第42話 ぶらり食べ歩き〜いちゃもん護衛を添えて
こちらに来てからと言うもの、ほぼ蟻蜜とデザートヤシといった甘い物で食い繋いでいたせいか、しょっぱい食い物の美味いこと!
このまま、悟郎さんと食い倒れしたい所なんだが、先立つ物が乏しい。金貨を使いたいが、どうやら10000ゼル=1金貨らしく、食い物だけでは釣り銭に困る為、使えずにいた。
そして、やっと消費に丁度良い物を見つけた!それは服!俺の一張羅は残念な事に防汚・不壊の機能は無い為、いずれ破けたりする。
洗わずに魔法で綺麗にしているから、通常よりは保ちが良いとは思うけど限度もあるしな。
そこで、異世界の服にチェンジしようと店に入った。……結構、いい金額すんなーと手で触れてビックリのゴワ付き。
洗濯失敗して、柔軟剤入れ忘れたらこうなんのか?店員さんに聞く限り、一般的にはこれでも良い方らしいが…。正直、着たくないんだけど……。
「あと、柔らかい素材となると、貴族様が着られている、ラージモスの繭から紡いだ糸で作った服になります。」
「…………………ラージモス?!」
「はい。ご存知無いですか?スヴァイマウンテンに生息しているモスの中でも、大型のラージモスの繭から作られる上質な糸を使用した服になります。」
その話を聞き、俺は決してスヴァイマウンテンには行かない事をここに決めた。大切な情報をありがとう!
「あ、分かりました。こちらを下さい。」
「ありがとうございます!全部で、1520ゼルになります。」
「金貨でも大丈夫ですか?」
「はい!今、お釣りをお持ちしますね!」
不本意ではあったが、替えが無い以上、万一に備えて持っておきたかったので購入した。
「悟郎さんお待たせ!屋台で使えるお金になったから、好きなの選んで!」
「ニャァゥ(やった)!」
悟郎センサーを頼りに、屋台のハシゴをするぞ!!お!早速センサーに反応あり!今度は焼きじゃなくて煮物かな?
「すいませーん。2杯下さい!」
「はーい!お椀出してね!1杯125ゼルよ!」
屋台の良い処は、出来立てアツアツなんだけど、さすがに悟郎さんの適温ではないんで、冷ましますよー俺が!
味付けは塩とハーブで、良く煮込まれた謎肉はホロホロと解れ、一緒に入っている野菜も味が染みて超美味い!
「はー!美味い!肉も野菜もすっげー美味い!」
「ニャオゥ二ャ(肉だけお代わり)!」
「ははっ!それは無理だろうから、俺の野菜と交換しようか!」
スープも飲み干し、またお代わりをしに行く。人気のある店なのか、他にも並んでる人がいた。売り切れ無いといいなー。
「とても美味しかったです!お代わりしても大丈夫ですか?」
「ありがとう!お代わり大歓迎よ!良かったら、この先にあるパン屋のパンと一緒に食べてみて!パンをスープをつけて食べると、より美味しいわよ!」
「!!分かりました!ありがとうございます!先にまた2杯下さい!」
「はい!毎度ありがとう!」
素晴らしい情報を頂いた!パンだと?!このスープにつけてパンを食べたら美味いに決まってるわ!しかも欠乏中の穀類なら是非ゲットせねば!
悟郎さんに了解を頂き、パン屋に向かいった。先ずは、スープの肉と野菜を入れ替え悟郎さん用のお椀を冷ます。あ!!芳ばしい香りがしてきた!!
「すみませーん。そこのスープ屋さんに聞いて来たんですが、パンまだありますか?」
「アハハー!それはありがとう!彼女いつもウチのパンを勧めてくれんだよ!確かにスープが染みたパンは美味いよ!サンドもオススメだから、良かったら試してくれな!」
「サンド!!じゃあ、スープに合うパンとオススメのサンドを2個ずつ下さい!」
「おう!ありがとう!パンが一つ80ゼル、サンドが一つ300ゼルになるよ。」
「はい!」
異世界のパンは、目の詰まったバケットみたいなパンだった。これは腹持ちも良さそうだぞ!
