第3話 テレパシーの倫理

 しかし、新しい社会が発展するにつれて、ドクター・オカザキは、彼らの超能力の暗い側面も分かってきた。超能力を有する赤ちゃんが成長し、子供、そして青年になるにつれて、彼らの感受性は諸刃の剣となった。他人の痛みや苦しみを感じるだけでなく、ネガティブな思考や感情にも過度に敏感になっていることに気づいたのだ。


 また、ドクター・オカザキは、自分の作った技術が、社会の問題を解決する万能薬ではないことにも気がついた。新しい社会が発展していく中で、その技術を自分たちの都合の良いように使おうとする人たちがいた。


 赤ちゃんの超能力を利用して、権力を手に入れ、他人を思い通りに操ろうとする者たちがいた。また、この技術を使って、新たな依存症を作り出したり、マインドコントロールを行ったりして、他人を自分の意のままに操ろうとする者もいた。


 ドクター・オカザキは、このような権力の乱用を防ぐために、何か手を打たなければならないと考えた。そこで彼は、赤ちゃんを利用しようとする者から守るために、新しい技術の開発に着手した。


 その技術とは、「サイキック・シールド」と呼ばれるもので、赤ちゃんの能力を発揮させながら、ネガティブな思考や感情を遮断するものであった。この技術によって、赤ちゃんの精神を保護し、悪用を防ぐことが可能となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る