第15話 四季財閥と四季満と
将来の夢が医者か.....。
俺は思いながら夜、天井を見上げる。
そして寝れずにぼーっとしながら1時間が経過した頃。
ドアがゆっくり開く音がした。
それからゴソゴソと俺の布団に何かが入る音が.....は!?
「先輩」
「.....うわ!?な、何!?」
「騒がないで下さい。真夜中です」
「いや!?騒ぐでしょう!?か、片瀬さん何を!?」
「.....エヘヘ。寝れないので来ちゃいました」
寝れないので来ちゃいました.....。
俺は目をパチクリしながら赤くなる。
すると片瀬さんは俺を見上げてくる構図になる。
身長が140センチとあらば当然だが。
俺はまた考えながら赤くなる。
「先輩。.....今日は泊めてくれて有難う御座いました」
「.....ま、まあ.....気になさらずに。.....大丈夫だよ」
「うん。先輩ならそう言ってくれると思いました」
先輩。私は.....医者になるのが将来の夢ですが。
貴方はどの様な将来を描いていますか?、と聞いてくる。
俺は!と思いながら顎に手を添える。
そして.....、何も思い浮かばない、と答えた。
馬鹿野郎だから将来すらも考えてない。
「将来の夢はまだ定まらない.....かな。.....俺はそんな感じだから」
「.....そうですか。.....でもそれも良いと思います」
「.....良いのかな?」
「そうですね。.....大体学生ってそんなもんじゃないですか?」
「.....そうかなぁ.....」
じゃあ第2のクエスチョンですが。
先輩は部活に入る気になりましたか?、と聞いてくる。
俺は片瀬さんを見る。
片瀬さんはジッと俺を見上げていた。
その光景に溜息を吐きながら、俺は部活に入ろうかと思う。.....幽霊部員になるかもだけどね、と話す。
「.....先輩.....」
「俺の負けだよ。.....部活に入ろうと思う」
「.....そ、そうですか。.....えへ、エヘヘ」
「何でそんな感じ.....?」
「だって先輩が本当に入ってくれるとは思いませんでしたから」
「.....」
全て片瀬さんの戦略だけどね。
俺は苦笑いで片瀬さんを見てみる。
すると片瀬さんは、ちょっと眠たいのでまた明日ですね、とそのまま横になる片瀬さん.....え!?ここで寝るのか!?
ちょ、ちょっと、と言いながら.....俺は片瀬さんを見る。
「.....すやー.....」
「寝てしまった.....」
俺は額に手を添えながら。
何というか俺も寝る事にした。
丁度眠気がやって来たので.....もう暴れる気力がない。
思いながら.....そのまま.....。
☆
「ぐっどもーにんぐ」
「.....し、四季さん?.....な、何故この場所.....」
「アハハ。.....片瀬さんに教えてもらったんだ。それで」
翌朝の事だった。
片瀬さんは既に起きていて俺を寝ていた様だ。
その代わりに.....四季さんが何故か俺の部屋に居た。
ニコニコしながら俺を目下にしている.....あの。
結構.....怖いんだけど?
「片瀬さんと私はタッグを組む事にしたからね」
「あ、あ。それで.....」
「そう。打倒他の女子、だよ。.....だから私は片瀬さんと情報共有しているの」
「へ、へえ.....」
すると四季さんは不満げに、それはそうと片瀬さんを泊めたんだね、とプンスカしながら言ってくる。
それも部活動で?、と言いながら。
俺は、そ、そうだね、と答えた。
そうしていると四季さんが、じゃあ私も部活入ろうかな、と話す.....は!?
「楽しそうだから」
「.....い、いや。でも映像部だ.....よ?」
「私は時折しか顔を見せれないけど入る」
「.....い、いや.....」
「何?不満があるの?」
無いけど.....。
俺は汗を噴き出しながら青ざめつつ四季さんを見る。
するといきなり四季さんが、また汗かいてる、と俺を指差してきた。
そして俺の鼻を小突く。
「私と話すのそんなに緊張するの?」
「.....陽キャだから.....」
「.....それは長谷場くんに言われたでしょ?.....そんなもの肩書きだって」
「.....四季さん.....」
「.....私は陽キャじゃ無いよ。一生懸命縋っているだけ」
四季さんはその様に話しながら、スクールカーストにもランクがあるの知ってる?、と尋ねてくる。
ランクって何.....?、と俺が聞くと。
スクールーカースト内にも仲間の上下関係があるんだよ、と答える。
そして、私はミコ.....と仲はあまり良くないかも、と言った。
「.....え?」
「スクールカーストトップだけど私は仲間内では貴方と同じ位置関係だと思う」
「.....そんな事って.....」
「そういうものだよ。リア充は」
「.....」
だが.....長谷場は言った。
ああ見えてミコもきっと四季さんを心配しているだろう、と。
俺は四季さんを見る。
四季さんは、ミコが何か私の事を心配しているって思っているの?、と見透かした様に聞いてくる。
そのまま四季さんは複雑な顔になって答えた。
「.....多分無いよ。.....友達付き合いってのはそういうものだと思うから。でも私はこの関係、場所、今が一番心地良いんだ」
「.....四季さん.....?」
「.....私は.....昔は友人が居なかったから。.....まあ貴方になら話しても良いかもね」
「.....な、何を?」
「.....私は財閥の娘なの。.....四季財閥。.....知ってる?全国の百貨店.....福岡とか東京とかにある四季百貨店の娘なの」
「.....うん。.....えぇ!!!!?」
四季百貨店はマジに有名だ。
全国に10店舗あるのだ。
第一店舗だったら400年創業している老舗百貨店。
知らないものは無いだろう。
俺もお世話になった事がある。
そもそも四季財閥は確か2兆円のお金を持っていると聞いた事がある。
つまり大金持ち中の大金持ち.....だが。
何故その財閥の娘がこんな凡人の高校に?
あり得ないんだが。
「.....四季百貨店と四季さんが関連しているなんて思わなかった.....。でも何でその.....財閥なのにあの凡人の学校に?」
「簡単だね。.....私は親に捨てられたから。と同時に居場所を求めていたから。お金持ちっていう肩書きが嫌いだったから、お金で全てを変えるのが好きじゃなかったから、だよ」
四季さんは苦笑しながら答えた。
ほ!?、と思いながら四季さんを見る。
親にす、捨てられる?
どういう事なんだ?
思いながら四季さんを見ていると。
「先輩。四季先輩。朝ご飯出来ました」
そしてエプロン姿の片瀬さんが顔を見せる。
俺は四季さんを見る。
四季さんは、今のは内緒ね、と笑みを浮かべた。
それから、私の全ての今の居場所が無くなるから、と言ってからウインクしてそのまま階段を降りて行った。
後に残された俺は.....頬を掻くしか動けず。
そのまま、うーむ、と悩んでしまった。
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