「悟郎さん、パン食べる?スープにつけて食べると美味しいって!」
「ニァゥニャァ(ちょっとだけ入れて)!」
「美味っ!パンも美味い!」
「ニャニャ(ウマウマ)!」
まだ、3か所しか試せていないが、美味しい物ばかりで良かった!口に合わなければ、折角、人がいる街に来ても楽しみ半減だからなー。
お兄さんオススメのサンドにかぶりつきながら、新たな美食を求めて歩いて行く。悟郎さんは、やっぱり肉の方がいい様で、サンドの肉のみ食べている(残りは
「悟郎さん、また美味そうなのあったら教えてねー!」
「ニャッ(うん)!」
あー、あと食器類と調理器具が欲しいな…。あのキッチンそういった備品が皆無で、オーブンで焼く以外の事がまだ出来無いんですよー!お腹もだいぶ満たされ、他の物を気にするゆとりが出来た。
「悟郎さん、途中で俺の欲しい物が見付かったら、ちょっと寄らせてな!」
「ニャッ(うん)!」
「そこの者!待て!!」
んー?何か聞こえたが、俺じゃ無いだろう。ここに知り合いとか居ねーしな。
「おい!そこの従魔連れ!待てと言ってるのが聞こえんのか!!」
「……………俺の事でしょうか?」
「さっきからそう申している!」
「………………何か?」
……何だ?こいつら。金持ち臭漂う成りをしてるが、初対面のくせに態度がデカくて、俺の印象は既に悪い。
護衛っぽいヤツが2人若いのと、壮年のオヤジ、執事っぽいジジイが1人、その影になって見えないが、女が1人いるらしい。
「お嬢様がその従魔を御所望だ。いくらで引き渡すか聞きたい。」
「…………………はぁ?!何言ってんだ?!売りもんでもねーし、売る訳ねーだろが?!」
「…!!貴様、こちらが対価を払うと言ってるに…何だ!その不遜な態度は?!この方は御領主様のお嬢様であるぞ!」
「おいおい……(笑)売りもんじゃねーって言ったのに、聞こえねーのかよ?!そっちこそ、何を勝手に対価払う用意してんだよ!不遜はそっちの方だろクソが!!テメェの所は、金で家族を売れって言われて売るのかよ?!あれ欲しーの一言で何でも手に入ると思ってんか?!!そんな我が儘が当たり前だと、平気で言って来れるとは、碌な教育もしてねーのか?!それとも、この横暴を一般人にまかり通す事が当たり前の政策をなされていらっしゃるんでしょうかねぇ、ここの御領主様は???!!!」
「……貴様!!…言うに事欠いて、御領主様を侮辱するか?!」
「はぁ?!どこが侮辱だよ?!テメェは俺の話を理解出来てねーのか?!ならガキでも分かる様に言い直そうか?!第一に、俺の従魔は売りもんじゃねぇ。あ、これ言うの3度目な!第二に、売りもんじゃねーのに金で解決しようと脅迫。第三に、御領主のお嬢様であるから、言う事聞いて当たり前の発言。この3点から、これがまかり通される様な治世を敷いてらっしゃる御領主様なのかを聞いただけだが?あと、今までのは、全部お前の発言を受けて返してるだけだからな?どなた様かは存じ上げませんがねぇ!!」
「……!!」
俺がそう言い終えると、顔を真っ赤にして青筋を立てた若い護衛は、剣を抜いて切り付けてきた。
事前に確認したステータスが大した事なかったんで、俺はいつもより軽い石投げでヤツの持った剣に当てた。そして若い護衛は、石が当たった衝撃で剣を手から落とした。
「おぅ!武力行使乙!これもうクズ確定で!!剣も持たない一般人に問答無用で切り付け!ヤダもう、マジ最低ー!!横暴ー!!…………で?テメェはこれからどーすんだ?僕ちゃん弱いから応援呼んじゃう?!それとも、罪でもでっち上げて俺を拘束する?!」
「……クッ!!」
剣を落とされ、今度は顔を青くした若い護衛はそこで言葉に詰まった。
でも、良かったー!!あの後に“
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