第39話 飛び級

 今回、オーガ討伐に行ったらなんと鬼を討伐してしまった。

「それでなんだが、お前たちはこのままのランクにしておくわけにはいかなくなったわけでな、Cランクになってもらおうと思ってな。」

「Cランクですか?僕たちまだFランクですけど。」

「普通なら飛び級とかはないんだけどよ、これまでの討伐歴、ハイスピードウルフを従えていることを考えると妥当だと思うんだが。」

「そうかもしれませんが、このチームでないと討伐することはできないんですよ。個人のランクにしては妥当とは思えないです。」

 後ろで聞いていたミールたちも同じ考えであるのか頷いている。そうだよな、自分の力量に合わないランクだと気が重いもんな。

「何も全員がCランクになるわけじゃない。あくまでチームでCランクだ。お前たちの個人的なランクはEランクでやってもらう。」

「そういうことですか、前はどっちも上がったのでそうなるのかと。」

「まぁな、こんなに個人のランクとチームのランクが合わないことはないんだけどな、お前たちはチームで本領を発揮できるんだろう。」

「それは否定できないですね。」

「本当だったらチームランクはAとかBでもよかったんだけどよ、荷が重いかなって思ってな。」

「そうですね、今回鬼を倒せたのもまぐれだと思いますし、ギリギリでしたし。」

「そんな謙遜するな、倒したことに変わりはないんだからよ。胸を張れ!」

 そう言ってギルドマスターは高らかに笑っていた。いや、本当にギリギリだったし、道中でモンスターに出会ってたら確実に死んでたしな。謙遜とかではない。


「こちらがランク証明のカードになります。」

 ギルドマスターからの話を終えて正面の受付まで来ていた。Cランクからランク証明があるらしく、これを持っているだけで一人前の冒険者であることが証明できるそうだ。

 ちなみにCランク以上の冒険者は10%くらいしかないそうだ。全体の人数はわからないが相当上位であることはよくわかる。Sランクもあるらしいが個人で所有している人はいなく、とある国のAランク冒険者4人のパーティーがSランクらしい。すごいね。


 今回のオーガと鬼の討伐にあたって大量の報酬をもらった。結構な金額をもらったので当分は英気を養おうと誓った。一回の依頼だけでこの疲労度である、休まないとやっていけない。

「当分は冒険を休もうと思うんだけどいいかい?」

「私はいいと思う。怖くてやっていけない。」

 クロは同意見のようで激しく頷いていた。君はそうだろうな、オーガを前にして思いっきり逃げてたし。

「私もいいとは思うんですけど、ユートさんはやることがなくて冒険に行くと思いますけど。」

「あたしもそう思う!前は数日だけだったのにすごく暇そうだったじゃん!」

「うっ」

 確信を突かれた。前世でもこれといった趣味がなかったから仕方ないじゃん。

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