第4話 新たなアプローチ
しかし、このような精神に作用するシールドの使用は、赤ちゃんの正常な発達を阻害し、その可能性を制限してしまうという批判もあった。特に、小児精神科医のグループの声明によれば、否定的な考えや感情に触れることは、学習の過程で不可欠なことであり、そのような体験から赤ちゃんを過剰に保護してしまうことは、成長と発達の妨げになると危惧された。
実際、「サイキック・シールド」を使用した赤ちゃんが数年後、ティーンエイジャーになったとき、その副反応と思われる現象が発現していた。
つまり、「サイキック・シールド」を使用したティーンエイジャーは、他人との関わり方や感情表現に問題があることが明らかになったのだ。「サイキック・シールド」の技術を使った子供たちは、他者に共感する能力が欠けており、そのために他人と親密な関係性を構築することが苦手であることが判明したのである。そこで、ドクター・オカザキたちは、自分たちが開発した技術が不完全であったことに気づき、新たなアプローチに取り組み始めた。
ドクター・オカザキは、ネガティブな思考や感情を完全に遮断するのではなく、赤ちゃんがその感情を健全に処理し、対処できるような新しい技術を開発した。「エンパシー・エンハンサー」と呼ばれるこの新技術により、赤ちゃんは他人の感情をよりよく理解し、共感できるようになり、より強い社会性と感情スキルを身につけることができるようになった。
この新技術がテストされ、改良されるにつれて、非常に効果的であることがわかってきた。「エンパシー・エンハンサー」を使用した赤ちゃんは、より強い感情的知性(EQ)と優れたコミュニケーション能力を持ち、周囲の世界をより良く理解していることが明らかになったのである。
更に、そのような赤ちゃんが子供、そして大人へと成長するにつれ、共感、理解、そして人間の経験の複雑さへの深い理解を土台とした、新しい種類の社会のリーダーとなっていった。
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