第41話 新たな挑戦

 目の前の男はいったい何をしたんだろう、確かに魔法を詠唱したわけではないだろうし。

「今見せたのはね、魔力操作をしたものなんだよ。」

「魔力操作?」

「この世界の魔法は数字で区切られていることはわかっているよね?この魔法はどのくらい消費されるとか。」

 確かにそうだ、魔力を多く消費する魔法であれば高い魔力を必要とする。しかし、急に何でそんな話になるんだ。

「そこで僕は疑問に思ったんだ、魔力を数値で表せないような使い方はないのかって。そして、今使った魔力操作を覚えたわけ。」

「その魔力操作が硬さを作り出したと?」

「その通り、そして君なら使いこなせると思ってね。」

 確かにあの硬さがあれば戦いやすくなると思うけど。しかし、ド平均的な俺がそんな普通ではないことをできるような気がしない。

「まあ、全部を教える気はないよ。基礎は一緒に教えるけど、あとは知識しか教えないから。時間もないし感覚的なところだからね、教えるのが難しい。」

「わ、わかりました。」


 かくして、急に謎の男から魔力操作というものを教えてもらえることになった。


 魔力操作について教えてもらっていると、気が付けば日がほとんど落ちていた。

「そうそう、これで基礎中の基礎ができるようになったね。まだ実戦で使うのは難しいかもしれないけど、練習あるのみだよ。」

「あ、ありがとうございました。」

 内容がハードというわけではないが、如何せん集中力を要するため息が切れる。彼のように魔力操作を使うことができるにはあと何年練習していかないといけないんだろうか。

「この魔力操作は物理攻撃に対して効果を発揮するけど、魔法攻撃に対してはより強力な効果があるから。ちなみに基礎だけだと防御にしか使えないから、攻撃するときは魔法を使ってね。」

「わかりました。」


 かくして謎の男からの魔力操作の特訓は終了した。


 今日は疲れた。帰ってご飯食べたらすぐに寝よう。疲労がたまっているのか足取りが重たい。重たい足を引きずりながらやっとの思いで家に着く。

「お、やっと帰ってきた!ご飯できてるから食べよう!」

「ありがとう、すごくおいしそうだ。」

 みんな帰ってきていたみたいで俺の帰りを待っていてくれていた。

「じゃあ、」

「「「「いただきます。」」」」

 なんやかんやこんな平和な生活が続けばいいと思ってしまう。しかし、俺たちはあくまで冒険者なんだから冒険に行かないとな。依頼をこなさないとお金も手に入らないし。

「ユートさん、今日は何してたんですか、随分と疲れているような感じがしますけど。」

「確かにそうですね。魔力もだいぶ使ったようですし。」

 せっかく秘密にしておこうと思ったんだけど、クロは魔力が見えるタイプだったのか。この世界ではまれではあるが魔力が見える人がいるらしく、クロがそのタイプであった。ちなみに魔法を使うのが得意であっても見えない人は見えないらしい、感じはするらしいが。

「まあ、機会があったら見せるよ。」

 魔力操作で少しはみんなが驚けばいいけど。

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