第7話 揃う五つの華
そもそも俺という人物は何というか。
そんなに人と関わるのが好きじゃないのだが。
思いながら俺は保健室に放課後に救済を求めてやって来る。
すると相談した保健室の先生が、アハハ、と笑う。
そして俺を柔和な目で見てくる。
「.....それは.....確かに大変ね。.....でも良いじゃない。貴方はとても幸せ者よ」
「.....そうですかね.....?」
「そう。.....女の子達はね.....そういう事があると心も体も磨きが掛かるのよ」
「じょ、女性ってそんなものなのですか」
「.....?.....そうよ?知らないの?」
知らない.....というかそんなの全く分からない。
俺は思いながら汗をまたダラダラとかく。
それから胃痛を感じた。
全く.....何で俺はこんな目に遭っているのか。
そう考えながら。
そんな苦しそうな姿を見てから先生は苦笑する。
「胃薬要るかしら?」
「.....そ、そうですね.....」
俺はダラダラと脂汗をかく。
話しながら.....俺は胃薬で胃を整えつつ。
そのまま立ち上がった。
じゃあ先生。相談乗ってもらって有難うございました、と言いながら。
すると先生は、気になさらずに、と手を振る。
「.....でも」
「.....?」
「.....彼女達は本気の想いだと思う。貴方は逃げない方が良いわ。.....ちゃんと応えてあげてね」
「.....先生.....」
「.....私が昔そうだったけど。失敗したからね.....まあだから貴方にはこうしてアドバイスが出来るわ」
失敗.....?
俺は眉を顰めながら先生を見るが。
先生は肩を竦めてそれ以上は話さず苦笑いで手を振った。
その姿に俺は小さく手を振ってから。
そのまま帰宅.....する。
すると校庭から外れた場所の目の前に外車が停まっているのに気が付いた。
俺は?を浮かべて他の生徒と外車を見る。
何だこの外車、と思いながら。
驚きながら他の生徒はヒソヒソと話していた。
「.....まあ.....何かあったんだろうけど。もう騒ぎは懲り懲りだな」
俺はそんな事を考え呟きながら。
そのまま歩き出す。
そうしていると、ねえ君、と背後から声がした。
俺は?を浮かべて振り返らずにビクッとする。
汗をかきつつチラ見だけすると。
そこに東京で活躍しているスーパーモデル.....というか。
この日本で1番の人気モデル。
一流モデルの蘭子。
つまり当島蘭子(とうしまらんこ)が立っていた。
身長もそこそこでめっちゃ可愛いんだが。
髪の毛は栗毛色の.....ゆるふわ。
え、ちょっと待って何だこれ.....?
俺はドギマギと緊張しながら前を見たまま話す。
「は、はい。何でしょうか」
「この学校に佐藤和馬という名の男の子は居るかな?」
「.....」
「えっと。確か佐藤和馬君は2年生だけど.....」
心臓がかなり脈動が速くなる。
マジ?
スーパーセレブが俺に何の用ですかね?
俺は汗をダラダラかきながらスーパーセレブに答えた。
すいません、知らないです、と俺は前を見たままそのまま静かに立ち去る。
のだが.....スーパーセレブが俺の表に飛んで回ってくる。
そして、あ!、と声を発した。
「君.....!」
「いや。人違いです」
「.....いやいや。それはないよ。.....絶対に人違いじゃないよ」
「.....いや。ごめんなさい。本当に人違いです」
すると当島さんはグッと俺の腕を握る力が強くなる。
そして、やっと見つけた、と笑顔になる。
俺の手をゆっくり握ってくる。
貴方は.....私の救い人だね、と言いながら。
ちょっと待って.....もうツイテイケナイ。
俺は振り払って逃げようとした。
のだが.....その前に当島さんが生徒に囲まれる。
「当島さん.....だよね!!!!?」
「めっちゃ可愛い!!!!!」
「蘭子ちゃん!こっち向いて!」
流石はモデル!
俺は思いながらその隙に逃げようとした。
のだが.....当島さんは、今は私は私的に来ているので.....、と困惑している。
フラッシュが大量に焚かれる。
俺はその姿を見てから足が止まった。
「.....こっち」
「.....え?」
「良いから!」
そして俺は当島さんの手を握ってから。
そのままダッシュで駆け出す。
制服姿の当島さんを引き連れて、だ。
それからそのまま近所の公園を抜けてから。
そのまま隠れる。
「.....はぁはぁ.....」
「ふうふう.....」
1キロぐらい走った。
そして逃走してしまったが.....俺は何をしているんだ!!!!?
学校での俺の居場所が無くなってしまう!
馬鹿なのか俺!?、とそのまま頭を抱える。
なんて事を、と思う。
まるで根性が無いキモオタが.....、と思っていると。
「えへへ」
「.....と、当島さん?」
「私を引き連れてどうするの?」
「.....!!!!!」
細い腕を握ったままだぱらっちゃぱらら!?
何言ってんのか分からないが俺は振り払う。
そして当島さんを見る。
当島さんは笑顔を浮かべていた。
物凄く愛らしい笑顔を。
「嬉しいなぁ。こうして守ってくれたのが」
「.....い、いや。俺はそんなつもりじゃ」
「.....こんな場所での自己紹介だけど.....私は当島蘭子。.....宜しくね」
「俺は.....長島塔矢.....」
「.....嘘ばっかり。アハハ。面白いね君。やっぱり」
何でそんな偽名を使うの?、とクスクスと笑顔になる当島さん。
そして俺を柔和に見てくる。
俺はその姿に聞いてみた。
まさかと思うけど動画観たの?フォロワー?、と。
すると赤くなりながら当島さんは頷いた。
「私、婚約の約束をするのに来たんだ。.....君と」
「..........は?」
「えっとね.....私、貴方と結婚したい」
「.....」
いやちょ。
ゴメン宇宙が見える。
どうしてそうなったの?誰か答えてくれない?何で?
とぼんやり思っていると、貴方は私を危機的な.....自殺から救った。.....貴方が好きなの、と俺の手を握ってから摩ってくる。
「今日の為と思って10億円貯めたんだ。.....お金」
「.....10.....10億円!!!!?」
「.....私は.....モデルのなったのも全部貴方の為だった。原点は貴方が居た。.....動画に勇気付けられた。.....だから好きなの。貴方が.....心から」
「.....!!!!?」
すると追っかけが来た。
蘭子ちゃーん、と声がする。
大勢で探す声がする。
俺はハッとしながら、こっち、と誘導する。
そしてそのまま公園を抜けて.....手を引いて俺の家に連れて行く。
他に行き場所が無いので.....って俺何しているの?
俺こんな真似するつもり無かったんだけど?
頭おかしくなったのか?
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