九話【悲報】悪女レベルオーディションでレベルニキに絡まれる
俺は自分のグループの時間になったので、
オーディション会場に呼ばれて、席に着席した。
会場に設置された金網リングの上では、オーディションに出場した人たちがスパーリングで実力を見せているようだ。
そして、オーディションでは、それぞれがイキリ散らかして虚勢をはり、椅子から立ち上がって暴れたりと、ブレイキングダンジョンのお約束の時間が流れていく。
「初めまして、以前とあるVtuber事務所でVtuberしていた屑霧レーナです」
俺は、無理にイキったりせずに自然体で挨拶を終える。
「けっこう有名な人だよねー、今回ブレイキングダンジョンに出ようと思ったのはなんでですか?」
煉獄終焉の横に席に座っているブレダン運営会社のCEOと札に金髪坊主でスーツをきたおじさん、鈴木さんにそう質問される。
「一言でいうなら…天才だからですかね…
この間もレベル1なんですけど、ゴブリン10体を
瞬殺しました、ホブゴブリンとかも混ざってたかな」
はっ!イキるつもりなかったのに、イキってしまった。
「レベル1で単体でも推奨討伐レベル5のゴブリン10体を瞬殺…?それは最強だね、もしそれが本当ならスパーみたいですね、終焉君」
「そうですね…」
夜蔵終焉が俺に向かってニヤリと微笑んだ気がする。
もしかして嘘だと疑われてるのだろうか…?
10体ニキwとか思われて馬鹿にされてる?
くっ…変なイキリしなければ良かった。
「あなた、レベルいくつデスか?」
「え…?」
俺がイキり回答したことに後悔していると
同じグループの片言の外国人美少女に絡まれてしまった。
この外国人は確か夜蔵終焉選手に勝ったら1億円の企画で、秒殺されてたBランク冒険者の人だよな…。名前は確か、オカン・ドラゴンだっけ。
銀髪で褐色肌に左目に眼帯をしていて、黒いローブを羽織っている。
なんとなく中二病っぽい見た目だ。
「まだレベル1ですけど…」
「ゴブリン10体倒してるのにまだレベル1?ふぅ…なるほど嘘デスか…
こんな嘘つきじゃなくて、ちゃんと本物いないデスか?
この中で一番とぅよい人誰デスか?私その人とやりたいデス」
う、嘘つき呼ばわりされて馬鹿にされた…!
いや、確かにゴブリン10体倒して、レベルアップしてないのは
おかしいけど、レベル上昇には個人差があるんだから、仕方ねぇだろ!
「誰でもいいデスよ?レベルあうひといませんか?」
「ちょっとオカン黙ってろ」
夜蔵さんから冷たいツッコミが入った。
オカンちゃんがしゅんとしてる…。
なんか可愛い。
「僕がその子とやりたいっす」
夜蔵さんの一喝で静まりかえった会場。
そこにひな壇に座る中から、
快活で明るく爽やかな声が響いた。
「おぉ!ソラちゃんね!知ってる子デス!
君となら良い試合ができそうデスね!」
「ごめんなさい、貴方じゃないっす
僕が試合したいのは屑霧さんっす」
「…そうデスか…」
またオカンちゃんがしょぼんとしてる。
ちょっと可哀想…。
てか俺…?
この子ソラちゃんじゃん。
めっちゃ親孝行で良い子なの知ってるぞ。
え、俺この子と戦うの?
可愛い女の子相手にするのは嫌なんだけど。
「この中で一番明らかに強者の雰囲気がしてるっす
勝負するなら一番強い人がいいっす…」
「…そ、それはちょっと…」
「ちょっと待ってくれる…まだ視聴者のみんなに屑霧さんの実力が伝わってないと思うから鉄拳くんとスパーしてもらっていいかな?」
「俺ですか?」
金髪坊主のおじさんがそう言うと、言われて立ち上がったのは俺の後方の席にいたスキンヘッドに拳法着姿の男。
おー鉄拳君だー、ブレイキングダンジョン第一回に出てて鉄化のスキル持ちで一撃の重さに定評がある、実力者だ。たしかCランク探索者でレベルは13だっけ。
「いいですけど…その子レベルいくつですか?」
「私はまだレベル1ですけど」
こいつさっきまでの話聞いてなかったのかな?
