第17話 意外な展開
大橋小鳥が大切だという女子。
井上さんが.....俺に仕掛けてきた。
俺はその姿を見ながら.....苦笑いしか浮かばない。
何というか完全な洗脳に近いレベルの攻撃であった。
そんな攻撃は躱わす事をすれば良いのだろうけど。
「ハロハロ〜」
「.....げ......井上さん.....?」
「はい。井上です」
「.....な、何をしに来たの」
休み時間。
四季さんと話しているといきなりそんな感じで彼女が現れた。
俺に接触するな、という当島さんのお達しが全く効いてないじゃないか。
すると直ぐに眉を顰めてからその肝心の当島さんが、ちょっと、と言ってくる。
それから井上さんの前に立ちはだかった。
「.....何ですか」
「彼に接触するなって言ったよ?.....もう来ないで」
「.....接触するなって言っているのは貴方でしょう。それ。.....別に佐藤くんは否定してないですよね」
「.....え.....い、いや」
そんな感じで会話をしていると四季さんが睨んだ。
そして、貴方がやっている行動は大橋さんの株を下げてる、と告げる。
するとイラッとした様な感じで井上さんが、はい?何様ですか?、と言った。
因みに俺の接触状況だが既に四季さんの耳にも入っている。
「.....そういう事だから。.....帰って下さい」
「いやいや。どういう事ですか?意味が分からないです。.....そもそもあなた達に用は無いですよ」
すると意外な人物が口を開く。
それはかなりイラついた様にガァンと目の前の椅子を蹴っ飛ばした。
教室が静かになる。
それから眼光を鋭くする。
鷹の様に、であるが。
俺はビクッとしながらその姿を見る重松。
「今日は満とかの意見に同意。私もアンタ嫌いなんだけど」
「.....ああ。重松さんですね?」
「.....そう。重松ミコ。ってかそんなのどうでも良いけど。アンタさ。人の話聞いてる?この教室にくんなっつってんだよ?アンタの性格といい忌々しいから」
そして髪の毛を弄って立ち上がる。
ヒェ、と思いながら女帝を見る俺。
別にコイツの事はどうだって良いけど私は仲が壊されるのが最も嫌いんだよね。
人の話を聞かないとか。
そういうのがマジ嫌いでだからアンタがうざい、と切り出す。
「.....」
冷めた様な顔をする井上さん。
そして真顔になる。
俺はその姿と女帝達を見る。
困った.....戦争でも起こす気かな?
何か言い争いの戦争的な。
困るんだが。
っていうか半分俺の責任だけど。
怖い!
「まあ待って。ミコ」
「.....翼?」
「こういう時は嫌いな人に当たっても同じ事を繰り返すだけだ。そうだろ?井上さん」
「.....?.....ああ。長谷場さんですね?」
「でもね。.....正直言って君のやり方は気に食わないかな。.....君は何がしたいのかな。井上さん」
「.....私は佐藤くんさえものにすれば問題ないです」
ものって。それって君の為になるの?、とかなり真剣な言葉で問い詰める長谷場。
つか.....何で俺の為にこんな事に?
俺は思いながら、私の体なんてどうでも良いですよ。.....今あるのは恩義だけです。小鳥ちゃんへのです、と回答した。
信じられない答えだ。
「.....うーん。それじゃ答えにならないな」
「.....イラつきますね。貴方」
「あ?」
そして突っかかる女帝。
俺はその姿を見ながら止めるはせばを見る。
長谷場は、それじゃあ質問を変えようか。.....君の幸せって何かな、と聞く。
俺達は!と思いながらその姿を見た。
それから井上さんを見る。
「.....私は.....幸せなんてないです。.....まあ何たってネグレクトを受けたんですから.....今更感情なんて分からないですよ。ってか何を言わせるんですか?」
「.....君の事を心配している。.....噂だが君は一人ぼっちだそうだな」
「.....はい?それが何か?」
「.....俺はスクールカースト上位者。.....そしてきっと何も君の感情は分からないだろう。.....だけど.....俺は彼を見て思った。.....彼なりの幸せがあると。.....だから君にも君なりの幸せがある筈だってね」
「.....長谷場?」
俺は行天しながら長谷場を見る。
長谷場は俺を見ながら柔和になりつつ目の前の井上さんを見る。
井上さんは、はぁ、と呆れた溜息を吐いた。
それから、あー。つまらんですね、と言葉を発する。
「.....素直に屋上に呼べば良かったです。佐藤くんを」
「.....それはまあそうだね。.....でも俺がそれは行かせない。君に会わせるのは今は危険だと思うからね」
「.....」
そして井上さんは追い詰められた様にしながら。
悪態を吐いてからその場を去った。
それから溜息を吐く長谷場を見てみる。
椅子に腰掛ける重松も、だ。
何だってんだ?
「助けてくれたのか?」
「.....まあそんな所だけど。.....俺はクラスの分断が起こるのを恐れているからね」
「.....重松は?」
「.....あ?話し掛けんな」
いや怖い。
俺は顔を引き攣らせながらその姿を見る。
そして苦笑いを浮かべた。
その中で.....四季さんが驚きの顔をしているのに気が付く。
彼女の為に重松が動くとは思ってなかった様である。
成程、と思った。
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