【三題噺 #43】「流れ星」「ポケット」「ブーツ」(474文字)
流れ星を拾う
「あー、流れ星、流れ星が落ちてる」
私とつないでいた手を離し、五歳のみゆちゃんは砂浜をかけて行く。
笑顔で綺麗なシーグラスを拾って私に見せてくれる。ポケットからかわいいハンカチを出して流れ星(笑)を丁寧に包みポケットにしまう。
嬉しそうなみゆちゃんは赤いフード付きのコートを着て、同じ色のブーツを履いている。ツヤツヤな髪も同じ色のリボンで結んである。両親の愛を受けて育てられている子だと分かる。
「あなたのお父さんは嘘つきなのよ、みゆちゃん。妻とは別れるとか言ってたくせに 奥さんのお腹にはあなたがいたの。それなのに私と別れようとしない。嘘つきでずるいのよ」
今は波と追いかけっこをしているみゆちゃんには聞こえない。
そんな男とずるずると別れられない私は大馬鹿なのだろう。
今頃、嘘つき男とその奥さんはみゆちゃんがいなくなって大騒ぎしているだろう。
みゆちゃんと海に入るつもりできたが楽しそうなみゆちゃんを見ていると心が鈍る。溺死はすごい苦しいって言うし、やめようかな。
みゆちゃんと手をつなぎ、歩いてきた道を引き返す。
私たちは来る途中にあった海を臨むがけへ向かった。
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