「は!?鈴木さん、さすがにこれはないですよ。
レベル1の女の子虐めるとか俺には無理です」
「じゃあ、試合くめないけど」
「…ごめん、できるだけ手加減するから…」
「いや、全力できてもらって大丈夫です!」
レベル13ぐらいなら…多分大丈夫だ。
俺は、金網のリングに上がる。
うーん、こういうところに上がるのは初めてだなぁ。
米竹のときもこんな舞台にたつことは想像もしてなかったなぁ。
試合が始まる。
俺は、鉄拳君がすり足で近づいてくるのを見て、両手を構える。鉄拳君が俺に向かって拳を振りかぶり、攻撃を仕掛けてきたが、それをバックステップを踏んでかわす。
そして、右足を踏み込み、距離を詰め、左のジャブで鉄拳君の顎をめがけて鋭い一撃を放つ。
その瞬間、鉄拳君は地面に倒れ込み、意識を失った。
その瞬間、レフェリーが俺と鉄拳君の間に割って入り、両手を上で交差してTKOの宣言をした。
俺はそこで深呼吸をし、周囲を見回した。
会場にいた殆どの皆が驚きの表情を浮かべていた。
「あ…あれ?…どうなってるんだ?」
どうやら、意識を取り戻したようだ。俺は鉄拳君に向かって、少し微笑んで手を差し出した。鉄拳君はそれを掴んで、立ち上がった。
コメント
・鉄拳君雑魚www
・レベル1に負けるとか草www
・しかしソラちゃんレベル10とレベル1の悪女の対戦かぁー
レベルいくつであわせるんだろ?
・悪女がレベルあげてあわせるんじゃね
・試合まで期間短いけど上げれるのかな?
・いくらレベル1~10が上がりやすいとはいえ、二ヶ月でレベル9は上がらんやろ
・ソラちゃん頑張れ!悪女に負けるな!
「君…何者…?」
鉄拳君がそう質問来たので、
俺は軽く肩をすくめて答えた。
「…天才です」
「まいったな…油断してたつもりはなかったんだけど…俺の完敗だよ
…このままじゃ俺が雑魚みたいだから…本戦でも圧倒的に勝ってくれよ」
そして鉄拳君は金網の外に一礼した後、私に手を振って去っていきました。
そして、リングにソラちゃんが上がってきた。
「勝負っすよ…」
そういって俺に手を差し出すソラちゃん。
俺はそれを握って、握手する。
ソラちゃんの手は震えていた。
顔を見ると、頬が紅潮して、上気していた。
「武者震いしてきたっす…!今から勝負が楽しみっす!」
「はは…お手柔らかに」
でも試合まで期間そんなないっすよ?」
「いやレベルは1のままかな…
ソラちゃんにレベル下げてもらうのも悪いし
そのままでいいよ」
どうも屑霧の体って相当レベルが上がりにくいみたいなんだよね。
レベルが上がりにくいほど潜在能力が高いと聞いたことがあるから、
多分、そういうことなんだろうけど。
ちなみに昔の俺は速攻でレベルが上って、速攻で上がらなくなった。
「…な、なめてるっすか…?」
「え…?」
ソラちゃんが顔を真っ赤にして、歯を食いしばってる。
「…わかったす…本番なってから後悔しても遅いっすよ!」
な、なんか怒らせちゃった…?
「じゃあそこ試合決定で」
夜蔵さんのお約束の台詞で俺とソラちゃんの試合が決定したのだった。
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