第148話 変態大家と遭遇
フェルドに大雑把に説明して、二人でハウスの外に出た。
案の定、外は
「!!シロー君!二人はどうした?!」
「中で休んで貰ってます。な?」
「うん!お母さんも寝ちゃったんだ。だからジェインと一緒に先に寝てるよ!あ、ゴローさんは出て来なくて良かったの?」
「悟郎さんも、今日は晩飯まで巣穴に居るってさ。」
そこまで説明し、ハウスをしまう。
フェルドには事前に説明しておいた。驚くと不味いからな。
「さて、フェルド。後はお前たちが使ってる部屋に行って荷物を持って来よう。俺、夕方にはギルドへ行かなきゃならないんだよ。」
「うん!こっちだよ!」
「!ま、待ってくれ!!シロー君!!」
フェルドの先導で着いた場所は、スラムか?ってくらい感じの悪いヤツ等が多くいた。
あれ?やだな。やっぱりスラム街か?
輩ってるヤツが凄えメンチ切って来んだけど?!
「おぉ!何か俺、色んな物を削らなきゃ行けないな気がして来た!」
「?何を削るの?」
「
「…それ食べ物なの?」
「勝てば食えるかもな?」
「ふ〜〜ん。あ、ここだよ!」
こんな暗い場所を勝ち取っても叩き返すわ!
wwwも育たん!!
着いた所で、フェルドが部屋のドアノブをそのまま回して開けた。
えぇーーー!!!ウソだろ?!鍵は?!何で鍵が無いの?!!
スラムだと、鍵掛けても壊されちゃうからとか?
「!フェルド!!遅かったじゃないか!!やっと帰って………誰だそいつは!!」
「ああっ??!!テメェこそ誰だよクソジジイ!!人が貸りてる部屋に勝手に入って来るとはどう言う事だよキモいクソジジイ!!俺に分かる様に説明してみろや変態ハゲクソジジイが!!!」
うへぇ!!ヤヴァイです!お巡りさん!コイツです!めちゃクソキモい!!何が“遅がったじゃないか”だよ!寒イボ立っただろが!!
くそ、騙された!!俺の知ってる辺境は、一部が変境だったのか?!
おいこら!!そこの役立たず!!テメェも衛兵なら何とか言えや!!
「………シロー君、口悪いんだね?!急だったから、とってもびっくりしたよ!!」
「………はあ?アレに丁寧な言葉要ります?知ってるなら今度、俺に教えて下さいよ。多分、使わないと思いますが。」
「ええ?!使わないなら教える意味がないよね?」
「参考程度にはなりますよ。」
変態ハゲクソジジイは、
言い返す事もせず、青ざめて立ち尽くしていた。
「もう一つ、参考までに聞きますが、貸してる部屋に大家は無断で立ち入っても良いんですか?」
「流石にダメだね〜。それを許しちゃ、安心して部屋を借りる事なんか出来なくなるからねぇ…。」
「…だってよ。それを踏まえてもう一度聞くが、貸してる部屋で何をやってんだ?そこの変態ハゲクソジジイは?!」
「…あ………子供だけだと…心配だから様子を見に少し入っただけで……。」
うん。キモい。尋常じゃないあの脂汗!!
それに異世界にも加齢臭があると、今、知った!!
悟郎さんを連れて来なくてマジ良かった!!
俺も歳取ったらガチで気をつける!!
だって悟郎さんに臭くて顔を背けられたら、俺の中で何かが終る…確実に!
「フェルド。お前たちの荷物を全部持って行くから、もし無くなってる物があったら言ってくれ。」
「うん。分かった!」
変態ハゲクソジジイを無視して、どんどん荷物を収納する。
さっさと済まして早く帰りてぇ!!
「……あれ?」
「どうした?」
「僕とジェインの服が無くなってる……。あと、お母さんが大人になったら中を見せてくれるって言ってた箱が無いよ!」
「………………………フェルド、箱ってこれくらいの小さいヤツか?」
「うん!そう!」
青から白へ顔色を変えて、変態ハゲクズクソジジイがガクブルしてる。
本当にセダンガ絡みは碌でもねえな!!
「…なあ。どこへやった?」
「……わ、儂はしらん!」
小石をヤツの耳に向けて投擲する。
壁に当たった音で振り向いたが、何か分からなかったんだろう。
自分の耳を触り、血の滑りでやっと気付く。
「なあ。もう一度だけ聞く。どこへやった?返答次第では、今度はここに何かが当たるかもよ?」
指でそのハゲて広い額を示す。
「…………シロー君、ダメだからね。」
「何かが当たるのは事故ですよ。室内でも何が飛んで来るか、こう言った場所だと分からないですね〜!」
変態ハゲクソクズジジイは、その場で腰を抜かした様に座りこんだ。
「あれ?何座ってんの?返事はどうしたよ?」
「……あ……わ、儂の寝室に……ある。」
ファッ?!?!?!もう滅べ!!今すぐ消えろ!!
クソっ!!!もう、絶対行きたくない!!
だが、フェルドを行かせる訳にも行かない!
