第5話 デスorデートor???

「それで?お兄ちゃんはそれを言われて納得したんだ。ふーん.....」


「.....いや。納得じゃないけど.....寧ろ納得してない」


「.....ふーん。怪しいね.....どうだか知らないけど」


朝になった。

大橋とのやり取りを義妹に話すと.....そんな冷たい顔をされた。

俺は胃がキリキリなりながら四葉を見る。

四葉は、別に良いけど?嫉妬してませんから、と冷たく言い放つ。

俺は苦笑いを浮かべた。


「.....いや。お前さん。明らかな嫉妬だろそれ.....」


「嫉妬じゃないから。.....お兄ちゃんのバカ」


「.....」


地獄だ.....。

俺は考えながらそのまま額に手を添える。

そしてキリキリ痛む胃に作用する柔和な漢方剤を飲んだ。


全く.....、と思いながら。

するとインターフォンが鳴り響く。

当然俺はビクッとした。


「.....は、はい」


『かっずー!おはおは!来たよー!』


「帰って下さい」


『何で!!!!?』


俺はジト目になる。

マジに明るすぎるんだが。

蛍光灯を相手にしている様な感じがする。

俺は思いながら大橋を見る。

大橋は、そんな事言うの〜?この生徒手帳返さないよ?えへへ、とニヤニヤしながら画面越しに生徒手帳を見せてくる。


「くぅ.....」


「うん。まあ.....もう諦めたら?お兄ちゃん」


「.....グゥ.....」


俺は諦めて玄関ドアを開ける。

すると先ず最初に胸が飛んできた。

柔らかいスイカの様な2つの感触.....うぉ!?

かっずー!、と.....相手は言う.....。

羞恥心とか無いのかコイツは!


「お.....お前さん.....羞恥心は無いの.....?」


「?.....羞恥心?.....ああ。おっぱいの事?これ大きいし別に問題無いよ?減るもんじゃないしって言うじゃん」


「.....」


胸を下から支えながら胸を見る大橋。

ぶっ飛んでやがる.....。

俺は真っ赤になりながらそう思う。

そして考えていると物凄い圧力を感じた。

背後から、お兄ちゃん.....、と。


「よ、四葉。.....どうした」


「.....胸の大きい子が好きなんだね?」


「そ、そういうのじゃ無いけど.....」


「え?ちょいちょい。かっずー。誰?」


大橋が???を浮かべながら四葉を見る。

俺は、ああ。義妹の四葉だ、と紹介してやる。

すると大橋はキャイキャイしながら、そうなんだ!よっつーだね!?じゃあ宜しくぅ!!!!!、と思いっきり胸を押し付ける。

オイ。何でもかんでもリップサービスの様な事をすな.....。


「ちょ。はな.....離して下さい.....」


「嫌だよ〜。よっつー何だかとっても可愛いね!」


「.....」


大橋が四葉の胸を揉んでいる。

大きいおっぱいだね!、と言いながら。

そしてその事に悶えてビクビクとする四葉。

俺は、そ、その辺にしてくれ、と大橋を引き剥がす。

四葉が赤くなってヤバいから。


「で。肝心の生徒手帳は.....?」


「あ。これだよ」


そして大橋が俺の生徒手帳を渡してくる。

俺はその事にホッとしながら受け取ろうとした、のだが。

取り上げた。

そして人差し指を横に振ってから大橋は、ノンノン、と、チッチッチ!、と言う。

それからニヤッとして、有難うは?、と言ってくる。


「あ、えっと.....あ.....有難うな」


「はい。どういたしまして。.....じゃあかっずー。この分約束だよ?デート」


「.....は.....いや、お、おい。今この場所で言う事じゃない.....」


「.....お兄ちゃん?それ聞いてないんだけど.....」


物凄い威圧感が背後からしてきた。

俺はゾッとしてヒュッとしながら.....背後を見る。

夜叉の如く!?

そこに笑顔の四葉が立っている。

満面の笑顔だが.....全く感情が篭ってない.....。


俺は犬の様に萎縮しながら大橋を見る。

大橋は目をパチクリしていたが.....やがて何かを察した。

そしてニヤッとする。

兄妹なんだけど.....兄妹じゃ無いんだね、と言いながら。

つまり.....何かを理解した様に。


「.....私は負けないよ。君に」


「.....私も負けるつもりはさらさら無いです。.....貴方の様な方には渡せません」


「お、お前ら?何の話をしているんだ」


「うん?何でも無いさー。アッハッハ」


「.....そうですね」


「.....」


いやまあ。

何となくは察しているが.....その。

信じられないだけだけど。


こんな漫画の様な事がリアルで起こるとは.....。

俺は冷や汗を流しながら腕時計を見る。

危険な時間が迫っていた。

登校時間。


「と、取り敢えずは急いで学校に登校しよう。もう時間が無い」


「あ、そうだね!確かに!」


「.....そうですね」


バチバチと火花は散る。

だが俺は何とかその場を切り開きながら。

そのまま割って入ってから.....モーゼの海の様にしつつ。

そして学校に登校しようとする。


大橋が横で腕を絡ませてくるがそれを断りながら。

冗談じゃない。

そんな事をすれば本格的に噂が広まってかなりヤバい。

それは幾ら何でも避けたいものがある。

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