るんだ.....」
「それはそうだよ。恋人の居る所に行かないとね」
「.....先輩。本当に意識してない.....ですよね?」
ゾッとする様な顔を向けてくる片瀬さん。
俺は、は、はい!、と変な声が出た。
それから映像部もスタートする事になり。
俺達は新しい一歩を踏み出す形となり。
新たな日を迎えようとしていた。
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