「…
「…………そうだね。」
「隣に探しに行くのに、同席して欲しいんですが。」
「私が行くよ。他の衛兵をここに呼ぶから待ってて。」
俺は、変態ハゲクソクズジジイの部屋に入る前に、魔法で自分を覆う事にした。
これなら3〜4分は保つだろう。
「シロー君、その小さい箱って何なのか知ってるのかい?」
「多分、ご主人の遺品箱ですよ。俺が倒したベアから出で来た物をギルドで渡しました。その時に立ち会いましたから。」
「なるほど。君が怒った理由が分かったよ。」
「それだけ回収すればあとは良いです。他は全部バラバラにしていいなら回収を手伝います。」
「……手伝いは遠慮しよう。それなら証拠品として、こちらで回収させるよ。」
………………俺は無事、箱を回収した。中身は俺も詳しくないからギルドで確認しよう。
あとは、もう記憶から抹消だ。
セダンガとこの変態は、最低でも終身刑で野に放たないで欲しい。それがこの世の為だとマジで思う。
あとは、衛兵ズに任せてギルドに行こう。
夕方には少し早い早い時間けど、もう大丈夫だなはずだ。
「………
「気にしないでくれ!私の部下は優秀だからね!任せておけば大丈夫だよ!さあ行こうか!!」
クソっ!オープンなストーカーマジ厄介!!
これは力技で振り切るしかないか!
止む無く、そのままギルドへ向う。
フェルドが箱を気にしていたが見せていない。それは狩人の奥さんの役目だろうからな。
「こんにちはー!精算しに来ました!!」
「えぇ!!マジか?!シローがちゃんと来るなんて、何か事件でも起こるんじゃ……………ト、トラジェフ殿?!……まかさ、もう起こってしまったのか?」
「事件じゃないですよ。フザけた変態ハゲクソクズジジイが一匹出ただけですから。やっぱり、暖かい日が続くと発生し易いんですね?」
「虫みたいに言うなよ!!」
「精算もそうなんですが、確認したい事もあって来ました。」
「………シロー、お前マイペースが過ぎるぞ!少しは説明しろよ!………ああクソっ!ギルド長を呼んで来る!ちょっと待て!!」
精算は出来んだから先でも良くね?
「何だかカレントの口も悪くっなった気がするんだけど、私の気の所為かな?」
「気の所為ですよ。」
俺の所為だとでも言いたいのか?!
俺はギルドでは極力、
「……!シロー!お前何を
「うわぁ、酷い濡れ衣。」
「私は、日頃の行いが物を言ってる様にも聞こえるよ?」
「良く聞こえる耳をお持ちですね!でもそれ、空耳です。」
何だか話しが進まないから、勝手に行くか。
「この箱の中身が渡した時と変わって無いか、確認して下さい。」
「だから、何があったかを先に説明しろよ!!」
「変態ハゲクソクズジジイが一匹出たんで、討伐しました。討伐報酬は要りません。」
「意味が分からんモンに出せるか!!」
思い返すのも、口にするのもイヤだ。
ホントにキモかったんだ!しかも臭そうだった!!
魔法で空気層を作って、自分を囲ってホントに良かった!!
「ははっ!どうやら、シロー君は詳しく話すのがイヤみたいだね。なら、私から簡単に説明するよ。そこに居るトービスさんの息子さんから聞いたらしくてね。奥さんがセダンガ商店で仕事をして様子がおかしくなったと。」
「………何であんな商店に…。」
「まあ、人の弱い所を付くのが上手い奴等だからね。それで商店から奥さんを呼び戻したら、確かに様子がおかしくてね。今はシロー君が保護してる。それでトービス一家の家財を引き上げに行ったら、そこの大家もセダンガ絡みのヤツでさ、貸室に無断ではいった上に家財の一部を盗んでいたんだよ。」
「まさか、
「そうなんだよ。箱の中身は奥さんとギルド長なら分かると聞いたから、確認しに来たんだ。私は今回その立会人さ。」
ギルド長が理解したらしく、箱の中を確認した。
「……大丈夫だ。後から見つけた矢尻が追加されているが、他は渡した時と変わりない。」
「そう。良かったよ。」
「じゃあ、コイツが何かした訳じゃないんですね?」
「酷い。」
「そうだね。今回は大丈夫だよ。」
おいこら!そこはしっかり否定しとけよ!!
ゴリラは意外と繊細で心配性なんだぞ!!
「とりあえず安心した。じゃあ、後は討伐報酬の精算をカレントの所でして来い。」
「分かりましたー。あと、お聞きしたいんですが、治療院って人材の派遣とかしてますか?」
「人材の派遣?どこに派遣するのにだ?」
「俺の家です。」
「何でだよ?!」
「だから、狩人の奥さんを診ててもらうのに。あれは、治療魔法じゃ治らないんですよ。またクソセダンガに茶々を入れられたくないんで、出来たら泊まりで診てくれる女性がいいんですが…。」
「流石に難しいと思うぞ?まあ、治療院で聞いてみるしかないがな……。」
クオッ!!いい手だと思ってたのに!!
ワンチャン治療院で聞いてみるしかねぇか……。
クソ!世知辛い!!
「…………精算お願いしまーす。」
「何だよ?ギルド長に絞られたか?」
「ギルド長はそんな無駄な事はしませんよ。俺を絞った所で屁理屈が出るだけですよ?」
「お前、自分で言うなよ……。」
俺、アンタのそう言う所、前からセンス良いと思ってたんだ…。ギルドでの
コンビ名、考えた方が良いかな…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます