徒然

さあ、出発だ!

きちんとしたテーマを思いつけなかったので、徒然と。


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 異世界に転移してしまったあなたは、冒険者ギルドのマスターに保証人になってもらい、なんとか自宅となる部屋を借りる事ができた。

 ギルドマスターから、保証人になった代わりにいくつか用事を頼まれている。

「今日もいい天気だ!

 ギルドマスターの仕事を頑張らないと!」

 今日もギルドマスターの用事をこなすため、自宅の玄関のドアを外に向かって開いた。

 新しい依頼があなたを待っています!


 ・・・

 ・・

 ・


 あなたが元気な事はとても良い事です。

 が、住んでいる住宅のドアの作りに問題があります。


 日本のドアの作りと欧米のドアの作りは、根本的に異なります。

 日本のドアは、屋外に向かって開く外開きです。

 対して欧米のドアは、屋内に向かって開く内開きです。


 なんとなくですが、出発シーンだとドアを外に向かってバーンと開いて、屋内から屋外に向かって威勢よく飛び出していくイメージがありませんか?

 でも、欧米の場合、基本的にはそれは出来ない筈なんです。

 なぜこのような違いがあるのでしょうか?


 内開きの理由ですが、セキュリティの問題が大きいとされています。


 屋外から屋内に不審者が侵入しようとしても、内開きであれば、ドアに向かって体当たりしたり、つっかえ棒や重量物を置くことでバリケードを築いて、ドアが開くことを阻止する事ができます。

 逆に外開きの場合、ドアの前に物を置かれてしまうと、ドアを開けることが出来ず外に出る事がきません。

 近年、通販で玄関近くに荷物を置いて行ってもらう『置き配』を依頼する機会も増えましたが、稀にではありますが『玄関前に荷物を置かれてしまって、外に出られなくなってしまった』などという事故も起こっています。


 また、ドアと建物を繋いでいる蝶番ちょうつがいですが、ドア本体と、建物をプレートとピンで留めています。

 このピンが抜かれると、蝶番が意味をなさず、ドアが外されてしまう事があります。

 内開きであれば、屋内では蝶番を止めるピンが見えますが、屋外からは見えません。

 このため、外部から蝶番のピンを抜かれてしまうということは、ほぼありません。

 難点は屋内に向かってドアを開くので、玄関にあまり物を置けないということでしょうか。


 日本の場合、ほとんどが外開きです。

 その理由は、日本人は玄関で靴を脱ぐから。です。

 そのため、当然ですが、玄関には履物があります。

 内開きだと、履物にドアが当たってしまうのです。

 基本土地が狭い日本の場合、少しでも余裕を取るために、外開きにしています。

 日本の気候も関係しています。

 高温多湿の日本では、玄関のドアを外に向かって開くことにより、少しでも風通しをよくして、湿度を下げようとしたのです。

 もう一つ、ドアの外側についた埃やゴミなどが屋内に入らないというメリットもあります。


 日本の場合、『住宅事情・住環境』 > 『セキュリティ』となりました。

 ですが、欧米の場合、『住宅事情・住環境』 < 『セキュリティ』となっています。


 ちょっとした違いなのですが、あなたが住んでいる地域の安全性が見えてくる場面だったりするんです。


 異世界で外開きのドアのマンションを紹介されたら、セキュリティを疑いましょう。

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