【ある朝目覚めたら】書出し固定企画(400文字)
鮮やかな赤
少しずつ色が強くなる。
それがこの病の特徴だ。
「色が濃くなっているね」
「ああ、昨日より明らかに濃くなっている。あと十日、いや一週間か」
「だいたいそれくらいだろうね」
隔離病棟で防護服を着た二人の医師が患者を診察しながら話している。
患者の腹には赤い発疹がある。昨日よりも赤みが増している。赤みが増しているということはこの病に対する五日前から使っている新薬の効果が何もなかったということだ。
発疹の赤が血がにじむような赤になる頃に、この患者は死ぬ。
この病気はとても怖いものだった。感染すれば三年前後で九割以上が死亡する。
発疹に気がついても虫に刺されたと思い、気にしない者がほとんどだ。そのせいで病が広まってしまった。
医師や研究者の努力の結果、数年後には病気を広めないためのワクチンができた。
それは感染後、数日で十割死亡するように調整されていた。
病にかかってもすぐ埋葬してしまえば、そこから病が広まることはない。
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