第6話 君という人物にかなり興味が湧くよ

「おはよう」


「.....お、おはようございます???」


「アハハ。佐藤くんってやっぱり面白いね」


何というか.....教室に行くとそんな感じになった。

四季さんがニコニコしながら容赦無く俺に話し掛けてくる。

俺はその姿を汗を流しながら見つめる。

腹痛を感じる。

自律神経も乱れている.....暑い!


「ゴメンね。話し掛けちゃって。ちょっと.....配慮が足りないかもだけど.....ちょっとお願いがあるんだ。実は」


「な、何でしょうか?」


俺は汗を流しながら見ていると四季さんが耳打ちをしてきた。

えっとね、と言いながら。

そしてこう話してくる。

あの。こそばゆいんだけど。


「.....君の家に是非とも行ってみたいんだけど良いかな。どんな動画を撮っていたのか見たいの」


「.....は!?」


「そもそも私って.....何で君の動画を観ていたか知ってる?」


「.....し、知らないです」


「.....そっか。.....じゃあその時になったら話すね」


「.....!?」


俺は赤面しながら四季さんを見る。

すると、ねー満ー、とかったるそうな声がした。

見ると.....重松。


つまり重松ミコ(しげまつみこ)という名のスクールカーストトップの女がつまらなそうな顔をしていた。

俺はキリキリと胃が痛む。


「何でそんなめちゃつまんない奴と話しているの?満」


あくまで俺と四季さんが話すのがかなり腹立っている様だ。

クラスが一気に静かになる。

俺と四季さんが話していた時から騒がしかったのだが一瞬で凍った。

そして沈黙が.....流れていたが。


四季さんが口を開く。

ミコ。私は彼はつまらない人間とは思ってないよ、と言う。

それから重松を見て、実はね。私を救ってくれたんだ。彼は、と切り出す。

まさかの予想外の言葉だった。

まるで.....天使の囁きの様に胸に手を添える四季さん。


「私は彼が私を救ってくれたのを知っている。.....だから彼と話がしたかった。.....悪く言わないで。お願い」


「.....」


重松は、は。なんかよく分からないけど。まあ良いけどさ、とぶっきらぼうに話す。

そして四季さんに、でも良いけど早く戻って来て、と言う。

この金髪、と思いながら見ていると。

四季さんが、ゴメンね。戻らないと、と切り出してくる。

今度カラオケとかに行く約束の予定があって、とも。


そしてそのまま戻って行く。

大変だなリア充ってのはマジに。

そう思えた。

まあ俺には関わり合いの無い世界だ。

どうでも良いが。



「セーンパイ♪」


「.....うわ!?な、何か!?だ?」


「何素っ頓狂な声を出しているんですか?私ですよ?片瀬です」


「いやまあそれは見れば分かるが!」


何俺のクラスに来てんのよ!

俺に目的!?、と思いながらビックリしながら片瀬さんを見る。

片瀬さんは、はい。先輩に用事です、と笑顔になる。

俺は、そ、そう、と話しながら苦笑い。

何の用事だ.....?


「先輩。昼休みですね」


「.....そうだな。.....それがどうした?」


「はい。じゃあお弁当。はい」


「.....は?」


「お弁当です。.....一緒に食べましょう」


何ぃ!!!!?

俺は愕然としながら赤面する。

教室が固まった。


そして片瀬さんを見る。

片瀬さんは笑みを浮かべながら、言いましたよね、と語る。

それから、私は貴方に遠慮はしないって、と笑顔になる。


「いやいや.....マジに何であんなクソボッチが?」


「意味分からん。キモい」


「.....片瀬さんが可哀想.....」


そんな声がボソボソと女子からも男子からも聞こえてくる。

俺はその言葉にズキッとしながら。

片瀬さん。その.....1人で食べた方が良い、と切り出す。


その声に応える感じでゆっくり。

じゃないと片瀬さんのイメージが悪くなってしまう。

このままでは、と思った.....のだが。

片瀬さんは?を浮かべた。


「え?何でです?.....あ。周りとか.....ですか?気にしないで下さい。私は先輩が好きなだけです。全く気にならないです」


「ちょ。そんな大きな声で.....」


すると背後から、ちょっと待って、と声がする。

背後を見ると.....リア充の中に居た筈の四季さんが俺に向いてきていた。

俺達を見ながら真剣な顔をする。

それからゆっくり歩み出して此方にやって来た。

な、何でしょう.....???


