本日の三題噺 2/16 『音楽家』、『やさしさ』、『畑』
音楽家は重労働
私はマンドレイク音楽家だ。
マンドレイクとは、引き抜くときに悲鳴を上げる植物だ。
以前は、マンドレイク作曲家だった。悲鳴を買い集めて作曲していたからだ。
しかし、他人が作った悲鳴では物足りなくなったので、自分で悲鳴を作ることにした、
まず畑を作り、マンドレイクを植えるところから始める。
生長したマンドレイクを引き抜くのは犬を使うことが多いが、私は愛犬家なので犬は使わない。
そんな私のやさしさが作る曲に表れていると、友人たちは言う。
私は引き抜くのに、人間を使う。さらってきても問題のない人間は多い。
そういう人間をわざわざ選ぶところも、私のやさしさが表れていると言われる。
引き抜いたマンドレイクは、魔術師に売るのでお金も手に入る。
一年かけて作った曲を、友人たちと鑑賞した。
聴き終わると、友人が三人亡くなっていた。三人とも人間だった。人間でも生き残っている人もいるので、曲との相性が悪かったのかもしれない。
次はもう少し長い曲を作ると言うと、友人たちは喜んだ。
口々に楽しみにしている、何百年でも完成を待つよと言ってくれた。
引き抜くときに死んだ人間や鑑賞会で亡くなった友人は、次のマンドレイク栽培の畑作りに有効活用させてもらう。
これも私のやさしさだ。
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