第234話 ログレスダンジョン内〜まったりマカダミアタイム
「しかし……これはマズイな。」
「………何がだ?ロレンド。」
「ここが快適過ぎて、動く気が削がれる………。」
「………ああ…………。分かる。」
小一時間の休憩をしていたら、ふいにロレンドさんが正気に戻った。
俺もまったりタイムに突入してるから、正直言って、今日はここ迄でいいや〜って、夕飯何にしようか考えてたよ。
「あの〜、今日はもうこの辺で探索を切り上げて、明日にしませんか?既に陽も落ちてるでしょうし。」
「シロー、すまん。3層までは探索範囲が狭いから、今日中に案内して街まで戻れると思ってたんだけどな…。」
「全然大丈夫ですよ!寧ろ、加工したい物が溜まってたんで、やっちゃっていいですか?」
「………何に加工するんだ?良かったら手伝うぞ?」
トラキオさんは実家の手伝いをする事もあるって話していたから、手伝ってくれるならお願いしよー。
「俺は、火の番と力仕事なら任せろ!」
ロレンドさんは………丁度いいからマカダミアの殻を割ってもらおうか!
先に味見をしたいから、5個だけ外皮を剥いで、時短で乾燥させよう。魔法で水分を抜いてから、殻ごとローストする。
しかし、殻の硬さがナッツの中でも一番だって事だからどうやって割ろうか……。
あ……俺、この前“圧縮”の魔法覚えたじゃん。それで行けんじゃね?
……………おし!割れた!!
ロレンドさんに頼む事が無くなったけど、まあいいや!先に味見だ!味見!!
「シロー、それは流石に食えないんじゃないか?」
「たぶん大丈夫だと思います。試してみましょう。」
殻を除くと、中から綺麗な白い実か出て来た!
味見はこれを割って食べよう。なんせ一粒が握り拳大のサイズだからさ!
適当な大きさに割ってみると、包丁にナッツオイルが付き、ほのかな甘い香りもして来た。
「キュキュキュキュキュキュキュキュキュキュ!」
「あれチビ……腹いっぱいで寝てたじゃん?これ食いたいのか?」
「ギュッ!!」
「分かったから、そんな力むなよ!漏らしたら怒るからな!」
殻からナッツを出して割った途端、チビが寝ていたソファからテーブルに飛んで来た。お前、美味い物を察知したんだな〜?
「はい、どうぞ。チビもゆっくり食えよ!」
「キュ!!!」
「…………頂く。」
「チビがこれだけ反応してるなら、美味いって事だろうな。よし!俺も頂くよ!」
俺も食おう!………うわ〜!サクサクコリコリした歯触りと、噛み締めて出て来るナッツオイルは、甘さも感じるのにサラッと軽い!美味っ!マカダミアナッツヤバ!
「………この木の実、ものすごく美味いぞ!シロー!」
「本当に!種ばっかりだし、他に美味しい果物が採れるせいで、今まで誰も目もくれなかったのに!」
「硬い殻ですけど割れなくは無いんで、コツさえ掴めば大丈夫だと思います。それに、乾燥させた後、火で炒って割るだけの状態にしたら、流通のし易さは果物の比じゃありませんし。」
ログレスダンジョンでカカオの実も採取が出来たら、絶対にマカダミアナッツのチョコを作る!!
砂糖ある、ミルクもある、ナッツも手に入った!
後はカカオの実だ!リーーーーチ!!マイコーー!
「これ……美味いし腹に貯まるな。普通に携帯食としても優秀な気がするぞ?」
「…………確かに!俺はウチの店でも試せる様に持ち帰りたい。シロー、明日になったら採取をしたいから時間をくれ!」
「もちろんです!トラキオさんのお店で使ってくれるなら、俺が持って帰りますよ!うわ〜美味しい料理になりそ〜!!」
それに今後、採取が増えれば、辺境の市場にも確実に並ぶだろう。あとは値段だけど、これだけ採れるなら、物珍しさが落ち着けば手頃な価格になるはず!
3人でマカダミアナッツの美味さに盛り上がっでいたら、テーブルの上で、ナッツを手にチビが足ダンダンをし始めた。
「……おいチビ。何をダンダンしてるんだよ?」
「…………キュゥ……………。」
「お前ねぇ…もう腹いっぱいなんだろ?諦めて後で食えよ。沢山採ったし、食いたい時に出してやるからさ。」
「キュッ!!!!!」
そう声を掛けると、やっとチビも落ち着き、食い切れなかったナッツを手に持ったまま、ソファに移って行った。
「はは!チビは相当気に入ったんだな!」
「そうみたいです…。あの、ダンジョンにある物ってどの位で復活するもんですか?さっきのナッツ…
「…………大丈夫だ。採取物は大きさにも依るが、早ければ次の日。遅くとも翌々日には復活している事が多い。魔物は3刻(1刻=2時間)程で復活する。それに木は他にもあるはずた。取るやつも食うやつも、この階層には俺達しかいないだろう。」
良かった…。それなら明日は皆で採取が出来るな!
なら、次は魚を確認して加工しよう。
「それなら、後は魚を処理したいんです。夕飯に使っても平気ですか?」
「魚?どこで捕った来たんだ?」
「ログレスに着く前、ログレスに向かって左側に川があったんです。そこで捕りました。悟郎さんは、魚の燻製も好きなんですよ。」
「…………イスグァード川だな。水量が多い川のはずたが、そんなに捕れたのか?」
「はい!上流に移動しつつ取ったら、結構掛かりました!」
キッチンに移動してもらい、捕った魚を1種ずつ出してみる。
移動網漁が良かったのかな?
一通り清浄で綺麗にして、内臓は解体でサッと抜き取る。新しい魚も増えた事だし、最初は炭火焼きにしよう!
「凄いな!こんな種類が豊富で新鮮な魚は、川で捕ったその時しか目にする機会が無いぞ!」
「…………本当に…。俺はこの魚(カプラン)…初めて見た。」
「嫌いじゃなかったら、今晩のメシにどうですか?悟郎さんが燻製好きなんで、燻製を作りながら、炭火で焼きますよ!」
2人にもOK貰い、夕飯も決まった。悟郎さんには肉も必要だからバーベキューにして肉を焼こう!
◇◇◇◇◇
「悟郎さん美味しい?」
「ニャッニャゥ(うんっ美味しい)!」
「
「…………脂が美味い。焼いて香ばしさが増すと、旨味が更に上がる!」
「(カリカリカリカリカリカリカリカリ)………」
何だかんだで、やっぱり2人共肉食。魚の塩焼きは一通り食ってたけど、肉に回帰して行きました。
「他のも美味いですよ〜。はい、どうぞ!」
角煮、生姜焼き、野菜の肉巻きをそれぞれに出す。
角煮は、圧縮を使いながら濃縮を駆使して、圧力鍋風にして煮込んだから、味が染み染みで柔らかい仕上がりの角煮が出来たぞ!
「ニャゥ〜〜〜〜(美味しい)!」
あ、悟郎さんに角煮がクリティカルヒットした。
バラブロックの角煮をそのまま一本渡したけど、これはお代わりするな。
「シロー!コレ美味い!!ピリッとした濃い味が肉に絡んでパンが進む!」
「…………こっちの肉巻きも美味いぞ!色々な野菜をこうして肉で巻いて食うのも良いな!」
2人にも好評だった
あ、角煮柔らかく煮えて美味っ!
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