口が悪い異世界転生者

第1話 転落

　落ちた。

いや、正確には突き落とされたかな？

その辺は、目撃者も防犯カメラも多数ある駅での事なんで、詳しくはそちらへ。

　バイト開け、いつもの帰り道で、駆け込み乗車をしようと階段を駆け降りてきたリーマンに思いっ切りぶつかられた。

　しかもソイツは、ワザワザ登り側の階段を駆け降りて俺にぶつかり、しかも舌打ちをかますというクソ野郎だ。

　お陰様をもちまして、俺は体勢を崩し、ぶつかられた勢いのまま階段から落ちた。幸いな事に俺の後ろに人はおらず、俺単独で。

　階段の上りきり付近から、中程にある踊り場まで、それはもう勢い良く落ちましたよ。左腕と頭を打ち付けながらね！

　明後日を向いた腕の痛みと頭を打った為かキーンと激しい耳鳴りが襲ってきた。

　周りからは女の悲鳴と、俺とリーマンにスマホを向ける頭の悪そうなガキ。呆然とするリーマン。目は動かせたんで、そのリーマンを思いっ切り睨んだ。

　俺からの精一杯の詛呪を込めて。

　後は、ガンガンと頭の痛みに一声呻いて、意識がなくなった。俺の記憶はそこまでだ。あとは知らん。

　願わくば、あのクソリーマンに社会的・法的鉄槌フルコースで決裁頂ければ幸いです。俺からは以上だ。