第2話 何でや

某有名動画配信サイトは.....所謂、世界的に有名なサイトだ。

そのサイトにまあその。

顔出しで出演するのはリスクがあるな、と思った。

つまり俺は一大事な事が起こっては遅い為にチャンネルを閉じてから。

この先も動画投稿はしないと誓った。


そんな俺のかっずーちゃんねる動画をフォローしているのは5人なので問題は無いだろうと思ったのだが。

十分に問題があり過ぎた。

何かといえば.....そうだな。

その5人のうち2人が.....学校でも指折りの美少女だった。


あり得ないんだが。

何がどうなっている、と思いながら俺は寝たふりを続行する。

先程の.....片瀬さん.....付き合ってくれって馬鹿なんじゃ無いのか。

この俺だぞ?ボッチの。

あり得なさすぎる。


「おーい」


「.....何故こんな事に.....」


「おーい。佐藤くん」


「グェへ!?」


いきなり脇腹を突かれて変な声が出た。

俺は!?と思いながら背後を見る。

そこに四季さんが立っていた。

笑みを浮かべながら、だ。

俺は、な、何でしょう?、と聞いてみる。


「佐藤くんとお話ししたいって思って」


「は、はい?」


「佐藤くんって歌上手だよね?今度.....一緒にカラオケ行かない?」


「い、いや。人前で歌うのは.....ちょっと.....」


「え?.....そっかー。残念だなぁ」


しかし美少女の頼み.....こんなの一生あり得ないかもしれない。

この時に断るのは.....、と思いながら四季さんをおずおず見てみる。

四季さんは、だめ?、的な目をしている。

俺は汗が吹き出してきた。


「か、考えておきます.....」


「え!?ほんとに!?.....それでこそ佐藤くんだよね。アハハ!有難う!」


「.....っていうか.....そんなに俺の歌聴きたいの.....?」


「うん。だって上手だし」


上手なのは動画の中だけだと思うんだけど.....、と思いながら四季さんを見る。

いかん.....胃が痛くなってきた。

今度は持病の胃痛が。


俺は考えながら、じゃあまた後でね、と戻って行く四季さんを見る。

ほ、保健室に行こう。

胃薬とか置いてあるかな.....。

思いながら胃を押さえつつ歩き出す俺。



「胃薬?.....まああるっちゃあるわよ」


「あ.....先生。有難う御座います.....」


保健室にまるで亡者の様に行くと。

ちょうど女性の先生が笑みを浮かべて歓迎してくれた。

俺はその姿を見ながら胃薬をもらう為に付いて行く。

するといきなりベッドのカーテンが開いた。


「せんせー」


「.....大橋さん。.....胸元が刺激的に空いてる」


「あ。御免なさい。暑かったから」


褐色の活発そうな胸の大きい美少女が居た。

ギャルっぽい感じの少女である。

俺は胸元にボッと赤面しながら俯く。

そして胃薬を探す先生を見ていると.....その少女が、?、という感じで顎に手を添えて俺をジッと見て来た。

な、何だ今度は.....こんな少女に好かれるとかそんなの無いぞ。


「あ!アンタもしかして動画の!」


「.....!!!!?」


「かっずーだよね!?配信者だよね!?」


「い、いや。人違い。.....だよ?」


「そんな馬鹿な!私は勉強出来ないけど人の顔ぐらいは覚えれるから!かっずー!」


ギュッと俺を抱きしめてくる謎の美少女。

胸が2つ.....メロンの玉が.....2つ。

俺の顔に押し当てられる。

ちょ。

俺は大慌てで逃げ出す。


「あ。ゴメンねいきなり。.....私、大橋小鳥(おおはしことり)!宜しくぅ!」


「.....そ、そう?.....お、俺は.....内藤智樹.....」


「.....へ?名前違うよね?そんな名前じゃ無いよね!アハハ!おもしろーい!」


俺は苦笑いで大橋さんを見る。

すると割り込めなかった先生が、知り合いなの?貴方達、と聞いてくる。

俺はその言葉に、いや。知り合いじゃ無いです、と答える。

大橋は、ひっどい!、と言いながらも嬉しそうに跳ねる。

ぱ、ぱ、パンツが見えそうで見えない.....。


「ね!かっずー!」


「.....な、何でしょう」


「キスしよっか」


「.....」


ぶっ飛び過ぎてついて行けない。

俺は思いながら胃薬を貰ってから水を飲んでから先生に頭を下げてからそのまま逃走というかその場から逃げた。

あ!かっずー!、という絶叫を後にして、だ。

このままでは全てが壊れそうだ。

下半身とか。



何故俺はこんな運命に置かれているのだろうか。

そう思いながら廊下を歩く。

そして顔を上げると、あれ?先輩、と声がした。

大量の書類を持った様な.....片瀬さんが。


「えへへ。こんな場所で先輩に会えるなんて」


「.....どう.....したの?持とうか?」


「それは必要無いんですけどドアを開けてほしいです」


「あ、ああ。すまない」


入りたそうだった部屋のドアを開けてあげた。

そして、有難う御座います先輩、と笑みを浮かべて言いながら中に入る片瀬さん。

それから書類を置いた。

すると埃が若干巻き上がる。

俺はゴホッと咳き込んだ。


「アハハ。煙たいですねこの部屋」


「そうだね.....」


「ところで先輩は何処行ってたんですか?」


「え?.....あ、えっと。.....保健室かな。.....ちょっと片頭痛で頭が痛くて」


持病の事は流石に言えない。

俺は考えながらそう片瀬さんに告げる。

すると片瀬さんは、大丈夫ですか?、と俺を見上げてきた。

俺は、あ、ああ、と返事をする。


「それなら良いですけど。......無理はしないで下さいね。.....私の大切な恋人ですから」


「.....い、いや。恋人になったつもりは無いんだけど.....」


「私、諦めません」


「.....な、何を.....」


「恋を、です」


「.....」


こんな俺に恋をしてもらっても.....。

俺は考えながら赤くなる。

そして換気の為に窓を開けた。

色々な人が居るな。

そんな事を考えながら。

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