第11話 大橋小鳥の誘惑と長谷場の友人としての願い

三つ巴というか。

正確には2対1.....と言えるかもしれないけど。

俺にとっては地獄に変わりはない。

という事で胃の痛みを感じて保健室に来た.....のが間違いだった。


「えへへ。捕まえたよ」


「.....お、お前.....保健室の先生は何処に.....というか何だその姿!?」


そこには髪の毛を染めるのを止めた美少女。

伊達メガネを身につけており。

胸元を広げている化粧もキッパリ止めている美少女が居た。

そして逃げようとしたら捕まって保健室の鍵を掛ける大橋さん.....な、何をしている.....何をしようとしている!?


「かっずー。どう?この格好」


「.....ど、どうっていうのは.....?その姿.....だったらもうダメだと思う。男を誘惑する服装だよね!?」


「私はかっずーさえ誘惑出来れば何でも良いけど」


「.....いや!?いや!?」


俺は逃げようとするが。

布団に押し倒された。

そしてそのまま両手を掴まれて胸に視点がいく。

ヤバいんだけど!!!!?

何で俺こんな目に!?


「かっずー。逃がさないよ。.....何だか他の女の子にかなり誘惑されているっぽいじゃん?私だって負けてられないから」


「ば、馬鹿野郎!?こ、この場所は学校なんだけど!?」


「学校?そんなの関係ないよ?学校で.....やっちゃう子も居るしね」


「何の話だよ!?」


慌てながら俺は抵抗する。

しかし大橋さんは俺を逃そうとはしない。

それどころか何かし始めた。

上着を.....脱ぎ始めた。

ブレザーを、だ。


「.....うっそだ.....」


「胸の感触、確かめたくない?」


「い、いや。断る」


そうしていると保健室のドアが開いた。

俺達はビクッと慌てる。

そして、あれ?大橋さん何処に行ったのかしら?、と声がしてくる。

こんなに簡単に鍵が開くとは思ってなかった様だ。

大橋さんは俺を布団の中に押し込.....何してんだ!?


「入って!カーテンが開く!」


ちょ、ちょっと待って、と思ったが。

カーテンが開いた。

そして大橋さんが対応する。

布団の中に大橋さんの足が突っ込まれ.....見上げるとスカートが翻っており。

そこから縞柄のパンツがみえ.....オイィ!!!!?


「う.....ぐ.....」


「ひゃ!?しゃ、しゃべ.....らないの!」


大橋さんが小さく俺に告げてくる。

そんな事言われても呼吸困難になる。

股に挟まれている様な有様だ。


このままでは非常にマズイ。

下半身がエクスプロージョンしそうだ。

ヤバすぎる。


「大橋さん。体調良くなったら教室に戻りなさいね」


「.....はーい。先生」


そんな会話が聞こえてきてカーテンが閉まる。

そしてすぐに大橋さんが布団に顔を突っ込んで俺を見下ろしてくる。

ニヤッとしながら、パンツ何色かな?、と聞いてくる。

俺は真っ赤になりながら、こ、答えれるか、と答えてみる。

すると大橋さんは、縞パン見たでしょ?、とニヤニヤしながら俺を見下ろしてそしてかなり真っ赤になる。


「.....あ.....」


「.....え?.....あ」


我慢していたが。

既に下半身。

スボンがバンバンに膨れ上がっていた。


限界地点である。

大橋さんは真っ赤になりながら俺を解放する。

そして慌てた様に、と、隣のベッドに行けば違和感無いから、と案内してくれる。

俺は慌てる様にお礼を言ってから逃げた。



保健室の先生に、勝手に休ませてもらってました、と虚偽の説明して胃薬を貰う。

それから俺は胃薬を飲んでから。

教室に戻ると。

いきなり何故か長谷場が、やあ、と声を掛けてきた。

何の用事だ.....。


「君と話がしたくて。.....少しだけ時間あるかな」


「何でスクールカースト上位の君が.....?」


「.....スクールカーストなんて所詮は肩書きだよ。.....どんな形であれ俺は君に興味がある。.....自販機に行かないか」


「.....い、いや.....」


「まあそう言うな。奢るからさ」


何でこんな目に。

俺は思いながら冷ややかな目をしているスクールカーストの重松とか見ながら。

そのまま呼び出されるがままに自販機のある中庭に向かう。

それから、君は何を飲むかな、と聞いてくる長谷場。

俺は、じゃ、じゃあコーヒーで.....、と言う。


了解、と声がしてボタンを押して。

がこんと音がしてコーヒーが落ちる音がしてから。

長谷場が俺にコーヒーを渡してくる。

そして長谷場はカフェオレを買う。


「.....やっと君と落ち着いて話が出来るな」


「.....い、一体何の用事.....?」


「ああ。えっとな。.....満の事だ。.....満の事.....君はどう思う?」


「.....どう思うって.....俺には分からない.....」


「そうか。.....実はな俺達は仲が良いけど.....満の家の事情だけは知らないんだ」


意外なこったな。

家に遊びに行ったりしないのか?

俺は考えながら長谷場を見る。


そんな長谷場は俺の考えを見透かした様に肩を竦めた。

それからカフェオレの容器を開ける長谷場。

そして空を見上げる。

俺もコーヒーの缶を開けた。


「満は.....何というかそういうの話したがらない。.....だから彼女の家の事情。彼女の家族構成などは知らない」


「.....それは意外だね.....」


「.....ああ。だからな。.....君を好きって言った事が本当に嬉しくてね」


「.....親の様な感じか」


「そうだね」


親って言ったらあれかもだけど。

俺は.....満の友人として.....満に幸せになってほしいからね。

と言いながら長谷場はカフェオレを飲む。

そして自販機を見た。


「.....佐藤。.....俺としては.....お前と満がくっ付いてほしいって思っている」


「.....でも.....俺は重松とかに嫌われているみたいだけど.....」


「.....ああ。ミコか。.....ああ見えて喜んでいるんじゃないか。ミコも」


「.....」


それは無理がある気がするが。

思いながら長谷場を見る。

長谷場は、良い天気だな、と言葉を発する。

そして少しだけ複雑な顔をした。


「.....俺の家は金持ちだ。.....それ故に他人行儀が嫌で頑張って.....人の気持ちを知りたいんだけど.....でも上手くいかない。満の事だけはね。.....それで君に頼みがある」


「.....な、何の頼みか?」


「.....もしこの先だけど何かしらで満の事が守れなかったら.....君が満を守ってほしい。.....それが俺からの願いだ。最愛の友人としてな」


「.....長谷場が守れない?そんな馬鹿な事が.....あるのか?」


「まあ何も無いけど。.....でも万が一だよ。保険って言うかな」


「.....そんな感じで使われるのは嫌なんだけど.....」


そうだな。

だけどその分のお礼はきっちりするよと長谷場は言う。

それから、教室に戻るか、と長谷場は切り出す。


俺はその言葉に缶を見た。

波打っている.....コーヒーが入っている。

すると長谷場が俺に向いた。


「佐藤。君には君にしか出来ない事がある。.....だから頼むよ」


そして長谷場は頭を下げた。

俺は!と思いながら悩む。

それから盛大に溜息を吐いた。

そうしてから、分かったよ.....、と困惑気味に返す。

困ったもんだな、と思いながら。

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