「.....片瀬さん。.....もしかしてだけど.....」


「四季先輩.....何でしょう」


「.....貴方.....佐藤くんの動画を観ていたの?」


「.....はい。そうですけど?何か?」


威圧する様に話す片瀬さん。

何でこんな態度.....。

どこもかしこもヤバいんですけど。

何でこんなまるで金属加工の様な火花が散るのよ。


俺は思いながら顔を引き攣らせながら2人を見ていると、まあまあ、と柔和な声が2人の威嚇?し合う声をそのまま割った。

薪を割る様な感じで。


それは.....リア充のガチの上の上のトップの長谷場翼(はせばつばさ)だった。

茶髪に少しだけイヤリングをしている.....まあ少しだけ不良っぽい感じの重松と付き合っている完璧な勉強も身長も何もかもがイケメンの悪い部分が全く無い。

サッカー部副部長という聖なる肩書もある選手。

その男が.....何の用だ?


「満。.....えっと。片瀬さん。.....言い争いは無しにしないと」


「長谷場先輩ですよね。.....サッカー部の」


「そうだね」


「.....その先輩が何の用事ですか」


「.....何の用事って.....うん。.....そうだね。まあ見た感じ揉め事というか喧嘩していたから割って入っただけだよ。教室の雰囲気も悪化するからね」


「.....そんなんじゃないです」


片瀬さんは興味無さげな感じで呟く。

そして苦笑いの長谷場を見る。

その中で四季さんが、長谷場くん。大丈夫だよ、と笑顔を浮かべる。


長谷場はそれで納得した様に.....というか。

何故か長谷場が俺を見てきた。

な、何.....?


「.....君という人はあまり興味が無かったけど。非常に興味が湧くな。.....満の何処を、片瀬さんの何を救ったのか.....気になるな」


「い、いや。し、知らないんだが.....」


「まあそうだよな。満が、俺が君にずっと関わってなかったから今まで君という人を知らなかったけど。.....でも何時もこうして人を惹きつける。君に興味が湧く感じだ。それは見習いとかじゃなく.....君を尊敬する」


「.....そ、そんな事を言われてもな.....」


いや.....何でこの状態にスクールカーストトップまで出てくるのか?

何がどうなっている。

俺は静かに暮らしたいだけなのだが?

賢者になって、だ。


こうなったら取り敢えず.....逃げるか。

そう思いながら、トイレに行って来る、と切り出してから息を整える為にトイレにやって来る.....と思ったら。

目の前の階段から見た事のある人が登って来た。


「お!やっほー」


「.....お主。何故ここに居る」


「うん?私のマイダーリンの姿を見に来たんだよ?アハハ」


何故かその。

大橋が.....居た。

クラスが別なのに何しに来たのだ。

俺は汗をまたダラダラかきながら大橋を見る。

すると大橋は、そんなに汗かかなくてもいいよ?、とクスクス笑う。


「.....私に会うのって.....何時もそんな気分になる?」


「.....い、いや。.....その。ぎゃるが苦手なんだ.....」


「!.....そうなんだ。.....じゃあ私ギャル辞めよっかな」


「へ?」


「.....明日から黒髪にする。化粧も辞める」


へ?いや何でいきなり。

俺は思いながら大橋を見る。

すると大橋は、私は貴方に好かれる為なら何でもする、と笑みを浮かべる。

その言葉にまた動揺する。

な、何?!


「.....私.....好きだから。.....君に救われたの.....忘れないから」


「.....!?」


大橋をどうやって俺は救った?

と、投稿動画で?

そんな馬鹿な事って、と思いながら大橋を見る。

大橋は顔を朱に染めながら、えへへ、と笑みを浮かべた。


「.....だから好きだよ!かっずー!」


「.....!」


にぱっとする大橋。

真っ赤になる俺。

そしてそのまま恥ずかしくなってトイレに逃げた。


何なんだこれは。

リア充といいぎゃるといい年下といい.....もうメチャクチャだな。

心臓が痛い.....。

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