第10話 三つ巴の戦い

「初めまして。当島蘭子です」


「「「「「うほー!」」」」」


教室中が唖然としながら歓喜に包まれる。

男子達は変な声を上げて。

そして女子達は、可愛い!、とか声を上げる。

ただ1人だが俺は困惑していた。


「信じられない.....」 


そう言いながら落ち込む。

その後、当島さんは俺の後ろの席に着席した。

それから俺に笑みを浮かべる。

宜しく、と言いながら。

俺はただ困惑するしか無かった。



「おはよう。佐藤くん」


「あ、おはようございます.....四季さん」


教室はもうこんな挨拶ごときでは騒がなくなっている。

俺はその事に安心しながら四季さんと話す。

天気の事とか。

今日は移動教室だね、とか。

すると背後の他の生徒に囲まれていた当島さんが、ねぇねぇ。和馬くん、と話してきた.....オイ!?


「え?ちょっ。何でアイツ、当島さんに下の名前で呼ばれてんの.....?」


「意味不明すぎる」


「は?ちょっ。えぇ?」


そんな感じで話してくるクラスメイト。

俺はストレスの吐き気の気持ち悪さを感じながら当島さんを見る。

それから言葉を発する為に口を開く。

するとその前に四季さんが、当島さん。知ってるの?彼、と聞いた。


すると当島さんは、それは勿論、と話す。

それから頬を朱に染めてから、私は許嫁だから、と話.....ぎゃあああ!!?!?

場所!場所考えて!?


「は!?」


「い、許嫁.....?」


「ちょっとマジに意味が分からない.....」


教室が混乱し始めたぞ!

何を暴露してんだ!

俺は考えながら当島さんを涙目で首を振りながら見る。


いやあああ!!!!!

俺はそんな感じで頭を抱えた。

するとかなり据わった声で、そうなんだ、と四季さんが真顔のまま反応する。

当島さんは笑みを浮かべる。

小悪魔の様に。


「だから私は貴方に負けない、というかまあ私は外堀を埋めたから私の勝ちだね」


「はい?何?外堀?」


「今度、婚約の約束をするんだ。彼と」


教室がマジに固まった。

それから、何ィ!!!!!、と絶叫する。

今この瞬間だが。

俺の居場所は無いに等しいものになった。

様々な痛みに汗を流す俺。

すると。


「待ってくれ」


そんな男子生徒の声がした。

それは何故か長谷場だ。

その長谷場はそう言いながら顔を真剣にする。

そして此方に歩み寄って来た。


「当島さん。彼との婚約の約束だけど待ってもらえるかな」


何で長谷場が出て来た。

俺は???を浮かべながら長谷場を見る。

当島さんに一目惚れでもしたのか?

考えながら俺は長谷場を見る。

すると長谷場は予想外の事を言った。


「満も彼が好きなんだ。だから第一には満に幸せになってほしいから。彼の事もある。そんな勝手な真似をするのは許せないな」


長谷場は苦笑しながらも決して穏やかなオーラとは言えない威嚇っぽい感じを見せる。

俺は、は!?、と目をパチクリして長谷場と四季さんを見る。


四季さんは頷きながら赤くなる。

そして胸に手を添える。

すると当島さんは目を丸くしていたが、そうなんだね、と笑みを浮かべてニヤッとした。


「じゃあライバルなんだ」

 

「ライバルと言えばそうなるよ。私は彼が間違いなく好きだから」


「だからこそ譲れない戦いがあるんだ」

 

「ちょっ。俺の意見.....」


俺は慌てながら言うが。

当島さんに止められてしまう。

待って。和馬くん、と言いながら。

それから、四季さん。貴方とは良いライバルになりそうだね、と笑顔を見せる。


「私以外にもライバルは居ます。だから当島さん。貴方の思い通りにはならないです」


「何だか面白い事になりそうだね」


「確かにね」


だがその目には火が宿っていた。

負けてたまるか、という感じの目。

つうか俺は何で、というか一体何故こんな目に巻き込まれているのだ?

思っていると、ちょっと待って下さい、と声がした。

見ると片瀬さんが居た。


「聞き捨てなりません。私も彼が好きなんですよ。だったら私も皆さんのライバルです」


「ちょっ。片瀬さん?!」


「私も彼を奪う為なら何でも戦わせていただきます。ライバルです」


「.....!」


するとその姿を見ていた四季さんが、じゃあ片瀬さん。もし良かったら当島さんの陰謀を倒すまで一緒に組まない?、と提案した。

一緒に組む?、と怪しげな声を発する片瀬さん。


俺達も?を浮かべてその姿を見る。

四季さんは、私は当島さんに負けたく無い。それから片瀬さんもこの戦いに、強敵に負けたくない。組むにはそこそこだよね?、と話す。


片瀬さんは!と浮かべながら、確かに、と顎に手を添えてから言葉を噛み砕く。

それから片瀬さんは顔を上げてから四季さんをそのまま見た。

分かりました、と言う。

そして片瀬さんは当島さんを見る。


「貴方はこういう救済は要らないんですよね。というか聞く方があれかもしれませんが」


「私はそういうのは必要ないよ。負ける要素が全くないしね。あはは」


当島さんは余裕な感じを見せる。

片瀬さんは真剣な顔でその姿を見てから一歩を踏み出して四季さんの手を握る。

それから手を組む。

そして時間は一時限目に突入したがこの一連の事は学校中に広まる事になってしまった。


あのさ俺ボッチが好きなんだけど。

そんな事に巻き込まれる意味が分からないんだけど。

何故にこんな事に?

しかも大橋さんにも知られた.....。

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