第8話 片瀬里奈と当島蘭子と.....?

モデルを自宅に呼ぶとか何考えているの俺?

俺は思いながら後悔に満ち満ちながら。

そのまま.....お茶を飲んでいる有名スーパーモデルを見る。

当島蘭子さんを、だ。

言わずもがな東京ガールズコ○クションとかにも出ているモデルだ。


「ふーむ!これが.....君の家かぁ」


「.....そ、そんなに見ても何もないけどね」


「.....いや。.....私はこの家に来た事が意義があるって思ってる。.....だから有難うね。今日は招いてくれて」


「.....」


俺は当島さんを見ながら苦笑いを浮かべる。

少なくとも四葉が帰って来るまでに何とかしなければ。

と思っていると.....当島さんが俺を覗き込んできた。

そして小悪魔の様な八重歯が見える笑みを浮かべる。

俺は!?と心臓が止まりそうになってしまう。


「どうしたの?」


「.....いや.....何でもない.....」


「当ててあげよっか。.....何かマズイんでしょ?私が居ると」


「.....そ、そういうのじゃないけど.....」


「じゃあ何でそんなにソワソワしているのかな?」


「.....」


大丈夫。

もう撒いたと思うし.....もう少ししたら帰るよ、と笑顔になる当島さん。

俺はその言葉に!と浮かべながら胸を撫で下ろす。

すると、でもその前にぃ、と声を発する。

そしてニヤッとする当島さん。


「せっかく来たんだから君の部屋を見たい」


「.....な。そんな。片付けてない.....」


「嫌かな?お願い」


「.....わ、分かった.....」


何でこんな目に。

しかも四季さんに先に見せる約束.....まあいいか。

思いながら俺達は2階に向かう。

それからドアを開ける。

そこに機材とかがある俺の部屋が広がった。


「ここが君の部屋なんだね」


「.....う.....うん。汚くてごめん」


「いや。全然。.....私こそゴメンね。わがままで」


「.....い、いや。そんな事は.....」


当島さんはカメラとかパソコンを見る。

そして俺に向いてきた。

何かお礼をしないといけないけど.....何をお礼したら良いかな、と言いながら。

俺は?を浮かべて、そんなの要らないよ?、と言う。

何かしたっけ?それ以前に。


「私はお礼しないと気が済まないよ?.....あ。じゃあ.....今度.....一緒にデートしよう」


「.....は.....?え!!!!?一流モデルと!?」


「仕事の空きの調整次第だけど.....サングラス掛けるしね。変装もするから。ね?お願い!」


「.....何でそこまで.....」


「.....私は君に救われた。.....ただそれだけだよ。.....電車に飛び込んで自殺しようとした。.....その時にあったのが君の動画だった。.....動画が無くなって私は貴方を探そうと思った。.....ただそれだけ」


「.....!」


俺は真っ赤になりながら俺の手を握ってくる当島さん。

そして俺を赤くなりながら見上げてくる。

俺はその姿を見ながらまた胸焼けが.....甘酸っぱい胸焼け。

まるで.....酸を飲んだ感覚。

焼ける様だ。


「.....」


「.....」


暫く見つめあっていると。

インターフォンが鳴る。

俺は、す、すまない。宅配だ!、と慌てて離れてから階段を降りる。


そしてインターフォンを覗く.....と。

そこに何故か片瀬さんが立っている.....。

ホァ!!!!?


「.....は、はい」


『あ。先輩。お菓子作ったんで持ってきました』


「.....え?近所だったの.....?というか何でこの家の事.....」


『偶然ですね。お見掛けしたの。先輩の後ろ姿があったんで。.....それから.....女子。.....誰かと一緒なの.....も♡』


ゾッとした。

何かな?すっごい怖いんだけど。

笑顔なのにスゲェ怖い。

俺は思いながら重たいドアを開ける。

そして目の前を見ると片瀬さんがカゴを持って立っていた。


「先輩。.....誰と一緒だったんですかぁ?」


「.....そ、そうだな.....。色々あってな。親戚だ」


「.....ふーん。結構先輩嘘つきだから怪しいなぁ」


「.....」


ニコッとする片瀬さん。

いや.....誰かマジに助けてくれ。

これは修羅場だ.....。


俺にとっては修羅が見える。

そして.....腹痛が.....。

と思っていると、どちら様?、と当島さんが顔を見せた.....オイィ!


「.....え?モデルの当島.....蘭子?!」


「そうですね。.....初めまして」


「.....へー.....先輩。これはすっごいですねぇ。当島さんと親戚.....ふーん。.....ふーーーーーん.....」


「.....」


まるで俺に非があるような言い方だが。

少なくとも良いではないか多少の嘘ぐらい。

何で俺はこんな目に遭っているのだ?

すると片瀬さんが、無理がありますよね、と切り出す。

そうしてから片瀬さんは真剣な顔で当島さんを見る。


「.....貴方もですか」


「.....貴方も、という事は貴方も?」


「.....はい。私は.....」


すると片瀬さんがカゴを地面に落とした。

そして俺に駆け寄って俺の腕に手を回して頬を膨らませる。

それから、私の大切な人です、と言ってくる。

当島さんは!と思い浮かべながら。

真剣な顔で笑みを浮かべる。


「.....動画のフォロワーライバルだね」


「.....そうですね。これはライバルです」


「.....私は負けないよ。権力を持ってして、じゃなくて1人の女の子としてね」


「.....私だってモデルに負けるつもりはないです」


「.....お前ら.....お、落ち着け」


俺はアワアワする。

そうしていると当島さんの乗っていた?外車がやって来た。

それからドアが黒づくめの男達によって開かれる。


俺達は!?と思っていると。

当島さんは、あ。時間だね、と言う。

そしてそのままローファーを鳴らして去って行く.....時に。

俺に向いてきた。


「私ね。転学するの。.....学校」


「.....そ、そうなのか?」


「うん。和馬くんの居る学校にね」


「.....は.....?」


「許嫁は常に旦那様の側に居たいって考えるものだよ?アハハ」


許嫁!!!!?

俺は、何誤解する様な事を!、と言っていると。

背後からかなり冷めた声で、それはどういう事ですか?、と声がした。

そして俺に笑顔を見せる片瀬さん。


「.....先輩.....?」


「.....誤解だからな。彼女が言っているだけだ」


「え?誤解ってつもりもないよ?だって.....話はつけているからね。.....私の両親にも。.....周りの溝は埋まってきているよ」


「勝手に外堀埋めんな?!」


「まあ私が好きだから。外堀を埋めている。だから遅くなったの。.....声を掛けるのが。大好きだから」


この言葉に対し.....片瀬さんがかなり焦る様な感じを見せた。

その姿を見ながら俺は当島さんを見る。

この子ヤバい。

俺は思い出してみた。

保健室の先生の言葉を。


『女子は磨きが掛かるのよ。恋をすると』


「.....マジなのか.....」


俺は顔を引き攣らせながら、じゃあね、と投げキッスで去って行く当島さんを見る。

そして車は発進して行った。

俺はその様子を見守ってから.....片瀬さんを見る。

すると片瀬さんは俺の袖を掴んだ。


「.....先輩は.....」


「.....?」


「.....先輩は.....何処にも行かないですよね?」


「.....それがどういう意味かは分からない。俺は.....ああいうの.....その。そんな気はないから」


「.....」


そう。

片瀬さんにも申し訳ないが。

もう恋は.....しないって決めた。

俺の様な奴は女の子を傷付けてしまう。


だからもう二度と。

傷付かない様に2次元で良いって決めたのだ。

誰かを傷付けるから、だ。

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