自主企画に参加した短編集 3
@mia
自主企画参加
本日の三題噺 2/15 『トリックスター』、『徹夜』、『双子』
もしかしたら自分の人生
自分が双子だと知ったのは、七歳の時だった。
おじい様にひどく怒られた日だった。野犬が出る夜になったら外に放り出すとまで言われた。お兄様をとても可愛がるのに、私には厳しかった。
家長であるおじい様に怯え、お父様もお母様も私をかばってはくれなかった。
そのことに反発し、絶対に近づいてはいけないと言われていた一番奥の蔵に近づいた。
蔵の鍵はかかっていなかったし、扉も大人が出入りできるくらい開いていた。
中を見ると蔵の奥には畳が敷いてあり、女の子が座っていた。その子は鏡で見る自分の顔と同じ顔をしていた。
恐怖を感じ、自分の部屋へ戻った。その夜はショックで一睡もできなかった。人生で初めて、したくもない徹夜をした。
蔵の女の子のことを聞けずに何年か経った。あの子のことを知っていると家族に知られたら、自分も蔵に入れられるかもしれないと思ったからだ。私は、双子が不吉と言われていることを知っていた。
しかし、おじい様が亡くなるころには、双子が縁起悪いなどと言う親族は少なくなっていた。
女の子は蔵から出され、遠い親戚の養女となったらしい。
私は学校を卒業すると一人暮らしをし、何年も家に帰らなかった。両親は娘が帰ってこないのを体裁が悪いと考えたらしい。
一族の財産を盾に私を家に呼ぼうとしたが、あの家のお金をもらうつもりはなかった。
あの子を犠牲にして得た財産だと思うと、もうあの家にかかわりたくなかった。
だからあの女の子が自称トリックスターのペテン師と組み、家の財産を根こそぎ奪っていったと知ったのは、何年も経ってからのことだった。
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