第18話 最長片道切符の旅18日目(柳原~石巻)

 さて、6時前に目を覚ましフルフラットのシートを移動して料金が安いカウンター席に移る。本来ならばここでネットカフェを後にしてもよいのだが、例のごとく無料の食パンをかじることにする。この気持ち悪さにもだんだんと慣れてきた。7時前にチェックアウトをする。料金は休日料金で1978円。悪くはないが、もう少し安くできたのかもしれない。


 7時14分発の北上行き電車に乗る。と思ったが休日ダイヤを見落としていた。駅にて休日運休の文字と次の電車が45分後であることを知る。きれいな掘っ立て小屋のような待合室で鼻をすすりながら時刻表を読む。アナウンスが流れる。北上線が落雪防止の徐行運航のため10分遅れるとの追いうち。設備の整った北上駅で待つ予定がこのような質素なところで待つことに苛立ちを覚えつつも今日の予定に特には影響しない。体力の面ではいざ知らず。


 さて、北上に8時ごろに到着。東北信館にて古川に行くが、途中一関にて下車し観光を試みる。一関では空飛ぶだんごで有名な景勝地である厳美渓に行く。天気にも恵まれた。往復のバス代1000円の支出は大きかったが、その価値は十分にあっただろう。他方で、団子は1人前500円であり観光地にしては手ごろな価格であった。熱いお茶に、蜜、あんこ、ゴマの3種の味の団子で500円。さらに、渓谷を桶に入った団子が舞うと来た。これはなかなか良心的な価格設定ではないか。大半がその手ごろさと珍しさから注文していく。しかし、殺到する注文で何往復もする空飛ぶ団子はそれはそれで飽きてしまうものだ。


 そこから少々ルート外に出て平泉に行く。これもまた往復乗車券代400円がかかってしまうが、ここまで来て平泉を素通りするのは惜しい気がする。今日は日曜日でたくさんの観光客がいた。このような光景はいつぶりであろう。私もその他大勢の観光客よろしく、中尊寺の金色堂やら毛越寺やらをレンタサイクルにて回る。毛越寺は庭園が目当てだったため拝観料を支払う必要はなかったが、金色堂拝観料800円に、レンタサイクル700円。これまた高くついたものである。しかし、東北方面での旅では奥の細道を大いに参考にしたため金色堂を巡ることは至極当然なのである。また初めて金色堂を訪れたため、行くこと自体に価値あるのだ。勿論、中尊寺は歴史的にも価値があるし荘厳美麗な建築に圧倒された。


 一関周辺だけで結局丸1日を費やすことになってしまった。今日の目的地は石巻までにしておこう。しかし、平泉から一関へ。一関から東北新幹線で古川へ。古川から陸羽東線で小牛田へ。小牛田から石巻線で石巻へ。ここいらの接続の悪さには閉口してしまう。例によって石巻のネットカフェに着くのは20時ごろだろうが、そこまで朝早く出る必要はない。つまるところ、どこかで時間をつぶしつつネットカフェに帰着することが求められる。しかし、疲れには勝てない。結局駅前のイオンで見切り品を461円分購入し、イートインで軽く時間をつぶしても30分程度。結局、ネットカフェには8時少し過ぎに入店。できる限り最も安いオープンスペースで時間をつぶすことが求められることになってしまった。

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