第21話 1ヶ月の取引

動画の作成。

結局俺は5分に小説とかを読んで纏めて動画を投稿するより。

基本の俺の初心の全てに戻って心を込めて創った。

それから.....俺は動画を投稿する。


今までの感情。

今までの出会い。

今までの感謝。


感謝の思いを.....伝える為に.....必死に動画を作った。

井上さんの心に響く様に祈りながら。

それからエンターキーを押す。

動画サイトじゃないが.....大切な想いを抱き投稿した。


「.....これで.....井上さんの心に響いたら良いな」


そんな事を呟きながら俺は上がった動画を見つめる。

すると早速再生が付いた。

それから.....10回と伸びる。

俺はその光景を見ながら笑みを浮かべた。

と同時にスマホが鳴る。


「うわ!?」


俺は慌ててからスマホを見てみる。

そこにはこう書かれていた。

大橋さんだ。


俺は?を浮かべてスマホに出てみる。

すると大橋さんが泣いている声がした。

俺は!!!!?と思いながら耳を澄ませてみる。


『かっずー』


「.....ど、どうしたの?」


『.....有難う。とても感動した。.....感動したっていうのは.....何だろう。この大きな表現が難しいけど.....でも本当に有難う!かっずー大好き!』


「.....」


俺は困惑しながら言葉を聞いていた。

それから胸に手を添える。

動画を。

こんな動画で良かったのだろうか、と。

だけどその裏でこう感じた。


俺は動画を作って正解だった、と。

そして俺はこの動画が僅かでも希望になれば、と。

そう思ってしまった。


『私.....やっぱりかっずーが好きだな。.....大好き』


「.....井上さんに届くかな。これ」


『十分届くと思う。.....たきなも.....きっとそれなりに.....認めてくれる筈だよ』


「.....だったら良いけど.....うん」


『かっずー。そんなに心配しないで。.....たきなはああ見えて本当に良い子なんだ。.....悪い子じゃないから.....信じて』


「.....うん。信じる」


それから俺は電話を切ってから。

そのまま動画の様子をチェックしながら.....その日は寝てしまった。

そうしてから翌日になる。

リビングに井上さんが居た。

は!!!!?



「やっほー」


「.....い、井上さん?な、何で.....家に居るの?」


「昨日の動画の件で来ました。.....交渉大変だったんですよ?貴方の義妹さん」


よく見ればジト目の義妹が俺を見ている。

俺はその姿を見ながら井上さんに目線を戻す。

もぐもぐと朝ごはんを食べている。

どういう事なのか。

すると箸を置く音がした。


「私、動画を観て考え直したんです」


「.....え?」


「そっか。成程ね、と思いました。.....私は何か忘れていたんですね、って思ったんです」


「.....井上さん.....?」


「.....私は.....そうだ。純粋な心で臨むべきだったんですね」


それから俺を見てくる井上さん。

俺はモジモジしながら四葉を見る。

四葉はジト目のまま俺を見ていたが。

朝食を早く食べてお兄ちゃん、と言ってくる。

俺はその事で朝食を食べる為に椅子に腰掛ける。


「私は純粋な心で挑みます。凡ゆる事に。もう妨害しません」


「.....そっか。そう言ってくれるだけ.....良かった。有難う。井上さん」


「.....はい。ですから私、貴方が好きです」


「.....」


衝撃でお茶碗を落とした。

割れてしまう事はなかったがあまりの衝撃に言葉が出てこない。

何を言ってんの?、と思ったが。


井上さんは赤くなりながら俺を見てきていた。

これまでの事を精査したんですけど。

私、小鳥ちゃんと同じ様に貴方が好きなんだなって思いました、と言ってくる。


「.....お兄ちゃん。良かったね」


「.....四葉。冷たいぞ。視線が.....」


「まあそう言う雰囲気だったしね。私はいつも通りだし。.....負けないし」


「.....四葉.....」


という事で今度からは動画を観た仲間じゃないですが。

それなりに宜しくお願い致します、と頭を下げる井上さん。

それから俺をにこやかに見てくる。

何という事でしょうか。


俺は考えながら居ると.....インターフォンが鳴った。

四季さんの様な人が映る。

すると井上さんがインターフォンに出た。

え!?、と思いながら俺は青ざめる。


「はーい」


「井上さん!?」


『.....ちょっと待って。何でその子が居るの.....?』


そんな言葉が飛んでくる。

で、でしょうね.....というか!

何をしてくれているの井上さん!?


思いながら俺は青ざめたまま居ると井上さんがニヤッとしてから玄関に向かった。

いかん!止めないと!

と思ったが間に合わなかった。


ガチャッ


「はーい。私の家に何か用ですか?」


「井上さん!!!!?」


「.....これはどういう事かな?佐藤くん.....?」


四季さんはジト目をする。

俺は慌てて腕をワタワタさせる。

すると井上さんが、私達は和解したんです。.....それで付き合う事になりました.....♡、と言い始める。

電撃でも喰らった感じの衝撃だった。


「心配して来てみたけど。.....その心配は要らなかったみたいだね。.....佐藤くん?」


「.....何か勘違いしているよ.....四季さん.....」


「ふーん.....?何が?」


四季さんはジト目のままそのままスマホを弄り出した。

な、何をする気なのか、と思っていると。

女子達に拡散する、とニコッとした。

止めて!?死んでも止めて!?


「佐藤くんはハーレムでも作りたいのかな?サイテー」


「.....」


先の事が重たい.....。

俺はそんな事を思いながら俺は四季さんを見ていた。

すると四季さんが、まあそれは置いておいて、と切り出す。

そして少しだけ厄介ごとの様な顔をする。


「.....どうしたの?四季さん」


「.....佐藤くん。お願い。私と1ヶ月だけ恋人になってくれない?」


「がぅ!?」


金槌でぶん殴られた衝撃。

俺にとっては、であるが.....。

でもそれ以外にも井上さんには、四葉にもあまりの衝撃だった様だ。

四季さんはモジモジしながら俺を見上げている。

どういう.....意味だ?!

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