第19話 動画配信の再開

「佐藤くん。.....何ですか?放課後にこんな場所に呼び出して」


「.....や、やあ。井上さん。こんにちは」


「.....?.....はい。こんにちは?佐藤くん」


井上たきなさん。

俺は放課後にその井上さんを屋上に呼び出した。

正直.....胃痛がする。


そして見つめ合う俺達。

井上さんは?を浮かべていた。

それから計画通りの打ち合わせの上。

大橋さんが隅の方から現れる。

驚く井上さん。


「.....小鳥ちゃん?」


「たきな。聞いたんだけど.....何だか私の為に.....結構色々しているんだって?」


「.....うん。そうだけど.....全部、小鳥ちゃんの為にって思って」


「.....本当に有難いけど.....もう止めてほしい。こういうの」


「?.....え?何で?」


「.....うん。何でって言われたら.....やり方が過激すぎるの。私の心配をしてくれるのは有難いけど.....こんなやり方は私が望んでないよ」


そう。.....あ。それって誰かにたらし込まれた?、と柔和になる井上さん.....うえ!?

俺は!?と思いながら柔和な感じだが.....暗黒な笑顔を見る。

大橋さんがまさかの展開にドン引きしている。

え、と言いながら.....。


井上さんは、そんなの小鳥ちゃんじゃないよ、と言って大橋さんに近付く井上さん。

これ、え?

ヤンデレ.....なのか?


「.....私は.....あの女達とかにたらし込まれたって思ってる。大丈夫だよ。小鳥ちゃん。私は常に側に居るからね」


「それはちが.....えっとたきな.....どうしたの?絶対におかしい。何でこんな事.....」


「私は全部小鳥ちゃんの為にやっているんだよ?.....全部君の為に.....ね」


「たきな.....」


涙を浮かべて俺を見てくる大橋さん。

これもうどうしようも無い感じだ。

俺は考えながら大橋さん達を見ていると。

ちょっと待って、と声がした。


「.....何ですか。貴方達も居たんですか」


「そう。居たよ。.....大橋さんの気持ちを考えた事あるかな。井上さん」


「.....?.....気持ちって何ですか?小鳥ちゃんは.....大好きです。そんなの以心伝心ですから」


「それは以心伝心とは言わないです。.....井上先輩」


「.....何で?」


何で、が怖いんだけど。

俺は腹痛を感じながら井上さんを見る。

かなり恐ろしい感じで見てくる井上さん。

笑顔だが.....全く生気が無い。

だがその中で.....真剣な顔になる。


「.....部外者は黙っていろって言っても.....今回は受け付けないよ。.....貴方は.....大橋さんの幸せを叩き壊している」


「.....アンタ誰?.....もしかしてモデルの当島?」


「そう。当島だね。.....まあ当島なんてそんな名は今はどうでも良いけど.....私ね。大橋さんにも今は興味は無いけど.....でもね。.....私は貴方に言いたいんだ。.....貴方のやっている事は.....心底ウザいよ」


「.....」


何が?、という感じの顔をしている。

俺はその姿を見ながら.....空を見る。

何と空が曇ってきた。

風が相当に強くなってくる。

俺は!と思いながら空を見つめる。


「.....たきな。.....私貴方にとって何かな。.....もし私が貴方の為にならないなら友達を今は止めようと思う」


「止めようって何で?.....貴方の為にならない.....って何?小鳥ちゃん」


「.....貴方は貴方なりの幸せを願ってない。.....その事は.....絶対に良くない。.....私は悲しい。ただただ」


「.....?」


私の事は.....どうでも良いと思うんだけど。.....そもそもに小鳥ちゃんが幸せ.....、とそこまで言った所で大橋さんが、それは違うよ、と切り出した。

それから、たきな。.....貴方は貴方なりの幸せを.....考えてほしい、と大橋さんは井上さんは言いながら見つめる。

そして周りのみんなも諭す様に見つめる。


「.....私達は友人になれると思うけど。.....今は違うと思う」


「井上先輩。私は貴方に変わってほしいって思っています」


「それは恋愛とかのライバルは全く関係ない。.....貴方は将来を考えて.....変わってほしいって思っている。.....本気で」


「.....」


私は小鳥ちゃんが好きなだけなんだけど。.....ただそれだけ。私は小鳥ちゃんが居なければ死ねるしね、と言う。

これに対して当島さんが怒った。

貴方は死ねると言っても本気で何も考えずに死ねる?、と。

俺は!?と思いながら当島さんを見る。


「貴方は何も分かってない。.....全然ね。舐めている。全てを」


「?.....貴方は何様?死のうとか思った事もないでしょう。幸せな世界を生きているだろうし」


その事に流石の俺も、井上さん、とツッコミを入れようとした。

すると、私は死のうって思った。.....本気で死のうってね。.....でも彼に助けられた。.....自殺未遂を起こした。.....貴方は死とかそういうのを舐めている。貴方は死ねないよ、と眉を顰める。


これに対して井上さんは驚く。

そして当島さんは、私は.....貴方の様な言葉を聞くと腹立つよ。.....それは死に値しない、と反論した。


そこまで聞いた所で俺も何か出来る事は無いか、と思って考える。

すると四季さんがこの場所に居る人達はみんな心配している。

貴方をね、と言い聞かせる。

真顔のまま反応する井上さん。


「何でこうなっているのか分からないけど.....私はただ単に小鳥ちゃんを幸せにしたいってだけなんだけど」


「それが駄目だと言っているんだよ。貴方のやり方は間違っている」


「.....そうですね.....」


そんな感じで言いながら井上さんを見る四季さんと片瀬さん。

俺はその姿を見つつ言葉を捻り出す。

い、井上さん、と言いながら。

それから、はい、と言う井上さんを見る。

俺はその眼光にオドオドするが真剣になって向く。


「.....俺、の動画観てくれない?」


「.....動画って.....貴方の?」


「.....そうです。.....俺の.....です」


「.....貴方の動画は確かに小鳥ちゃんから聞いて有名ですけど.....でも今観てどうするんですか?私はそんな.....」


「.....いや。.....たきな。観てあげて彼の動画を。再生回数は全く駄目だけど。私はそこに真髄があるって思ってる」


再生回数は全く駄目。

俺は苦笑いを浮かべながら大橋さんを見る。

何という事を言うのか。


だけど.....大橋さんが全てを推奨した。

大橋さんに推奨してもらう事に意味がある。

すると井上さんがそれに納得した。


「.....小鳥ちゃんが言うなら観るよ。仕方がないから」


「.....うん。.....それで良いかな?かっずー」


「.....いや.....別に俺が提案したから.....ね」


そして俺はまた動画配信を期間限定でする羽目になってしまった。

だけど.....俺はその中で投稿する場所を決めた。

それは俺のSNSである。

その場所で.....まあ完全にプライバシーが守られる訳では無いが.....それなら良いかなって思った。

まあ同じかも知れないけど.....。


と思ったら。

予想以上の手応え?.....効果?があった。

何が起こったか?

そうだな.....まあそれは今度話そう.....。

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