人喰い族って本当にいたの?ー4

食事中の方は、絶対に読まないでください。


グロテスクな表現などはしていないつもりですが、苦手な方はご遠慮ください。



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 結論から言うと、


『栄養を摂取するため、日常的に人間を食べる人喰い集団はいなかった』


 となります。



 なぜなら、非合理的な行動になるからです。

 その理由を述べていきましょう。


 ●労力に見合わないから

 自分と同じような知恵・体力をもつ同族を狩猟すると言う行為は、他の哺乳類や鳥類、魚類などを狩る行為より非常に労力を使います。

 また、反撃されれば自分が死ぬ可能性もあります。

 つまり、同族を狩るのは非常に非効率的な行為と言えます。


 ●栄養学的にあまり効果がないから

 2017年、イギリスのブライトン大学の考古学者ジェームズ・コール博士がとある論文を発表しました。

 猪の筋肉は1キロあたり4000キロカロリーあるが、人間の筋肉は1キロあたり1300キロカロリーしかない。

 1頭のマンモスを仕留めれば25人が1ヶ月生活できるが、1人の人間から得られるエネルギーは25人のランチにしかならない。

 よって、栄養を得るために人肉食をすることはメリットが少ない。

 ほとんどの化石から発見される食人行為は、宗教や儀式、葬儀のような社会的、あるいは文化的なものによるものだと主張しました。


 ●病気になるから

 ウイルスや細菌・寄生虫などは、同種の生物になるほど容易く感染します。

 例として、『インフルエンザ』を挙げてみましょう。

 毎年流行する『インフルエンザ』ですが、人同士では簡単に感染が拡大していきます。

 次に、よくニュースで耳にする『鳥インフルエンザ』について考えてみます。


 首相官邸のホームページの情報によると、以下のように定義されます。


『鳥インフルエンザウイルスは、文字通り鳥が感染するインフルエンザウイルスであり、通常、ヒトに感染することはありません。しかしながら、感染した鳥に濃厚接触をした場合には、きわめて稀にヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染することがあります。

 患者の多くが、家きんやその排泄物、死体、臓器などと接触があったことが報告されています。

 また、鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトに感染するのはきわめて稀であり、感染の事例は、患者の介護等のため長時間にわたって患者と濃厚な接触のあった家族等の範囲に限られています。

 なお、これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによってヒトに感染したという事例の報告はありません。』


 つまり、種族が異なればウイルスは感染しにくいが、同種の種族であれば、ウイルスが感染しやすいと言うことになります。

 フォア族の「クールー病」など、葬儀の際に人肉食を行った慣例から病気に感染したと言う例があります。


 ●病気に関する補足事項

 散歩中、道端に犬のフンが落ちていました。

 嫌だなあと思って避けます。

 もしそれが人糞だとわかったら、どうでしょうか?

 倫理的、生理的嫌悪感を感じるのではないでしょうか?


 インドのミリンド博士が行った実験で、多くの被験者に13種類にも及ぶさまざまな動物の糞の匂いを嗅いでもらい、どれが一番抵抗感を覚えた(臭かった)かを調べました。

 結果は、ヒトの糞が一番抵抗感を覚えた(臭かった)と答えた被験者がでたと言うことです。


 糞には多くのウィルスが内在しています。

 また、寄生虫も存在しているかもしれません。

 同種であれば、それに触れることは非常に危険です。

 そのため、危険を回避するために、嫌悪感を強く覚えるのではないか?と言う結論に至りました。



 これらの理由に加えて、同族が増えることによって全体の安定性が増すのに、数を減らす共食い行為は忌避されてきたと言う面もあると思います。


 これらのことから、『人喰い族はいなかった』と考えます。




 そして、『人間は本能的に同族食いに繋がる行動を回避しようとするのではないか?』と思うのです。

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