【三題噺 #47】「木箱」「広場」「物音」(616文字)

 木箱の中には

 家に着いて郵便受けを見ると中に四つ折りの紙が入っていた。

 開くと広場に来いと書いてあった。僕は意味が分からず台所にいる母に聞いてみると「広場ってショッピングセンターのイベント広場?」

 結局その後帰ってきた父や翌朝祖母にも聞いたが、それくらいしか思い当たる場所がなかった。

 十年以上前、僕が小さい頃は家族で休日によく行ったが、今は母が買い物に行くくらいだ。でもそこには誰も行かなかった。

 数日するとまた郵便受けに四つ折りの紙が入っていて、広場に来いと書いてあった。それも無視するとまた数日後に荷物を取りに来い、と書いてある四つ折りの紙が入っていた。

 気味が悪かったが心当たりが誰も何もないので、それも無視した。


 その数日後、夜中に庭で物音がするので起きてきた父と僕で庭を見る。庭には誰もいなかったが、小さな木箱が置いてあった。

 泥棒は家に来て物を盗むのに物を置いていくってあるのだろうか。

 警察に電話して来てもらい、四つ折りの紙のことも話す。

 警官が木箱を開けると骨が入っていた。木箱と紙は警察が回収して行った。

 数日後、刑事が二人訪ねてきた。木箱の中にあったのは十年以上経っている人骨だったという。

 人骨。僕は何か思い出しそうになったが思い出せなかった。思い出さない方がいいように思い、それから考えないようにした。

 その夜、僕は夢を見た。立っている男の人とその足元にぴくりとも動かず横たわる人がいる夢だった。

 夢の中の僕は、それが夢ではないことを知っていた。

 

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