第36話 団結
これや明らかにやばい。何がとは具体的にわからないが、雰囲気が変わりより一層命の危険を感じる。
早くこいつを倒さないと。そう思い、刺さった剣を上方向に切ろうとする。しかし、剣が全く動かない。
「この姿になったついでに、ここは派手に切ってやろう。」
目の前の鬼のような姿をしたやつは剣を頭上高く振りかぶる。ここで俺も終わりか。
「ウェポンスティル」
やつの後ろにクロが立っており、その手には刀が握られている。
「お前か、さっきから鬱陶しいのは。」
やつは俺のことを蹴り飛ばし、後ろを振り向く。そして、クロが握っている剣をつかみ、腹を殴る。一撃を受けたクロはその場にうずくまる。
「くっ!」
「鬱陶しかったからな、お前を先にやるとしよう。」
このままだとクロが!
「クロー!」
「させないよ!」
クロの姿が一瞬にして消える。これはガーベラが助けに来てくれたんだろう。しかし、少し離れた位置で人が転んで滑る音がした。音のした方を見ると血が飛び散り、ガーベラ、コスモ、クロが横たわっている。
「おそい。」
あの一瞬で三人を切ったっていうのか、全く見えなかった。
「さあ、あとはお前だけだな。」
くそっ!ここまでか!
「さらばだ。」
刀を振り下ろし体を切り裂く。切り裂かれた体は消えてなくなる。そう、これはクロが殴られた後に作った分身である。自分のを作らないで人のを作るとは優しい奴だ。
「なに!」
「ここで終わりにしよう。マジックリンク、パワーウィンド」
マジックリンクはあらかじめ契約を結んだ者同士の魔力を共有するものであり、今はミールとリンクされている。魔力全部が俺に供給できるわけではないが、ミールの膨大な魔力をパワーウィンドで剣に集める。
「すさまじいな。しかし、お前では我の速さについていけないぞ。」
「そうだな。俺一人の力ならな。」
「そうね!私たちがいるよ!」
「なに!なんだこのロープは!」
やつ手は刀に置かれていたが、その腕も含めて体にロープがまかれており、刀が抜けなくなっていた。
「回復が間に合ってよかった」
「私を殺さなかったから、こんなに鬱陶しいのが続くんですよ」
「なぜだ!致命傷を負わせたはずだぞ!」
「貴様の敗因は最後まで一人の存在に気が付いてなかったことと、俺たちをなめていたことだ。」
魔力が収束された剣でやつを袈裟切りする。
「くそがー!」
やつは体が崩れながら叫んでいた。そして、疲労困憊になった俺たちの意識はどこかに行ってしまった。
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