第6話 最長片道切符の旅4日目(旭川~網走)
未明の大雪は嘘のようにに空は澄み渡っていた。今日は東旭川駅から旭山動物園まで歩く。同じ宿に泊まっていたお姉さんの話では近くに駅の気配がなかったから相当遠いとのこと。ましてや雪が積もっていたらバスを使ったほうが良いと進言された。そんなこととうにわかっているが片道500円のバス代を捻出することはできない。
旭川発の普通電車に20分ほど揺られて東旭川駅には9時半ごろにつく。1両編成の列車に乗車率はボックス席は埋まっていたためまずまずだろう。9時36分東旭川駅に到着。ここから歩く猛者は皆無だった。約4キロの道のりは体力がある朝なら大したことはない。開園前に到着したが、すでに行列。今日が休日であるということを忘れていた。一通りに園内を見学したら12時30分を少し回ったところであった。ゆっくり歩いても14時02分発の普通電車に間に合う。相変わらずの1両編成なので少ない乗客でもさほど寂しさは感じないが、大半は観光客だろう。
ボックス席で揺られながら終着、上川で下車。かのメダリスト、高梨沙良選手の故郷らしい。このような町から英雄が出たとなると感慨深いが、それにしても何もない。しかし、スキーに集中するにはもってこいなのだろう。1時間ほどの乗り継ぎ時間は長く感じた。旭川行き普通列車が列車行き違いのため停車していたが、そのすきに乗客が何人かが途中下車して上川駅の窓口に並んだ。まもなく引退の国鉄車両キハ183系が印刷された記念入場券を買うらしい。
まもなく私の乗る特別快速きたみがやってきた。国鉄時代の車両キハ54系の1両編成ではあるが、転換クロスでなかなか面白い車両である。快速なので帰省する学生やら観光客やらで乗車率は悪くない。ロングシートに座る人がいるにも関わらず、転換クロスシートが空いていた。石狩川沿いの雪景色は筆舌に尽くしがたい。遠軽で方向転換のため数分の停車。クロスシートを転換した後、駅員さんから急いで下車印をもらう。
日も完全にくれた頃に終着北見に到着。ほとんどの乗客の目的地だったらしい。駅前もそれなりに栄えているここらでは立派な町らしいが、どこかにその立派さに似つかわしくない寂寥感がある。駅前の商業施設で夕食を済ませる。しかし、どの店も閑古鳥が鳴いておりまだ18時過ぎとはどうしても思えなかった。値段も1000円前後とディナーにしては別段高いわけではないのだが。それに豚丼定食の味も悪くなかった。18時30分にはその商業施設も店じまいをしていた。駅に戻り、19時03分発の普通列車で網走に向かう。完全に日も暮れ、ただ列車に乗るだけなると思ったとたんに疲れが出てきた。ボックス席に足を投げ出し、たた時間が過ぎるのを待つ。
1時間ほどで網走駅に到着。同じ電車に乗ってきた者と無言で宿まで歩く。どうやら彼も鉄道マニアらしい。二人そろって鉄道マニア界隈では有名な駅近くの民宿に泊まる。明日の朝は網走を観光し、目的地は釧路まで。本数の少ない釧網本線はどうも難しい。明後日ならばSLが見えたのだが。
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